2016-05-22

伊寧旅行六日目~コルガス一日目・中編~

さあ、これからこの辺を見るぞという時になって、ジーさんから微信が入った。
「今どこ?お昼を食べに行くよ」
困ったなぁ、今着いたばっかりだ。
「口岸に着いたばかり」 と返すと、
「迎えに行くから、(現在地の)写真を送って」
返事に迷っていると、すぐに電話がかかってきた。
私は電話が苦手だ。
中国語ならなおさらだ。余計わからなくなる。
さらにほとんどまだ連絡を取り合っていない相手だ。
その上、ほんのわずかなやり取りで、そんなに親密でない印象ができあがっていた。
電話は鳴り続ける。
出るしかあるまい。
「你好」
間髪入れず、「写真を送りなさいよ」
「今友達といるから、あとで送るよ」
「写真、しゃ・し・ん!写真を送りなさい、私に」
「わ、わかった、送るよ」
電話を切ったあとも、ぐずぐずしていると「写真を送りなさい」とメッセージが立て続けに入る。
「フェイフェイ、どうすればいい?」
私は少しここで彼らと遊んで行きたかったが、それをかのおじさまに説明する勇気がなかった。
私はびびっていた。
やっぱりあの公安の車はきっと奪ったものに違いない、想像がじょじょに現実味を帯びてくる。訳ありに違いない。
「マーヨーズはどうしたい?」
「私はここで買い物したい」
「じゃあ、そう伝えて」
「ねぇ、なんて説明すればいい?こんな感じでいい?」
「私、彼に電話しようか?」
渡りに船だ。そういうことになった。
時刻は15時、少し買い物をしてそのあとジーさんと合流する。

その辺を見て回るが勝手がわからない。
フェイフェイたちはここで中国の製品を格安で買うのだ。すでにたくさんのもの、例えばお酒や煙草なんかを山ほど購入しているようだった。
私はと言えば、ここでイーニンで買えなかった工芸品を買いたい。
工芸品はこの階だね、と今いる階をちょっと回ってみる。

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カザフスタンのお店に入ってみた。
こんな煌びやかな工芸品が棚に並んでいる。
アクセサリーケースや、この写真はティッシュケース。

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このようなグラスも。
ウイグル界隈でよく見かける、煌びやかな茶器もこの系統だ。
訊いてみるとこれらはみなロシア製とのこと。
もしかしたらウイグルのも実はロシアから入って来たものだろうか。

このお金持ち系のグラススタンドと、先ほどのティッシュケースを購入。
フェイフェイがどんどん値引き交渉してくれる。
さすがだ。
見ていて感心してしまう。
値引きはひるんだら負けだと思った。
合わせて260元で購入。

煙草もあった。

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文字はカザフ語。見たことがないものがほとんどで、どれがどの国のブランドかはわからない。
その中に、「メビウス」を見つける。
「これ、日本のだよ」
「え、日本のはここにはないでしょ?」
店員さんもフェイフェイも顔を見合わせる。
どうやら、カザフの店員さんも知らなかったよう。
「でも、日本のだよ」
しかし、SKY BLUEの文字。日本のにはこんな文字はない。

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1カートン購入していく。140元。
その他、ウイグルのお土産屋さんや空港なんかで売っているのと同じような手鏡を購入。ロシア製。
こちらもフェイフェイが値切り、二つ合わせて100元、さらにカザフの板チョコをパッケージ買いしまとめて170元で購入。

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チョコレートはカカオ70%など、安心して美味しい。
中国のチョコレートは日本人には品質の観点からも味から見ても、あまり喜ばれない。
けれどこれはカザフ、あるいはロシア製で、試食もしたがほとんど純粋なカカオの味で美味しいので、安心してばらまきお土産に買って帰れる。
「中国のチョコレートじゃないから大丈夫だよ」が喜ばれる合言葉になってしまうのは、残念なことだ。
パッケージはカザフ語とデザインがきれいで、もっと買ってくれば良かった。
以前にロシア・サハリンを訪れた際にも、チョコレートがかわいくてデザイン買いしたものだが、いざ食べてみると味はイマイチだった。今回は試食をしたのでOKだ。

