2016-07-26

秦皇島旅行三日目~その一~

2016年7月17日、実質観光に動けるのは今日一日しかない。
目的地の山海関までは多少距離があるので、極力早く早朝から行動を開始する予定だったが、昨夜も眠ったのが遅く起きたのは7時だった。

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ホテルを出て、昨日と同じように文化街を南下して繁華街の方へ。
バスの路線は調べてあり、25路のバスで山海関まで行けることがわかっていた。
そのバス停は太阳城北辺の大きな商業ビル前にある。

25路のバスは、いつも乗る中国のバスとは少し違っていた。
通常乗車時に1元か2元くらいの乗車賃を運転手横の料金箱に入れて乗車するが、その箱には袋が被せられ「集金する人がいる」と書かれていた。
すでに乗客できつきつの車内だったが、女性が集金に来た。
行先を訊かれ「山海关第一关」と答えると、3元だった。

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こんな乗車券を破ってくれる。なんともレトロだ。
一定の距離までは2元で、途中から3元になるもよう。
郊外へ出ると、景色は開けた。
乗客のほとんどは観光客のようで、やはり特殊な路線なのかもしれない。
途中途中でお客は降りて行く。その先には海水浴場があるようだ。
小さなお孫さんを連れたおじいちゃんなんかもいて、心が和む。

25路の最終站は「山海关火车站」。
その手前、「山海关南门」、「天下第一关」が降りようと考えていたバス停。
思ったより道のりは長く、乗車してから40分以上経過してようやく辿り着いた。
とりあえず「天下第一关」で降りてみるも、進むべき方角がわからない。
すぐ向こうに中華風の大きな建物が見えたのであれに違いないと進んでみたら、それは列車駅、山海关火车站だった。
火车站、第一关、南门、このどれで降りても対した差はないが、南門で下車すればそこからもすぐ入場できたはずなので、私はひとつ行き過ぎてしまったかもしれない。

站だと気づき戻ってみると、向こうに大きな城壁が見えた。
あちらが、“山海関・第一関”だ。

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「山海関」
この地名が示す通り、ここは山と海に挟まれた関所だ。
あの万里の長城の一部にあたり、“嘉峪関”、“居庸関”と並び、中国三大名関のひとつに数えられる。
今から訪れる“天下第一関”とは、山海関古城の別名を持つ、四方を城壁で囲まれた要塞だ。

この城門をくぐって間もなく、城壁へ登る登り口があり、チケットを販売していた。
私は複数の観光地に入場できる125元のチケットを購入。
入場する時に、指紋チェック。
これで再入場ができない仕組みになっていると思われる。

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重建、補修等はされているかも知れないが、新しすぎる感はなく、十分に古い城壁を感じることができる。
この城壁、1381年に建造されてから600年の歴史があるそう。

ここを登ってすぐが、四角い山海関第一関の南東の角にあたる。

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傾斜はけっこうな角度を持っている。
右側が階段で、左側がバリアフリーになっている。車や武器などはこちら側から運んだのだろう。

昨日は果物売りのおじさんが「商売にならないわ~」と嘆くほど涼しかった秦皇島だったが、今日は嬉しいことに青空が広がり、肌は今にも日に焼けそう。慌てて日焼け止めを塗る。

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入場して登り切ったところにある楼閣。「靖辺楼」
明代に創建され、数度の重建修復を受けた。
1933年には楡関事変の際に、日本軍に破壊され、1986年に当時の通りに再建された。
L字型の楼閣で、一般的な城壁の楼閣と違うのは、その内部。

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簡素な内部は二階建てになっており、監視窓が多数備えられている。
ここは華やかなお城なのではなく、間違いなく要塞なのだった。

私にとって、山海関のイメージは、北方民族にとって天下取りの最後の砦。
ここはもっとも強固な要塞であり、しかしこれさえ越えれば中原の覇権が待っている、そういう場所だった。

清代、ホンタイジが果たせなかった山海関越え。
その子、順治帝のとき、各地で反乱が起きていた。そのうちの一つが、李自成率いる反乱軍だ。
李自成が北京を攻撃したとき、明軍は清の南下に警戒し山海関への警備を固めていて、紫禁城は手薄だった。
その隙をついた李自成率いる反乱軍により、1644年、紫禁城は陥落。明は滅亡した。
明の滅亡を受けて、山海関を守っていた主将・呉三桂は清に帰順。
清は中原までの最後の難関、山海関を越え、北京入りを果たした。
李自成は北京陥落後すぐさま即位し皇帝を名乗ったが、清の入京を受け、玉座を温めることなく即座に紫禁城に火を放ち逃亡。
清はもぬけの殻となった紫禁城をそのまま宮城とし、中国王朝歴史の終幕までここを都とするのである。

