2016-07-26

秦皇島旅行二日目~その一~

2016年7月16日、6時にかけた目覚ましではなく、窓から入り込んでくるけたたましい音で目が覚めた。

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窓の外はこんなふう。
まるで線路で一泊したみたいな気分だ。
日は昇ったばかりだけれど、北京站の一日はもうとっくに始まっていた。
まだ6時だというのに、騒々しさになんだか寝坊してしまった気になる。

ホテルをチェックアウトし、北京站へ。
乗車するのは、7時50分発、Y509次。
北京站発、秦皇島行き。3時間20分で到着する。

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Yという列車番号は見慣れなかった。
動車なのか?普通列車なのか?
高速動車であれば2時間半、普通列車であれば4~6時間の距離だ。

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車両はこのように普通列車の方だった。
ただし観光客向けに運行される車両のようで停車駅が少なく、それもあってか動車より少し遅いくらいで到着する。

深い緑の車体に貼られた、始発ー終着を示す表示。
写真を撮ろうとしていると、駅員さんが「撮るの?」と言いながらカメラの視野に入り込んできた。
何をするかと思えば、この表示をまるでセロテープを剥がすみたいに軽く剥がしていく。
こうなってるんだー!
ビーっと一気に剥がした後、新しいシールを手慣れた手つきできれいに貼り付ける。皺一つなく傾きもない。
私はてっきり、これは車体に直接書き込まれたものだと思っていたので、驚きだった。

たった一度、北戴河へ停車したあと、間もなく終着、秦皇島へ。11時を少し過ぎていた。
タクシーで市内へ。
予約をしていたのは、建設大街と文化街が交差する辺りにある「秦皇島海上海国際酒店」。

「新疆から荷物ひとつ届いていますか?」
フロントで真っ先にそう訊く。
というのは、友人に頼んでいた小包は大事なもので、無事受け取れるかどうか一抹の不安があったからだ。
新疆はたいへん遠く、中継を挟めば挟むほど時間もかかれば荷物の安全性も下がっていく。
以前、間に合わなかったことがあった。
さらに、荷物を途中で抜き取られたのではないかと疑ったこともあった。
荷物は無事届いており、受け取ることができた。
あとは自分が送りたい小包も三つあったので、宅急便を呼んで送ってもらうことに。

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こちらは部屋からの景色。
雨は降ってはいなかったが、いつ降り出してもおかしくないような天候だった。
昨年今頃の南京旅行では、土砂降りの雨にやられてしまったんだった。
もう同じ轍は踏むまいと、ザックにその南京で購入した折り畳み傘をしまった。

ホテルを出た時、すでに13時を過ぎていた。
今日予定している場所はバスも通っていないので、文化街を南下していって繁華街のあたりでタクシーを拾おうと、少し散歩してみた。
途中で小さな中国工商銀行に立ち寄り、元をまとめて引き出す。
枚数を数え、100元札を軽くチェックしていく。
中国ではATMからも偽札が出てくることがあるのだ。
すると、見慣れないお札が混じっている。

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100の文字も違うし、お札番号のあたりも違う。

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ちなみにこちらが慣れ親しんだ100元札。
…もしかして、とうとう偽札にあたってしまったのか?
悲しい思いで新疆のロンさんに画像を送ると、
「それは今年、偽札防止の為に新しくデザインされたお札だよ。問題ない」 との返事。
そう言えば、ニュースで見たような気もする。

昨日北京で中国スマホを手に入れた。
今度はこれを通話できる状態にするために、SIMカードを購入して電話番号を手に入れなければならない。
私の場合はちょっと特殊だった。
中国に長期滞在するわけではない。
日本にいるときは使用しないが、電話番号は同じ番号をずっと使いたい。
ロンさんが、「そういうふうに契約しないとダメだよ。月額5~10元くらいの安い使用料で契約しよう」 と教えてくれた。
ちなみにインターネットは不要だ。
そういうわけで、手続きする時に困ったら電話しておいで、と言ってくれたので、秦皇島滞在中に連絡することになっていた。
今ちょうど連絡がとれているので、このままお店に行ってみることに。

