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2017-05-31

喀什旅行一日目

2017年5月1日、お昼に退社し急いで成田空港に。
品川へ向かう新幹線が途中で停電停車し、座席指定していた成田エクスプレスに乗り遅れてしまった。
代わりに乗り込んだ次発の車両は人で溢れ、仕方なくデッキに場所をとる。
デッキもまた人でいっぱい、その多くが外国人だった。
退社した開放感と、これからの旅路への期待。
そんなので、空港までに缶ビールやら缶ハイボールやら。
デッキには簡易椅子があり、そこに座り、周りを欧米人に囲まれながら。通り過ぎるなんでもない風景がいつもより特別なものに見える。
はしたないという意見もあるかも知れないが、これが私の楽しみなのだ。


今回の旅の目的地は、中国新疆ウイグル自治区・喀什(カシュガル)。

いってみれば、中国最西端。
今回の旅行は、広大な中国大陸を横断し、一番西の端まで行ってみるものだ。
残念なことに、空路でひとっ跳び、いやふたっ跳びだけれど。時間がないのだから、仕方ない。
昨年の同じくこのゴールデンウィークに、「中国の一番むこうに行ってみたい」そんな思いから、新疆ウイグル自治区北西部のイーニン方面へ行ってみた。
カシュガル地区も頭にはあったが危険地域であるため、とりあえず保留としてそのイーニン地区を選んだ。
カシュガルは経度でいえば、そのイーニンよりも西。
いわば、イーニンは北西部の西端、カシュガルは南西部の西端。
イーニン旅行を終え、やはりカシュガルへの未練があり、というよりもますます行きたくなり、カシュガル行きを決めた。

カシュガルという地名を知ったのがいつのことだったのか、記憶にない。
少なくとも、15年前の大学生の時にシルクロード紀行のカシュガル編を手にし、その遥かな場所に思いを馳せたのは覚えている。
私はシルクロードや中国地理に詳しくはなかったから、もしかしたらこの時がその地名との出合いだったかもしれない。
その時、「ここはもはや中国ではない」 そんな感想をもった。

中国語が通じない(少なくとも当時は)。
漢族は少なく、西域ふうの民族が砂舞う路地を行き交う。
民族衣装に身を包み、ストールをかぶり頭髪を隠す女性たち。
長いひげをのばし、ウイグル帽を頭にのせるおじいさんたち。
瞳の色も様々、髪の色も様々、皮膚の色も様々。そして彫りの深い顔立ち。
建物はまるで中東のようで、中華文明のかけらすら転がってはいないようだった。

中国の一都市・西安は西域への入り口だ。
シルクロードの中国側のスタート地点といえるその西安から西へ都市や街を進むと、風景も街並みも人の様子も、みな徐々に西域色を帯びていきそれは強まっていく。
しかしこの歴史と文化と民族のグラデーションを体感することは、実はそう簡単ではない。
何しろ、西安からシルクロード中国最西まで、距離も遥かならば、そこから先いっきに移動が困難になるからだ。
西安を境にインフラ整備は急激にさがり、自然地帯がほとんどになる。
交通、自然、そして民族文化的差異によって、西に行けば行くほど、旅行者に要求されるものは増す。
また、時間もかかれば費用もかかる。
さらにいえばもうひとつ、西域の行動を難しくしている要因として、治安問題がある。
とにかく、この一番手前の西安ですら、当時の私には夢の場所だった。
そのあと西安の地を踏み、夢の彼方だった敦煌の地を踏み、その時まだ新疆ウイグル自治区自体、行くはずもない場所だった。
初めてウルムチを訪れた時ですら、カシュガルは彼方だった。
こうやって私は長い時間をかけて西へ西へと足を踏み入れてきたが、思い返してみると、旅先の候補としてカシュガルを思うようになったのはここ2~3年のことである。
学生の頃、シルクロード紀行を手にしカシュガルに思いを馳せたあの時、その地は旅してみたい場所ではなく、本の中でテレビの中でしか接することがないはずの場所だった。
私個人の感覚からいっても、中国西域は遠い場所ーそれはもちろん単なる距離の問題だけではなくーであり、そのもっとも遠くの地を踏むことができるというのは、感無量だ。
15年前の自分が、「ここはもはや中国ではない」と戸惑ったのも、当然のことだと思う。

そういう意味で、今回の旅行には特別な思いがあり、とても楽しみにしていた。
珍しくひとかけらの不安もない旅のスタート。
第一日目の旅程は、北京まで。
北京で一泊し、翌早朝に出発し空路で新疆ウイグル自治区首府・ウルムチへ向かう。

北京に到着したのは夜。
乗り継ぎに立ち寄るだけなので、タクシーに乗って空港近くのホテルまで。
あまりに近いホテルで断られるのが予想できたため、わずらわしさを避けるため、「メーター倒さなくてもいい?」という運転手の要求を聞いた。
1㎞ほどの距離に提示された金額は、なんと100元。これはさすがに飲めない。
「近いのわかってるでしょ?」
最終的に40元を支払うことになったが、無駄金承知で乗り込んだタクシーだったので仕方ない。

ホテルは質素な造りで、フロントでチェックインをするとそのすぐ奥に部屋が続いていた。
すぐ近くの部屋だったが、手前に段差があり、従業員の男性がひょいと荷物を持ち上げそのまますぐその先の部屋に運んでくれた。
私は中国でチップを払う習慣がない。
今まで荷物を手伝ってくれた従業員たちはもしかしたらそれを期待していたかもしれないが、私にはそういう習慣がないため、そのままシエシエと返すだけだった。
こんな格安ホテルにも「サービス料」という名目の加算がされていたし、こんな数メートルの距離で、今までチップを手渡してこなかった私にはそういう発想すらなかった。
「小費、ちょうだい」
男性は言った。
小費、とはチップのことである。
チップの発想がなかった私は訊き返した。
「小費?何?」
「小費、お金」
男性は若干遠慮気味にそう返した。
今まで数々の中国旅行の中で、チップを要求されたのは二度、これが三度目だ。
一度目は西安のホテルで、携帯片手にろくに仕事をしなかったダメマッサージ師。
二度目は年を越した黄山山頂のホテルのマッサージ師。
いずれも、断り渡さなかった。しつこかったけど。
今回の人は遠慮気味だったが、疲れていて面倒もいやだと5元を渡した。
「5元じゃ足りないよ」
なんと。
もういいや、と10元を渡すと男性は諦めて受け取り帰っていった。
楽しみな旅行の初日は、つまらないお金のことで少しうんざりした気分になってしまった。
これだから北京はめんどうだ。
そう北京のせいにして、終わりにした。

日付は間もなく5月2日に変わろうとしていた。
フロントで明日のフライトに間に合う送迎車を予約した、その出発時刻は朝5時。
めちゃくちゃ早くてもう寝る時間もないのに、私にはまだまだやることがあった。
急いでシャワーを浴び、持ってきた大量の荷物を再整理。
旅行初日にすでに疲労困ぱい、いつもの通りだ。

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⇒ 喀什旅行二日目~その一~ へ続く

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まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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