2016-05-22

伊寧旅行六日目~コルガス一日目・前編~

2016年5月3日、本来の予定ではもう国境の街、霍尔果斯(コルガス)へ行っているはずだったが、私はまだイーニンにいる。
昨夜、新源からこの街に戻ってきてここで一泊した。
一刻も早くコルガスに着きたい。
向こうではフェイフェイ夫妻が待っている。

起きたのは7時過ぎ。
北京時間だと5時くらいの感覚でまだ街は暗い。
長距離バスは8時からだと聞いていたが、のんびりしてチェックアウトしバスターミナルに到着したのは9時だった。

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バスターミナルもセキュリティーが厳重だ。
中国ではバスターミナルに入場するときも出入りするたびにいちいち荷物検査を通らなければならない。
かなり面倒だが、これはふつうのことだ。
新疆のバスターミナルを利用するのは今回の旅行が初めてだが、荷物検査については同じだ。
ただ入り口にはやはり銃を持った武装警官がいて、にらみを利かせているところをパスポート(中国人は身分証)を提示して入っていかなければならない。
中国では、特に新疆ウイグル自治区では、長距離バスを利用した自爆テロなどが起きているのでこれは当然の措置といえる。

入場してようやくチケット購入だ。
掲示板を確認したら、コルガス行きのバスは30分おきに出ているようで安心。

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「北京時間」 の文字。
ここでは北京時間と新疆時間とどちらの時間を言っているのか、間違えるとたいへんだ。

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コルガス行き、9時半発のチケットを購入。19.5元。

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バス乗り場に入っていくと、様々な行先が並んでいた。
ウルムチからの夜行列車で朝に通過した、あの“精河”も。
いまさら言うことでもないが、新疆ではたいがい漢字と共にウイグル語が表記されている。
場所によっては蒙古語だったりだ。

コルガス行きのバスは、これがバスかと思うほど小さいというか狭かった。
最初、まさかそれに乗るとは思わなかったほどだ。
今まで色んな中国のおんぼろバスを経験してきたが、今回が間違いなく最強だ。
バスはぎゅうぎゅうで、奥に1、2席空きがあったが、あまりの狭さにそこまで行くのが困難だった。
押し込まれてバスは発車した。
何かがずっと音を発している。
何かと思い斜め前の席の男性を見ると、その太ももの間からが鶏が首をのばしきょろきょろしていた。
生きた動物も一緒に乗車は珍しいことではないが、思わぬところに見えたものだから驚いた。

イーニンからコルガスまで2時間と考えていたが、1時間半後の11時、バスはコルガスに到着した。
途中の景色を楽しみたかったが、意識を失い目を開けたらもうコルガスだった。

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なんでもない場所で車を降ろされる。
あまりにもなんでもなくて、降りる場所を間違えたかと思ったほどだ。
ここコルガスで私をもてなしてくれるロンさんの友達はジーさんというようで、連絡先を教えてもらったのは昨日だ。
予想到着時間を伝えていたが、そして着いたことも伝えたが、いつまでたってもジーさんから返事がくることはなく、こんなところで途方にくれてしまった。
「私はどうすればいいんだ?」
勝手に動いてしまっても迷惑をかけるだろう。

バスを降りたところには、公安があり、さすが国境で公安の車や人もうろうろしていた。
たくさんの荷物を持って(まだ比較的)若い女性が立ち尽くしているのはかなり不審だったはずだ。
公安のおじさんが声をかけてきた。
「日本人で旅行でウルムチ、イーニンを経てここに来たばかり。友達が応対してくれるから大丈夫」
そう答えた。
「ホテルは大丈夫?」 そう言ってあちらを指さす。すぐ近くにホテルがあるようだ。
「大丈夫、ありがとう」
しかし、トイレに行きたかったのでそのホテルで借りようと向かった。
質素なホテルがあり、その横は「国際バスターミナル」と書かれた建物だった。
カザフスタンへ向かうバスがあるのだろうか。
けれど、建物はまるで廃墟のようにひっそりとしていた。