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ロシアの食器なんかも売っていた。
しかし、店員が見当たらず、どのお店も万引きされてもおかしくない。

数店舗軽く見て回り、エスカレーター脇のベンチへ戻ってくると、旦那のチャンさんと、例の男の子シュー・イーハンが待ちくたびれたようにしている。
チャンさんは完璧待ちくたびれている。
日本も中国も男女ってこういうところは同じだった。
そしてフェイフェイの荷物はチャンさんが持ち、私が買ったすでに大量のお土産はシュー・イーハンが持ってくれる。
こういうところは日本より中国に間違いなく軍配が上がる。

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建物を降りて行き、乗って来たのと同じ無料バスに乗り込む。
「みんなタクシーと電動カートに乗ってくんだよ、これ無料なのに」 そう私が言うと、
「みんな無料だって知らないんだよ」 とフェイフェイ。
無料だってあれほど言ってたけど、胡散臭かったのかな。
サービスいいのにみんなにスルーされてかわいそうに思ったほどだ。

再び、例のイミグレーションへ。
空港と同じく出る時にも審査を受ける。
中国人に比べ、やはり外国人の私は慎重にされる。
「中国語話せるのか?」
「少し」
「何しに来た?」
「旅行で」
うしろでフェイフェイがフォローする。
「私たちは友達で、彼女に付き合ってる」
パスポートが返却され、通過。空港の入出国審査より厳しい。

ホテルへ戻ると、到着時に公安の車でホテルまで送ってくれた、あのイケイケなお兄さんが再び迎えにきた。
みんなで公安の車へ乗り込む。
車には、ジーさんがすでにお座りになっていた。
ひと目でわかったのは、やはり私の印象通りの雰囲気を発していたからだ。
お兄さんがフェイフェイたちに、私を乗せた時のことを話している。
「マーヨーズ、彼に警察?って訊いたんだって?」 みんな笑う。
だって、そうじゃない?
私は未だに彼の素性を知らないし、帰国した今も知らないままだ。
お兄さんの運転はやはりかっこいい感じだ。
スピードもぐんぐん上がり、120㎞を越したところでメーターを見るのが怖くなり止めた。ここは一般道だ。

あるお店に辿り着き、みんなで入店。
ジーさんとお兄さんはもう食事が済んでいるようで、
「私はいいから君たち、食べたまえ」

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いただいたのは4つのおかずと各人1皿ずつの麺。
自分の麺におかずを好きなように載せて行く。複数混ぜてもOKだ。
トマトと卵の組み合わせが美味しいのは言うまでもないが、他のどれもが美味しかった。
時間さえあればすべて完食したかったくらいだが、私の隣にはジーさんがおり、少し緊張していた。

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「麺はいいからこっちを食べなさい」
羊肉を指して言う。確かにそれは立派な羊肉だった。
ちなみにジーさんの話すことをさもわかっているかのように書いているが、実はそうではない。
彼の話すことは、簡単な中国語でさえも聞き取りにくく、全然理解できなかった。
その都度フェイフェイが中国語で、「こういうことを言っているよ」と私に説明してくれた。
ジーさんの中国語をフェイフェイが中国語で通訳するという奇怪な図がここにはあった。

