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2015-11-17

大同旅行一日目

2015年10月31日、再びの山西省、大同へ。三泊四日の一人旅です。

8月に平遥を訪れたばかりなので航空券がもったいない気もしますが、たまたまこうなりました。
平遥を訪れた時には大同は頭になく、大同行きを決めた時には平遥は頭になかった。なんだか不思議です。

大同は北京からほぼ同緯度に西に進んだところにある歴史ある都市。
縦長の山西省でその最北部に位置し、上部に広がる内蒙古自治区との境界すぐ下にある。

JL21便で羽田から北京首都空港へ降り立ったのは正午過ぎ。
そこから六里桥行きの空港バスへ乗車。
六里桥にはバスターミナルがあり、そこから長距離バスで目的地大同へ向かうつもりです。
北京は広い。
バスでうつらうつらしてようやく六里桥へ到着したとき、乗車してから二時間以上が経っていた。

六里桥バスターミナルで大同行きのチケットを購入。142元。
出発時間を見てみると15時40分。あと10分しかない。急いで乗り場に向かう。

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大きな駅のようなバスターミナルには、ずらりと様々な行先のバスが並ぶ。

大同へはここから長距離バスで4~5時間。
いつものおんぼろバスではなくて、少し立派なバス。乗車すると二階へ階段が続いていて、登ってみるといい場所が空いていた。

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最前列はこのように景色見放題。

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こちらは出発したバスから去っていく六里桥バスターミナルを見て。

北京は広い。
道は混み合い、なかなか窓の外の風景は印象を変えない。
地名のもとである「六里桥」をくぐり、大都市の風景は続く。

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左手には中央広播電視塔。
スカイツリーみたい。

いつも各地の長距離バスに乗車すると、あっという間に窓の外は田舎風景や荒涼とした風景に変わる。
けれども今回はいつまでたっても都市風景が続く。
少し退屈になってきたので、おやつを引っ張り出した。

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カボチャの種。
前回9月のコルラ旅行の際に、お土産に数袋いただいた、そのうちのひとつを持ってきた。
殻を歯で割り、開けて中身を食べる。
お茶味と書かれているが、私にはどうしてもカレー味に感じられ、どこがお茶なのかさっぱりわからない。
食べるのが少々面倒だけれど、いいおつまみだ。

しばらくしてようやくバスは高速道路に乗った。

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前方にはこんなゴミの山を積んだトラック。
何かというと、大量のプラスチック製容器。どうやってか、落ちないようにうまく繋がれているようだ。
中国ではこんな風に日本人の理解を超えた量のあれこれを運ぶ自転車や、荷車や、バイクや、トラックを見かける。
こんなのを見ると、中国に来たな~といつも実感する。
2005年に初めて北京を訪れた時、王布井周辺の道路で、何メートルも幅をとって自転車の荷台に積み上げられすいすい運ばれていく竹竿を見た。
「テレビで見るのと同じだー」と、驚いた記憶がある。大きすぎるねぐらを間違えて選んでしまったヤドカリみたいに見えた。

料金所をつっかえつっかえあちこちにぶつかりながら、プラスチック容器のトラックは通過し、やがて道路を逸れていった。
そうしてえんえん走って行くと、17時。
周囲はすでに荒涼とした険しい山の風景に変わり、左手の山々に太陽は落ちかけていた。

そんな風景の中、突然小さな遊園地が右手に見えてきた。
新しくてきれいで、でもさすが中国、明らかにディズニーランドを意識したような遊園地だった。
ふとデジャブが私を襲った。
「なんで、私、これを知っているんだろう…」
数秒後、それがデジャブではなくてしっかりした記憶であることに気づいた。

2005年の二月、友人との北京旅行。
その時に万里の長城、八達嶺を訪れた際に、私はこの道を通っていたのだ。
当時この辺りはまるで僻地で、文明から遠く離れた場所に来てしまったような感覚を持った。
今も荒涼とした風景に変わりはなかったけれど、道路はきれいに整備され標識もきれいで、遠くにはぽつぽつと建物も見えた。
10年でこんなに風貌を変えるとは。

あの時、人が住む場所ではないようなこの地に、突如として廃墟のようなお城を見たのだ。
それはまるで、シンデレラ城をずっと小さくお粗末に、そしていい加減に作ったようなものだった。
その遊園地は製作途中で放棄されて、どうしようもないまさしく廃墟だった。
「あれは何ですか?」 という私の問いに、
ガイドの李さんは、「作り始めたものの、途中でお金が足りなくなり止めてしまったんですよ」 と話していた。
あの廃墟が、この真新しい遊園地なのだった。
あれが今完成し運営されていることにも驚きながら、また10年後に同じ道を通過しそれに気づいたこともなんとも奇遇な気がした。

この北京発大同行きのバスがどういったルートを進むのかは知らなかった。
けれど、どうやら八達嶺方面に向かっているようだ。
看板が次々と現れ始めた。
居庸关长城、水关长城、八达岭长城。

