2016-07-26

秦皇島旅行三日目~その二~

25路のバスに乗り、来た道を少し戻る。
いくつかバス停を通過したのち、「老龙头」で下車。
大きな交差点に降り、人に訊きながら進んで行くと、観光客で賑やかになってきた。

いくつかの売店が並ぶ。
昨日のように、貝殻を扱った飾り物や、こんなものも。

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こんな巨大な貝を食べるのかなと覗いていると、その貝は真珠を持っていた。
お店の人が声をかけてきたので見てみると、「1粒2元から」の文字。
テーブルには指輪の台座やアクセサリーの金具があり、これで好きに作ってくれるもよう。
いわゆる安物なんだけど、おもしろそうだなぁと思った。
一瞬迷ったけれど、時間がないことと、以前に厦門で真珠のピアスとネックレスを買ったことを思い出して、やめた。
私はシルバーはほとんど身に付けないのだし、あれで十分だな、と思ったのだ。

さらに進んで行くと、北京オリンピックの石碑があった。

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「第29届奥林匹克运动会火炬接力 秦皇岛站,起点」の文字。
2008年北京オリンピックで、秦皇島で聖火リレーが行われた時のスタート地点がここなのだそう。
ぎっしりとたくさんの名前が刻まれている。
ここだけでこんなにたくさんの人が聖火を繋いでいることが驚きだった。

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間もなくして入場門。
先ほど購入したチケットを提示して、またここでも指紋をスキャンして入場。

次の目的地“老龙头”は、長城が大海に突き出した場所。
私はてっきり入場すればすぐそこは海だと思っていた。

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入ってすぐこれ。
他の観光地と違わず、覗くところは山ほどあるようだ。
入場してすぐ右手にあるこのエリアはここに駐屯する兵士の生活を支える場所のよう。
これらは穀物を貯蔵したり、食事を作り食べたりするところ。
当時の石臼や、テーブルがいくつも並んだ食堂があり、奥には大きな釜があった。

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これがお風呂にしても大きいくらいに大きい。
ここでは一度に900人余りの食事を作ることができたのだそう。

このお釜、覗き込んでみると遥か下にはお金が投げ込まれている。
手前にある木で作られた穴は、その為のものなのだろうか。
これがあると、確かにその穴を通してお金を投げ入れてみたくなるような気もする。

お釜の横には地下に続く階段が降りており、気になって覗いてみると。

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けっこう大掛かりな作りだ。地下から火を焚いたのだろう。
このお釜には神さまも祀られていた。
ここに駐屯する兵士たちはいつ命を落としてもおかしくなかった。
ここはもっとも強固な砦だ。
毎日の食事は命の源であり、またその食事がいつ最後になるかもわからない。

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すぐ先には牢屋も。
規律を乱した兵士を投獄するもの。
ここには二部屋しかなかった。二部屋で足りるなら、軍のまとまりもなかなかではないか。

厩があり、兵士の休息所があり、なかなか本命に辿り着かせてはくれない。
かなりの広さだ。

そのうち「八卦陣」というのが現れた。

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八卦陣といえば、中国歴史ドラマなんかで戦いのシーンに登場する陣形とか、あとは怪しげな術に使われるイメージ。
確かにそんな形に見えないことはないが、私には迷路にしか見えず、観光客もみな迷路を楽しんでいる。

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歩いていくと、いよいよのところまで来た。
ここを越えれば、その向こうは海だ。

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左手をそのまま進めば、長城の先っぽに。
右手に降りて行けば砂浜へ。

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一部、このように当時の城壁の基礎が残されている。
この老龙头、建造は1579年。
その後清代に重建されているが、1900年八カ国連合軍により破壊を受け、1984年に再建されている。

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振り返るとこんな感じ。
先ほど越えてきたあの楼閣も破壊され再建されたものだ。
手前に写る石碑は唐代のものだと言われているのだそうだが、同じく八ケ国連合軍の攻撃に遭い失われた。
その後、1927年に張学良がこの地で遊泳した際に見つかり、ここに新たに建てられたのだとか。

一番先っぽまで行きたいと、中国人観光客のぎゅうぎゅうに負けず張り合っていると、そんな人混みも興味を示さない空洞が。

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長城の建物の内部に、かつての基礎がここにも残されていた。
600年の歴史を持つ基礎だ。

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先端部分まであと少し。

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内部はこのようになっている。
いくつもの窓があり、内部は区切られている。
ここから海からの急襲に備えたのだろうか。

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そうしてとうとう一番の先がここ。
1990年まで、ここが万里の長城の最東とされていたのだそう。
私もそんなふうに考えていたけれど、実は最東はここではなく、遼寧省・丹東にある虎山長城。
思い返せば、一昨年丹東を訪れた際に虎山長城にも立ち寄っていたんだった。
私はすでに長城東端を体験済みだったのだ。
しかし、新しく整備されていたのと時間がないのとで、足を踏み入れてすぐに退散した。

最東でなくとも、感慨は変わらない。
この長城が海に突き出した奇観はやはりここにしかないものだ。
山のイメージが強い長城に海だなんて、やっぱり不思議な感覚がする。
ここは長城唯一の、山・海・関・城、この四つが揃った場所だ。

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振り返るとこんな感じ。
この先っぽの空間にいくつか散らばる土の塊は、先ほどのようなかつての礎石だ。
この石碑の前では観光客が次々とこぞって写真撮影をしていて、なかなか撮影のタイミングを与えてくれない。

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すぐ右手の砂浜では泳ぐ人や遊ぶ人でいっぱい。
向こうをボートが駆けて行くのも見えた。