山海関を越えることは、すなわち中原の覇権を握ることと同義だった。
それは翻せば、中原王朝にとってこの関所は命運そのものだったと言っても過言でない。

浅田次郎 「中原の虹」は、清の山海関越えと、張作霖による北京攻略の野望を、同時進行で交錯させながら描いている。
この小説においても、山海関は覇権の象徴だ。
それは単に東北に築かれた強固な城壁というだけではなく、古来様々な国や王朝が入れ替わり立ち代わり入り乱れながらも広義の中華文明を作り上げてきた、この国の歴史の本質をもまた象徴しているようにも思える。

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ここ靖辺楼から城内を振り返って。
左側が南辺、写真には写っていないが右側には東辺が伸びている。
今から東辺を北へ向け進むことになる。
周囲4769m、城壁の高さは11.6m。要塞にしてはかなりの大きさだ。
城内は現在、たくさんの住居にそのまま人が暮らしている。

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一辺はそうなると1㎞ほどなのだろうか。
向こうの楼閣が小さく見えた。
城壁には小さな銃眼が点々と向こうまで続いている。
これもまた戦いの歴史を思わせる。

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向こうにはまた別の楼閣が見える。
古い屋根を修復する人たち。
他の古城と違わず、ここもまた改修に追われているよう。これからどんどん風景は変貌していくことだろう。
実際、城壁すぐ外には広く整備された観光客用の駐車場があり、そこから入場してすぐのところには近代的な観光案内所ができていた。
それを誇らしげに示す広告も、古い城壁の上に掛けられていた。

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古い屋根の重なりに向こうに建ち並ぶ近代ビル群。

東辺を歩き向こうの楼閣まで行ってみると、そこはここ一番のメイン所のようだった。

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「天下第一関」の力強い文字。
この天下第一関、“天下で一番”という意味ではなく、単に“一番最初の関所”という意味だ。
この山海関、漢代すでに存在した城壁を、明の朱元璋が徐達に命じて整備建造させたもの。
一番最初というのは時系列にという意味ではなく、東から数えて一つ目の、という意味になる。

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内部には山海関を描いた絵があった。これはわかり易い。

一番右に、海に突き出したところがある。
これがこのあとに訪れる予定の“老龙头”。長城の一番先っぽだ。
そこから左に伸びてきて、大きく四方に形作っているのが今いる“第一关”。
ちょうど私が今いる東辺を経過しそのまま背後の険しい山々に長城は続いている。
その長城はそのままうねうねと西へ続き、万里の長城を形成しているのだ。
複雑に形を変えながら9000㎞もの距離のびている万里の長城。
ここはいわばその端っこなのだ。

この楼閣の先は現在通行止めになっているようだった。
そこでここから下に下りると、またそこは多くの観光客でごった返している。

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弾き語りで様々な演目を演じているおじいさんに群がる観光客。
その脇には鮮やかな花が咲き乱れていて、明るい風景だった。

下からは先ほどの楼閣を望むことができた。

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天下第一関の大きな額が下からみても大迫力。
下に下りてみないとこの門の大きさはわからない。
レンガの重なりは、歴史を感じさせる風格があった。

東辺と言っておきながら字面的には矛盾するけれど、こちら側は北方民族ににらみをきかせていた側ではないかと思う。
一番重要な門だったはずだ。

時間がないのでここからそのまま南側へ向かい城外へ出てしまう。
城内を散策することはできなかった。
チケットには城内にある鼓楼と王家大院というお屋敷の入場料が含まれていたが、やむを得ない。

時刻は11時。
今日は時間が足りなくて急がなくてはいけないので、お昼を食べる時間はなさそうだ。
そこで、水分補給も兼ねてご飯代わりに西瓜。

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トイレに行きたくなるのを避け飲み物はほとんど飲んでいなかったが、それなりに暑くなってきたので、そういう時には果物で水分補給するのがいい。
周囲にも西瓜を食べている観光客がたくさん。
汗が流れるほど暑くはないが、それでも日差しは強かった。

次に向かうは、先ほど楼閣に飾られた絵でも確認できた、“老龙头”。
長城が海に突き出た場所だ。
バス停から同じ25路に乗りこみ、2元を支払う。


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まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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