想像通り、ジーさんとお兄さんはお酒が飲める口のよう。
飲めない方が不自然だという外観からのイメージがあり、まあその通りだったというわけだ。
みんなも、「マーヨーズはお酒好きだよ」と話してくれる。
「お酒飲んできたのかね?」
「うーん、あまり飲んではいない」 事実、あまり飲む機会はなかった。
けれど、お酒の話なら私にもできる。
けっこうお酒の話は話題にもってこいなのだ。
「でも、昨日白酒は飲んだよ」
そう言って、ザックから二锅头白酒の瓶を出すと、二人は爆笑した。
「やった…!」 怖い雰囲気の二人の笑いはちょっと安心した。
(比較的まだ)若い女性の外国人旅行客、それがこんなのをひょいと出したら確かにそれはたいそう滑稽なのは間違いない。
しかもここに来て、二锅头だ。
しかし、ここでハードルを上げてしまったことを後ほど後悔するのを、この時の私はまだ知らない。

食事を終えて、ホテルに戻り、みんな私の部屋に集合した。
ジーさんが椅子にお座りになり、私たちはベッドに適当に腰かける。
ここに来た目的は、私が遠路はるばる手に持ち運んできた、あのカメラ一式だ。
もうこれが物量が大きく重くて重くて。
初日ならともかく、コルガスが最後の目的地だったから大変だった。
「早くみたいよ、私は」
そうおっしゃるので、一つひとつ取り出し見せる。
満足していただけたようで、ジーさんは笑顔を見せた。
こうして私の任務は完了した。
商品を選定したのは私なので、いろいろ大変だったが喜んでもらえて嬉しいし、日本製への信頼感を実感するのはやっぱり日本人としてこれもまた嬉しい。
日本で購入したあれこれは、宅配便でもなく私の手で、中国大陸を横断し一番隅っこまでこうして運ばれてきたわけだ。
感慨もひとしおだ。

ジーさんの話すことは相変わらず聞き取りにくかったが、ここの観光の話に話題は変わったようだ。
「私、カザフとの国境を見てみたい」
そう言うと、立ち入れないよな、とかなんとかうまくいかないような話をしている。

旅行前に友人と話していた。
「私も行ったことあるけど、本当になんにもないよ。なんにも」
「それでもいいんだよ、国境に行きたいの」
「前はね、境界線の標識まで行けたけど今はそこまでは行けなくなった。手前までだね」
その手前でも写真撮影はできないんだという。
そう言えば、旅行計画初期にロンさんが言っていた。
「マーヨーズ、行きたいところがあれば早めに言いなさいよ」
この地方は外国人が立ち入れないところも多い。事前に許可を取るから。
国境付近も、昔はこんなに厳しくなかったんだ。
以前にアメリカ人だか日本人の旅行客がこの辺りでGPSを使ってしまったんだよ。
それ以降、厳しくなったんだ。
そう話していた。

結局、国境へ行きたいという話はそこで終わった。
「それよりも、ここには那拉提よりずっときれいな場所があるんだ」
ジーさんはそう言った。
那拉提は昨日、ルオさんたちが連れて行ってくれた新源の風景区で、新疆きっての風光明媚な場所だ。
那拉提なんかより…というニュアンスを感じ取り、少し複雑。
連れて行ってもらったばかり。
そのお勧めの場所が聞き取れず、隣りのシュー・イーハンに書いてもらう。
「库尔德宁」
コルラと発音が似ているなと思ったら。
「今回は時間がない。次回ここへ来る時には、連れていってあげよう」

「明日は時間があれば、锡伯(シボ)族の村に連れて行ってあげよう」
ジーさんはそうおっしゃった。
「シボ族は清朝、1860年に東北地方からこの地方へ辺境を固める為に移住してきたんだ」
こんな話に限って、フェイフェイの通訳なしでも入ってくるのが不思議だ。
この話は、二年前にウルムチに来た時にロンさんが私に教えてくれたのを覚えていた。
もともとは東北地方だったというのが意外だったのを覚えている。
ウルムチ博物館の少数民族展示のコーナーでその話をしてくれたのだった。

このあとジーさんたちは帰り、残ったメンバーで再び口岸へ向かうことに。
しかし、チャンさんは一人残るそう。
フェイフェイと、シュー・イーハンの三人でホテルを出発し、歩いて向かった。


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まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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