でもまさか、車窓からそれらを眺めることができるなんて思っていなかった。

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バスはこんなのなんでもないように、猛スピードで駆けて行く。
私の感動と驚きなんておかまいなしだ。

本当に偶然なのだけれど、先日万里の長城について考えたばかりだった。
ちょっとふと思いついて、今度の旅行でここに行ってみようかあそこに行ってみようかなんて巡らせてみたものの、自分のスケジュールと合わずに「また今度」という結論を出したばかりだった。

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右手にも左手にも前方にも、激しい起伏の中に幾度となく長城を見つけることができた。

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この遺跡が多くの人々を魅了し、観光客を呼ぶのは、歴史とは別にこのような奇怪な様相がインパクトを与えるからなのではと思う。
山の稜線上にまるで張り付くようにえんえん続いている様子は、素晴らしくもありどこか不気味でもあった。
こんなのが東西9000㎞にも亘って続いているのだから、理解を超える。

これから訪れる大同も、長城のすぐ下に位置している。
さらに厳密に言うと、南西にも一本長城が張り出し、それらふたつの長城に挟まれた場所にある。
万里の長城は一本伸びているだけではなく、長い歴史を経て、途切れたり二重になったりと複雑な形状をしている。
そんなわけだから、北京から大同に向かうのに万里の長城を通過するのは、なんら不思議なことではなかった。

北方民族からの脅威に備える為に長い歴史を経て造られ続けてきた長城。
中国全土の地図を見てみると、おもしろい。
北京、河北省、山西省、陝西省、寧夏回族自治区、甘粛省。
その北部に広大な敷地を持つ、内蒙古自治区。
おもしろいようにその境界に沿って分かつように、長城は点々、延々と、続いている。
万里の長城を北に越えれば、すぐそこはモンゴル民族の文化だ。

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バスは長城に沿って走って行く。
そのおかげで、うねうねと延々続く長城を体感することができた。
スポットで訪れればこのような感じ方をすることはできないだろう。
点であちこち訪れるのも楽しいが、遠めに見てその長さを体感してみるのもいい。

最後に八達嶺を通り過ぎた時、日はすっかり落ちた。
あっという間に暗くなっていく。
まるで、なんとか間に合わせて長城を見せてくれたみたいだ。
このバスへの乗車はぎりぎりだった。あと少し到着が遅ければ次のバスになり、そうなれば暗くなり目にすることはできなかったはずだ。

こうしてバスは、山々に囲まれた長城区域を抜け開けた場所に出た。
広大な土地が広がる。

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四方に風力発電が広がる。
この辺りはすでに砂漠性の気候で、冬季は強風が吹きすさぶのだという。
ゆっくりと回転する巨大な羽は命を持っているかのようで、なんだか異様で迫力があった。

バス出発から4時間後の19時半、ようやく大同のある山西省へ入りました。

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すでに真っ暗。
そうして大同に到着したのは、北京を出発してから4時間半後。
なんでもないようなところでバスは停まった。

群がってくるタクシーを振り切れず、一休憩する間もなく乗車。
すぐ近くに「大同新南公路バスターミナル」が見えた。
地図を見ると大同には二つの長距離バスターミナルがあるようだったので、間違えるといけないと思い、タクシーの運転手さんに聞いてみる。
「大同には二つバスターミナルがあるみたいだけど、恒山がある浑源へはここから行ける?」
すると、「ここではない、もう一つのバスターミナルから」とのこと。
場所が全然違うので、間違えたらめんどうだ。
「あっち方面?」
「違う違う、あっち」
こうやって自分の中に大同の地図をインプットしていく。
明後日は大同郊外にある恒山へ行く予定だ。

「城壁だよ」
きれい~!喜んだ私を見て、タクシーのおじさんは車を停めてくれた。写真を撮りに車を降りる。

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煌びやかに輝く城壁がずっと遠くまで続いていて、幻想的だ。
大同は小さな街だ。
大都市にみるような高層ビルの林立は見られない。遠巻きにマンションが並ぶだけだ。
だからこそ、暗闇の中に浮かぶ城壁の煌びやかさが静かに際立って美しかった。
私が宿泊するホテルはこの城内にある。

タクシーで城内に入ってみると、唖然。
城内には現代風のお店が大通りにずらりと並んでいたが、見事にその全てが閉まっていた。
人気もほとんどなかった。
まったく予想もしていない光景だった。
田舎都市で夜は閑散、というのは経験があったが、なんだかそれともちょっと違う。
城内の一番の繁華街のような場所だ。
時計を見たらまだ21時にもなっていない。

「みんな終わってる?今日は何かあったの?」 そう訊ねると、
「もう閉まってるよ」 とおじさんは一言。
「人いないよ」
「人いないね」
「何時までなの?」
「7時までだよ」
タクシーのおじさんは当たり前のようにさらりとそう言った。まさか。

観光地化激しい中国でどこでも見かけるような、「古文化街」なんていって賑わってそうな、そんな通りがあちらにもこちらにも見えたが、真っ暗で人ひとりいなかった。
再開発によって古い街並みを再現した、なんてガイドブックには書いてあったけれど?
その言葉に期待して、今までの経験も踏まえて、「宿泊は城内で」と決めたのだけれど。