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中国の都市部には携帯関連のお店はそこら中にある。
いただいたスマホには中国移动の文字があったので、やっぱり中国移动のお店がいいかなと思い、ここに入店。

お店のお兄さんにまず、自分は日本人で中国語が拙いことを説明し、携帯を手に入れ番号を入手したい、中国滞在中のみ使いたいなど、要点をゆっくり伝えた。
よくあるみたいに、「はぁ?」みたいな反応を予想していたけれど、お兄さんは嫌な顔一つなく辛抱強く私の話を聞いてくれた。
スマホに充電がされていないことを知ると、「自分のあるよ」と接続してくれた。
さらに、どこかに電話をかけて私の要求に対して何かを問い合わせてくれた。

「新疆の友達が私を助けて電話で説明してくれるんだけど」
そういうと、
「北京で携帯を受け取ったんじゃないの?」
「それは彼のいとこ」
「じゃあ、自分の携帯でかけてあげるよ」
ロンさんに電話をかけてもらう。

電話の向こうでロンさんの元気な声が聞こえる。
「彼女は旅行でくるのだから、ここより北京で手続きした方がいい」
お店のお兄さんはロンさんにそう説明した。
北京の方が便利という話でもあり、しかしそもそもここでは手続きできないようだ。
「パスポートの処理が必要」
お兄さんはそう言った。

ロンさんの電話を代わってもらった。
「マーヨーズ、ここではできない。だから北京に着いたら私に電話しなさい。わかった?」
「ここではできない。明後日、北京に着いたらあなたに電話すればいい。そうでしょ?」
「对」(そう)
私はオウムか。

しかし、北京では時間がない。
明後日は北京站に到着したらすぐに空港へ向かわなければならない。
だいたい私は携帯だの契約だの、この手の話が大の苦手分野なのだ。
日本語でもよくわからず頭が痛くなるのに、中国でそういう話ができる訳がない。
こんな疲れることを、要領よく少ない時間でこなせるとは、とても思えなかった。
お店のお兄さんはとても親切だった。
ロンさんもそう話していた。
北京で接客してくれる人もこんな人だとは限らない。

これで一通り用事は終わったので、いよいよというかやっと観光に出掛けることができる。
時刻はもう14時半だった。

これから向かうのは、市街地から離れた海沿いにある“秦皇求仙入海处”。
本当はそこに行ったあと、明日行く予定の山海関にもちょっとだけ下見に行って見ようと思っていたが、これでは時間がないだろう。

秦皇求仙入海处は、ちょっと離れたところにあるうえに、バスも通っていないよう。
そこでリヤカータクシーを拾って乗ってみた。
「チケット買った?」
「まだ買ってないよ」
しばらく走っていくと、運転手のおじいさんは教会の横にある公園のようなところにガタガタと入り込んでいく。
「なんでこんなところに入って行くんだ?」
「チケット買ってないでしょ、向こうでは買えないからここで買った方がいい」
そう言う先には、簡易なプレハブが。
プレハブでありながらも観光の窓口のようで、チケットを買えるよう。

「80元のと45元のどっち?」
売り場の若い女の子はそう訊いてきた。
「どう違うの?」
「si di」
?なんだ?…答えは4D。どうやら80元のチケットには4Dの映像観賞料金が含まれているよう。
なかなか納得してくれないのをやっと納得してもらい、45元のチケットを購入。
しかしここでは電子チケットを購入し、現地でそれを提示し入場券をもらうもよう。
携帯のショートメールで受け取る為、中国の携帯番号が必要。
運転手のおじいさんの携帯で受け取ってもらう。