ホテルに入っていこうとすると、微信が鳴った。
見ると、ようやくジーさんから。
「着いた?」
さっき着いたって送ったばっかなのに。
「着いた」 そう返すと、
「公安の車見えない?」 と。
どういうことだ?とバスを降りた場所に戻って行くと、そこにはたしかに公安の車があった。
そこにはイケイケな感じのお兄さんが。公安の制服は着ていない。
「あなた、ジーさん?」 そう訊くと、
「違う、彼の友だち」 そう言って、スマホを私に見せた。
そこにはジーさんと私との微信の画面。
代理で来たということか。だからさっき変だったんだ。
公安の車に乗り込み、出発する。
まさか、中国で公安の車に乗ることがあろうとは。しかも助手席だ。
「あなた、警察なの?」
「違う」
素っ気ない返事。
とても公安には見えなかったが、公安でないならばどうしてこの車を運転しているんだろう。
どちらかと言えば、公安に取り締まられそうなそんな風貌のお兄さんだ。
運転もかなりかっこいい感じだ。
もしかしたらこれは奪った車だろうか。

そんな想像をしていると、あるホテルに着いた。
ホテルのカウンターでは、パスポートを取られてしまった。
返して欲しいと言ったのだが、「預かる」とのことだった。
国境ではパスポートはいろいろな意味で必要なのではないか?
一抹の不安がよぎる。

お兄さんは部屋まで荷物を運んでくれ、一方的に早口で何かを言うと彼は去っていった。
取り残された私は困った。
これからどうしたらいいんだ?
いったいどういう予定になっているんだ?
私の今日の予定はいかに?
ジーさんの携帯はあのお兄さんが持っているので、連絡しても無意味だろう。
とりあえず、ロンさんに「私、今日どんな予定になってるの?」 と送ってみたが結局返事はこなかった。

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これは窓の外の風景。
遊びに行こうにも、なんにもないのだ。お店もないのだ。商店もない。
見渡してみれば、あちこちに空き地。
中国であれば特に観光地がなくとも私は楽しめる。
そう自負していたが、さすがにこれではそうもいかなかった。

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右手を見れば、さらに空き地ばかりだった。
近くにあるのは、あとからわかるが消防署だった。
そのずっと向こうには何か近代的な建物があり、
「こんなところにも都会に見るような立派な火车站(列車駅)があるんだな」
なんて思った。

ホテルに着いて、何もしない状態で1時間が経過した。
ジーさんからの連絡を待っていた。
でも、これでは時間がもったいない!
先にコルガス入りしているフェイフェイに事情を説明し、
「ずっとホテルで一人だよ、何もしてないよ」 と訴えた。
「なら、口岸にいるからおいでよ」
口岸?
霍尔果斯口岸というワードは知っていた。
しかし、具体的にどのポイントを差すのかはっきりわからなかった。
「ホテルを出て、右に進んで最初の信号を左に進んで右側!」
フェイフェイたちも同じホテルのようだ。
なるほど、行ってみよう。

歩いて10分ほどで着いた。

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先ほどホテルの部屋から見て、火车站(列車駅)に見えた建物だった。
ここに着いてもなお、これが何かわからない。
当然ながら火车站ではない。
とりあえず、フェイフェイが言っているものはこれに違いないので入ってみる。

内部はまるで空港のようだった。
セキュリティーチェックを受け、広い構内を順路に沿って進んで行く。
するとやがてイミグレーションがある。
イミグレーションと呼ぶべきものかどうかはわからないが、機能的には同じようなものだ。
やっぱりここではパスポートが必要だった。

時間がもったいないので、タクシーに乗って戻る。
近いのでもったいないが、早く合流したかったのだ。
タクシーに待っていてもらって、ホテルのフロントへ。
パスポートを返してもらう。
先ほどはダメだったがもう用が済んだのか、「すみませんでした」と返してくれた。
宿泊施設が外国人を泊める場合、公安に届を出さなければならないが、ほとんどの場合コピーで対応してくれるのだけど。

タクシーに戻りふたたび先ほどの建物へ。
そして無事イミグレーションへ並ぶ。
流れは空港と同じで、あとはパスポートにスタンプが押されないのと審査が慎重だということぐらいだ。

建物を抜けると、果てしなく続く敷地。
この広大な敷地に建物はいくつもあるようだ。
フェイフェイたちはこのどこに?