予約していたのは、城内ど真ん中の花园大饭店。
しんと静まり返った異様な大通りに際立って赤いネオンが目立っているホテル。

チェックインを済ませ、係の女性に辺りに食事ができるところはないか聞いてみると、
「まだ食事していないんですか?」
と驚きながら、困った表情をした。
「食事できるところは、ないです」
「城内はないですか?」 と重ねて訊ねると
「ないです」 即答ではっきり。
ホテルのレストランがぎりぎり閉まるところだったので、無理に入れてもらえることになった。
聞いてみるとやはり時間の問題だったようで、タクシーのおじさんの話す通りだったわけだ。

時間がなかったので、慌てて選んでしまった。
スープにおかずに、山西と言ったらの麺。
おかずはこのキノコ料理で…と値段はそのまま量は半分でお願いしてみたら、
「この価格で大丈夫?」
なんと二百数十元!そのまま勢いで頼んでしまったが、すごい金額だ。
このレストラン、他の料理は価格が特に高い、というわけではない。ごく普通。

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運ばれてきて見てみると、山盛りのマツタケを中心とした色んなキノコ。

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続いて、猫耳朵。猫の耳という名の麺料理。
形が猫の耳に似ていてかわいらしい。
8月の平遥旅行の際に何度も見かけながら食べることができなかった為、ここで頼んでみました。

大同は砂漠性の気候。既に冬を迎え、最低気温は零下に及ぶ。
寒かったので、こうした温かい料理がなにより美味しかった。

実は今回、大同を訪れるにあたって人を紹介してもらっていた。

私は時間がない中予定を詰め込んでいるので、人と会ったり一緒に行動したり、というのにあまり乗り気がしなかった。
一人の挑戦や色んな思考もできない。
断ったのだけど、相手の善意はそれを許してはくれず、私の拙い中国語では断りきれなかった。
紹介してもらった人はちょっと面倒に巻き込まれてしまった形になる。
ところが、その大同に住むリーさんという人はとても気質の良さそうな人で、旅行直前の僅かなやり取りでもそれが伺えた。
やっぱり紹介してもらえて良かったな、と思った。

明日1日は仕事の状況によっては空くかも知れない、恒山登山に付き合うよ、と言ってくれた。
「恒山へは一人で挑戦したいから」 と断り、その代り城内の散策に良かったら付き合って、と頼んでみた。
結局、1日は会議が入ってしまい、午後お互いの予定次第で連絡しあうということになった。
食事中、そんなやり取りをしながら。

そうして食事を終えて、ふらふら夜歩きに。

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ホテルのすぐ横には城壁内の中心部とも言える「鼓楼」があった。

見るからにかなりの古さで、改修されている様子もなく、「遥か昔からただそこにあって今に至る」といった感じがした。
ライトアップも電飾もない。人もおらず特に注目する人もいない。
静かにそこにあった。
小さな鼓楼だったが、とても美しかった。

外には古い石碑が並べられ、閉じられた扉の前にある石畳は斜めに並べられ変わった配置をしていた。
鼓楼の周囲はぐるりと道路が回り小さなロータリーのようになっていて、時折タクシーが通り過ぎて行った。

あちらこちらを覗いてみると、タイムスリップしたかのような古い街並みがずっとずっと向こうまで続いている。

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見たところかなり古そうな建物に見えたし、そんな雰囲気を演出するために新しく整えられたのかも知れなかったが、いずれにしてもそのすべての扉は閉じられ、すべての建物に灯りひとつなく、人ひとり歩いていないのだった。

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わずかな街灯と月明りがあるだけだ。
こんな経験も初めてで、本当にタイムスリップしてしまったかのようだった。
田舎道で真っ暗、ならわかるのだが、こんなにも立派な古風な街並みが展開されながら蒸発してしまったかのように人気がないのは、なかなか現実的ではなかった。

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こちらもたいそう大規模な寺院のようだったが、地図にもまったく記載されていない。正面には小さな道観もある。
しかし、こちらもこのように見事にまっくらで、あるのは月明りのみだ。

息が白くなる寒さだった。
私が暮らす街はいまだ上着も暑いくらいだったから、なんだか本当に異世界に迷い込んでしまったような錯覚がした。
なんだか昨日のことも思い出せないような気がした。

あまりに暗くてどうしようもないので、私の夜歩きは程なくして終了。
あたりは静まり返っていたが、幸いなことに近くに小さなコンビニがあった。

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珍しく缶ではなく瓶ビールを。
部屋の眺望は決して良くはなかったが、わずかに鼓楼が見えた。
暗い城内とは対照的に、城外遠くにはマンションが並んでいた。
城壁内、もしかしてこのホテル以外には、人なんていないのかも知れない。
まさかとは思いつつも半分本気でそう思った。

⇒ 大同旅行二日目~その一~ へ続く

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プロフィール

まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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