“秦皇求仙入海处”へ着き、おじいさんにはここら辺で待っていてもらうことに。
バスがなければタクシーもなかなか通りそうにない。
先ほどおじいさんは「ここではチケット買えないから」と言っていたが、全然そんなことはない。
もしかしたら、あのプレハブ窓口と繋がりがあったのかもしれない。
料金もまったく同じだった。

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入場すると目の前には巨大な始皇帝像。
5頭の馬が始皇帝が乗る車を曳き、その後ろにもたくさんの騎馬が続いている。
すごい迫力でその権力を示しているかのよう。
西安の兵馬俑に展示された青銅の馬や車を思い出した。

「秦皇島」
この地名はそのまま秦の始皇帝を示している。
紀元前221年、各国乱立する中、初めて中国全土を統一した嬴政。
初めて「皇帝」を名乗った人であり、皇帝の始まりであることから「始皇帝」と呼ばれるようになった。
この始皇帝、不老不死を求めたことで有名だ。
文字や度量衡の統一その他よりも、そちらのイメージが強い人も多いのではないだろうか。
ここ秦皇島は、秦の始皇帝が不老不死を求めて訪れた海だ。
そしてここ“秦皇求仙入海处”は、まさしくその場所だということだ。

敷地内は広く、「始皇帝が海を望んだ場所」なのだからとりあえず海へ向かえば間違いないだろうと、海へ向かう。
いくつかのお土産屋さんの中に、果物を切り分けて売るお店が並んでいた。
ストローが刺さったヤシの実に、マンゴー。
中国では季節折々、そしてその土地々で違った果物に出合うことができる。多彩だ。
行く先々で売られる果物を見るだけでその土地を感じることができるし、それだけでもすごく楽しい。
ここ秦皇島はけっして南国ではないけれど、海に面していてリゾート地だ。
だから南方から取り寄せているのだろうそんな南国フルーツもお似合いの雰囲気。

ヤシの実に惹かれて覗き込んでいると、おじさんが「試食していいよ」とハミ瓜を一切れ差し出してくれた。

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そのまま一皿購入し、テーブルで座って食べる。
「これ、本当にハミ瓜?」
私が大好きなハミ瓜はオレンジ色の淡白な甘みのメロンだが、このハミ瓜は皮が黄色く果肉は白く、食感と風味は梨のよう。若干の酸味もある。
切り分ける前の形は大きな楕円をしていた。
「本当だよ、ハミ瓜」
おじさんはその後も向こうを向いてはまたこちらに来てを繰り返した。
「今日は涼しくて、全然売れないよ」
そう言って、まいったなーという風に苦笑している。ヒマなようだ。

新疆の友人、チャン・イーにハミ瓜じゃないみたいなハミ瓜を食べたと言うと、
「それ、ハミ瓜だよ」 と。
新疆ウイグル自治区が産地であるハミ瓜だが、その種類もいろいろある。
他の場所で採れたハミ瓜はそんなふうに甘くないんだよ、と。
「南橘北枳、この言葉知ってる?」
南では甘いミカンも、北では渋くもなるし形も小さい。
なかなか奥深い言葉のようにも思える。

うろうろして見ると、向こうに石碑が見えた。
その向こうは海のようだ。

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この石碑、台座に亀を配した亀扶碑だ。
亀の頭側が表になるが、この亀扶碑海の方を向いている。
すぐ先は茂みになっており、その向こうは海だけれどここからその先には進めない行き止まりだ。
つまりここへやってくる人はみな、裏側を拝むことになる。
ここの主役はあくまで海のようだ。
この写真は亀扶碑の表側を撮ったもの。

ふたたび順路に戻り、海の方へ行こうとすると、右手の大きな階段の上に立派な建物を見つけた。
建物自体は新しく作ったもので、内部はあまりにも何もない展示室のようになっていた。
展示としての体を成していないほどだ。
とりあえず建物をつくったけど中どうしようかと考えたものの、アイデアが浮かばなかったよう。
中身の為に建物があるのではなく、建物のために中身が用意される。
中国ではよく見られる光景だ。