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地図があった。
ここは縦長なようだ。その中にある建物はどれも一つひとつとても離れている。
歩いて行くのはたいへんだ。
ここに来るまでに、だいたいわかってきた。
ここはロシアやカザフスタン、そして中国などの製品を購入できる免税区域なのだ。
そうしたショッピングモールがあることは知っていたが、こんな規模、こんな仕組みだとは思ってもいなかった。
空港の免税店みたいなもので、だからパスポートが必要だったわけだ。

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中国語とカザフ語。
さて、ここからどこにどう行こう。
フェイフェイが「义乌にいる」というが、义乌が何かわからない。
地図を見ると、「义乌国际商贸城」というのがあった。あったがけっこう遠い。
「無料の車があるよ」と言っていた。

イミグレーションの建物を抜けたところには、数台のタクシーがお客を待っていた。
また、中国の観光地ではお馴染の電動カートもあった。
そこからちょっと離れて小型バスがある。
私が地図を見ていると、
「乗りな~」 小型バスのおじさんが声をかけてきた。
バスの中にはひとりも乗客はいない。みんな、タクシーや電動カートに乗りこんで行く。
そんなだとなんだか怪しく思えてくるのが人間の心理だ。
「タダ?」
「タダだよ~」 当たり前じゃん、と言ったふう。
向こうの電動カートは30元のようだ。
なぜ、タダに誰も寄り着かない。
「义乌商贸に行く?」 訊いてみた。
「行くよ、それならこの車だよ~乗りな乗りな!」
私ひとり乗り込んだが、乗客は集まらない。
おじさんは中国語で「無料だよ~乗りな乗りな~」
カザフ語でも呼びかける。おそらく同じことを言っていると思われる。
イミグレから出てくる人たちに威勢よく声をかける。
しかし、みなこちらをちらと見た後、あるいは近寄った後、タクシーか電動カートへ乗り込むのだ。
なぜ、タダに誰も寄り着かない。
「無料だよ~」

ようやく数人がこれに乗り込み、出発となった。

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バスから、ここの様子が伺えた。
やたら広い敷地に、ぽつんぽつんと微妙な感覚を開けてどでかいのやらそこそこのやら、商業ビルが散らばっている。
この道はどこまで続いているんだろう。

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义乌、つまり義烏国際商貿ビルに到着した。
それでもまだ勝手がわからない。
中に入ってみても、賑わいとは無縁のようなしんと静まり返った商業ビル内。
ガラガラといえばガラガラで、テナントに入ったお店も売れてるの?と言った感じ。
お客どころか店員が姿を見せないお店も多々。
「ここはやっぱり中国だな」
変なところで実感した。

ところで、フェイフェイはどこに?
微信で何階にいるだのやり取りをしてもこんな人がいない建物の中で全然落ち合えないので、現在地の写真を送る。
すると、また「それどこ?」
そんなこんなを繰り返し、ようやく落ち合えた。

「ハジメマシテ」
なんとそんな不自然な日本語が聞こえ、声のする方をみたら。
チャンさんの横に男の子がひとり。
そう言えば、ロンさんの身内の男の子がコルガスにいると言っていた。
言っていたが会うかどうかは知らなかったし、日本語で挨拶されるとは思っていなかった。
場所が場所だ。

ここで、彼が少し前にQQでコンタクトをとって来た人だとわかった。
QQのチャットグループのメンバーでその名前は知っていたが、個人的なやり取りをしたことはなかった。
それがしばらく前に個人チャットが来たのだ。
「熊本のこと、中国人はみんな心配しているよ」と。
「どこに住んでるの?」 と訊いてみれば
「コルガス」
「そこに私、GWに行くよ」
と言ったものの、こういう流れになっているとは。
現在25歳で、日本語を勉強し始めたんだと言っていた。
添付された写真には、「日本語初級・上」の文字。
チャットで送られてくる日本語はまるで意味をなしていなかった。
翻訳ソフトよりひどいことになっていると思ったもので、ちょっとどうしていいかわからなくなった。
しかし同時に、私の中国語も時としてこんな風に思われているのかも知れないと思うと、複雑でもある。
彼は日本のアニメ、ドラマ、ゲームが好きなんだという。
日本だけでなく、世界にそういう若者は多い。中国ももちろん例外ではない。
私はそういった分野に対し、正直に言えば少なからず偏見を持っているので、そこもまた困った。
大変語弊を招くような言い方だが、顔の見えないチャット上で、私は頼りなくおとなしい男の子を想像した。
しかし、実際に合ってみるとその真逆ですぐに好印象を持った。太好了、だ。
会ってみないとわからないものだ。


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まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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