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老龙头を降りて、砂浜に出てみた。
ぱっとみてきれいな砂浜も、打ちあげる波はよく見るとここでも怪しげな泡を湛えている。
遠く向こうには海に突き出した廟が見える。
そこまで行ってみた。

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たくさんの燕が行き来している。
門をくぐると左右に仁王像があった。
その上を見上げると10を軽く超えるような燕の巣があり、仁王像はそのヒナのフンまみれだった。
見るも無残なその仁王像の上を、親鳥が忙しなく行き来している。

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ここは天后宮。水運の女神だ。
このように海に突き出している。

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遠くには先ほどの老龙头が。
老龍頭、その字のとおり、龍が頭を大海に突き出しているかのよう。
入海石城、こういう言葉もある。

万里の長城は誰もが知っている中国の世界遺産だ。
しかし、そのイメージは北京であることが多い。
中国を旅行する人の多くがその行先に北京を選び、北京を行先に選んだ旅行客の多くが、この万里の長城を訪れるからだろう。
北京から訪れることができる万里の長城でもっとも観光地として有名なのが「八達嶺」。
あの姿がそのまま万里の長城のイメージとして定着している。

万里の長城が9000㎞にもわたっていることは誰しも知っていることだ。
たとえそれが、単にひと繋がりになっているわけではなくて、途切れたり二重になったり、そんな複雑な形状をしているーとまでは認識していなくとも。
それなのにただ一カ所だけのイメージが定着しているというのはやはり不思議なことだ。
しかし、これだけの長さを持ち、この長城は多彩な顔を持つ。
私はそれを写真や名前でしか見たことがない。
きっと一生かけてもそれを見尽くすことはないだろう。
北京郊外の八達嶺、敦煌郊外の漢長城、丹東の虎山長城、それから昨年大同へ向かう長距離バスもまた長城がうねる山々の間を縫って進んだのだった。
私が経験したことのある長城はたったこれだけだ。
そういうわけで、ちょっと風変わりな万里の長城の一面を見てみたくなり、ここにやって来たというわけなのだった。



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 長城の端部は知識として知っていても中々行くことがない場所かも知れませんね。実際、僕も西端のすぐ側まで行ったのですが足を伸ばしませんでした。南方長城と言われる湖南省鳳凰は半日で辿り着け、一昨年の貴州省ル-トでも半日で行ける距離でしたが行かずじまいでした。たぶん、縁ある人だけが辿りつけるのでしょうね(^^) 
 さて、僕のブログで偉そうな事を書いたのですが、これから旅に出ようとしているのに気分を害してはいないかと心配しています。ただ、昨今の情勢は中国に限ったことではなく、中東から東アジアに続くすべてのアジアも欧州並みに危険であると感じ余計な事と知りつつ老婆心ながら書きました。
 ただ、逆説的ではありますが、こんな時だから普段では得られぬ旅となることも事実です。僕自身も昨年11月に訪れたミャンマ-は選挙直前で民主化の波に興奮する市民や都市の熱気を肌身で感じることができました。そこで思うことも多く有り、決してメディアの中から読み取れることのない空気をそこで感じました。過去の中国の反日デモの最中、現地にいたからこその空気や報道やネットから得られぬ現実を見て、肌で感じた中国を知っているから、こその独自の視点も得れています。その善し悪しや功罪は他人の尺度で測る物ではなく、己が望むものでしかありません。それが何の役に立つのかと言う人がいるかも知れませんが、少なくとも自分には必要なエッセンスであれば己の心に従うべきかと思います。ただ、無理をせず危険を冒すことなく旅を続けて欲しいとは思います。まゆさんに何かがあれば、あなたに携わった日中の人達が悲しみ、時に憎しみの感情を抱く結果になります。とにかく、無事で有意義な旅となることを願っています(^^)

Re:

tripagonさん、気分害してないです(^^)共感するところは多々ありますし、私自身自覚したうえで旅行を決めています。
ただ、私にはまだ見えていないこと感じとれていないこと、色々あると思います。
それは長く中国と関わり中国人と交流して得られるもので、今の私にはないものです。だからそういう風におっしゃってくれることはありがたいし、興味深いです。
思えば、toripagonさんが初めて当ブログにコメントくださったのは、私の初めての新疆行きをもう一度考え直すように、という内容でした。
元々ひとりで行動する予定だったのですが、それが不安になり、結果あの時行動を共にしてくれた人たちとの交流が始まったのでした。
では結果的にあの地は安全面で大丈夫だったかというと、そうと答えることはできません。
やはり私も他人が単独で新疆行きを計画していたら、一言声をかけたくなるかも知れません。
toripagonさんがおっしゃるように、そういう時そういう経験をしたからこそ得られる感覚というのもある、というのも共感です。ただそれも無事ありきですよね。
この地では、おっしゃるように最後は自分しか頼りにならない。自分のことを自分で守る覚悟がなければ、行くべきではないです。大使館や領事館も遥か彼方です。
今はどこへ行くにもこういう覚悟がいるのかも知れないですね。
少なからず人に心配をかけていますが、もし何かトラブルが起きた時には、さらに多くの人に迷惑をかけてしまいます。
このことも自覚したうえで、多少の罪悪感をすみっこに感じながらの毎回の旅行です。
「まゆは楽しんでるからいいけど、心配してる方の身になって」
友人が以前に言った言葉ですが、ほんとそうだな…と思いながらです。
それから、おっしゃるように、私も両国の憎しみの火種になるようなことがあってはならないと思っています。
11日~16日までの相変わらずきつきつの日程ですが、無理ない範囲で、現地の空気を肌で感じてきます。
プロフィール

まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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