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建物よりもそこから眺める景色がよかった。
向こうには海がみえる。これから進む道だ。

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始皇帝と言えば、兵馬俑。
もうイメージが短絡的だなと思うのだけれど、この海へ続く道にはいくつもの兵馬俑が配されている。
兵馬俑は、始皇帝が陵墓に祀られるときに実際の人間を埋める代わりに用意された人形だ。
不老不死を求めて始皇帝がやってきた海。
そこに兵馬俑を配するとはなかなかの皮肉ではないかと思うのだが。
たくさんの観光客がこぞって写真を撮っている。


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まゆさん、お久しぶりです!
ますます中国を極めていらっしゃるようで流石でございます(^▽^)
秦皇島、始皇帝に関連したところとは興味深い。
しかし現地の人にとってはそこまで興味ある場所ではないんでしょうかね?
中国での始皇帝の扱いってどんなもんなのか気になります。
まゆさんの旅行記見てると僕もまた中国行きたくなってきちゃいますよ(*'ー'*)

Re:

セヨシさん、お久しぶりです!
みんな始皇帝にはほんと見向きもしてなかったです。
中国人観光客はみんなでわいわい楽しみたい人が多いようで、感傷に浸って歴史を想像する…という人はあまり多くはないのかな、と常々思っています。
セヨシさん次の旅行のご予定はありますか?
中国に限らず世界各国、今まで気軽に旅行できたような国でさえ、安全でなくなっている最近です。行く場所も選びにくいですよね…。
私は盆休みに新疆ウイグル自治区に行って来ました。

歴史遺産をテーマパークにしてしまうのも、あまり歴史に興味がない性格が出てるのかも知れませんね。
残念でもあり、中国らしさが感じられる気もして複雑です(笑)
まゆさんのおっしゃる通り最近はヨーロッパですら気楽に行けなくなってしまった気がします。
僕はちょっと仕事でゴタゴタがあって旅行にはしばらく行けそうになく、ブログも超スローペースです(泣)
なのでまゆさんの旅行記などを拝見しつつ気を紛らわしておりました(*'ー'*)
そして新たに新疆ウイグル自治区とは、これまた楽しみにしております!

Re:

そうなんですか、つらいところですね…。
仕事があるからこそ旅行にも行けるんですけど、楽しみがなくなってしまうと残念です。
でもその間に世界中のこの危険な感じが少しはよくなってるといいですね、ほんと。
じっくり次の旅先を熟考する機会かも知れません。
これから徐々に旅行記書きだしていこうと思っています。
よかったらまたご覧になってください(^_^)

忘れてましたがGWは成都に行ってました。
セヨシさんが乗ってきたら面白いな…というノリもあったんですが
残念ですた。。。
今回はまともに四川料理を食べられました。
辛いけどやはり美味いものも多いですね。

そして、三度目の西安に。
目的は崋山に登ることでした。
多分、いつかまゆさんは登られると思いますが
お先に失礼しました。
丁度同じバスで移動してきた女子二人(新疆の少数民族(聞いたこと無い民族))と
別の男子二人(上海と南京に住んでる同学)
が一緒に行きませんか?って声掛けてくれたので
ロープウェイも一緒に乗って楽しい登山となりました。
話し方が穏やかでかわいらしく感じました。
新疆ではウイグル語も使うと言ってたので、母語じゃ無いのもあるのかもしれません。
高所恐怖症だと少し怖い所もありますが、崖を登る所は迂回路もあるので、普通に登れると思います。
白い岩山は他で見たことも無く圧巻なので、割とお勧めです。
長空桟道もノリで行っちゃいました。僕は大丈夫でした。中国の安全装置に身を任せるのには抵抗がありましたが。。
プロフィール

まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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