2016-09-06

庫車旅行六日目

2016年8月16日、本日は帰国するのみだ。
昨日は荷物と格闘し、1時間かそこらしか眠っていない。
ノーメイクでチェックアウトし、空港送迎バスへ乗りこんだとき、ウルムチはまだ夜だった。

空港へ着いた時、空は徐々に明るくなり始めていた。
激混みの保安検査を抜け搭乗口へ行ってみるも、搭乗開始時刻になっても搭乗口は開かない。
遅延のアナウンスもなく、カウンターで何度訊ねても、
「時間はわかりません」
結局なんのお知らせもないまま、1時間半の遅延。
私の思考回路は疲れで麻痺しており、時間の計算がまったくできなくなっていた。
空を移動中、夕方の日本行きのフライトに間に合うかどうかずっと不安。

1608161.jpg

こちらはウルムチから北京へ向かう機内で。
これはもう新疆を越えて甘粛省あたりだろうか。

機内食が回ってくる。
新疆のフライトはすべてハラル食だ。
「***と、***、どちらに?」
飛行機の飛行音で聞こえないけど、豚肉はないから、たいていこういうパターンだ。
牛肉米饭(牛肉のご飯)か、鸡肉面(鶏肉の麺)、そんなところだろう。
そんなことを疲れた頭で考えていると、飲み物を訊ねられた。
「猪肉」(豚肉)
オレンジジュースと言おうとした私の口から出てきたのは、あろうことかこれだった。
ところがなんと驚くべきことに、オレンジジュースが差し出されたではないか。
多分、視線とかでわかったんだとは思うけれど。
とにかく、それだけ疲れ果てていたのだ。

北京首都空港へ無事降り立ち、日本へ向かうフライトにもぎりぎり間に合った。

1608162.jpg

終わり良ければすべて良しだ。
無事に帰ってこれる。
仕事にも影響がない。
これが一番うれしいことだ。


シルクロードという言葉に魅せられた人は数知れない。
「シルクロード」と聞いて、何を思い浮かべるだろう。何を考えるだろう。
おそらく人の数だけ、いやそれ以上その答えがあるのではないかと思う。

私はというと、小学生のときに音楽の授業でリコーダーで練習した曲、「シルクロードのテーマ」だ。
シルクロードという言葉を聞いて、歴史でも史跡でもなく、あのメロディーが頭に浮かぶ。
それがその言葉と出合った一番最初だった。
子供ながらに想像したのは、ゆったりとしたメロディーに合わせて砂漠を進む駱駝と隊商。
夜空に輝く青い月。
旅人を誘惑する魅惑のオアシス。
だから、私がシルクロードに抱くイメージは、そんな風に美しくそして哀しげで、それでいて魅惑的なのだ。
そこに現実的な過酷さはない。
それは歴史上の出来事ではなくて、いわば空想の世界のお話だ。

大人になって旅ができるようになって、たくさんの現実を目にした。
空想の世界から、現実の世界へ、舞台は移った。
こうしてシルクロード所縁の場所を訪れることもできるようになった。
空想と現実はぜんぜん違うけれども、それでも未だに、私にとってのシルクロードのイメージはあの緩やかなメロディーのままだ。
実際にみるのが、駱駝の隊商でも青い月でも、そして魅惑のオアシスでもなかったとしても、こうして訪れてみるとあの空想の世界がふたたび浮かび上がってくるから不思議だ。
おそらく、これからもずっとそうなんだと思う。




1608163.jpg
一瞬一瞬を胸に刻んで。


〈8月11日〉
羽田北京ウルムチ ー  [寝台列車泊]

〈8月12日〉
コルラ コンチェ河 ー 老街 ー 尉犂大峡谷 ー ヤルダン仏窟  [コルラ泊]

〈8月13日〉
コルラクチャ キジル千仏洞 ー キジルガハ烽火台未開放 ー 塩水渓谷 ー ヤルダン地形区  [クチャ泊]

〈8月14日〉
ヤルダン地形区 ー 塩水渓谷 ー 天山 ー 大小龍池 ー 天山神秘大峡谷  [クチャ泊]

〈8月15日〉
清代城壁 ー クチャ王府 ー スバシ故城 ー クチャ大寺 ー クチャウルムチ  [ウルムチ泊]

〈8月16日〉
ウルムチ北京羽田


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素晴らしい♪

全文読み終えていませんが千仏堂と鳩摩羅什、亀茲文字と心が揺さぶられます。僕は先週末が老婆の友人が来日したので東京、北海道とアテンドをしながら両家族で旅行をしました。杭州でレストランを大々的に経営する彼等は僕の半分程度の年齢ですが上海からJALのビジネスで来たお金持ちです。でもね、僕とは何かが違う。新宿や銀座で高価な買い物を続ける姿を見ていると彼等が何をしたいのか理解しがたく、北海道に着くと観光より休む時間を優先し、再び買い物に出かけ結局、北海道の何も見ずに帰りました。余りに世俗的過ぎて空しくなります。僕の旅は歴史を紐解き、現代に繋がる人の有り様を観たくて旅に出かけます。時にそれは思いがけない感動と失望をもたらしますが。近代化の果てに忘れ去った何かを思い出させてくれます。だから、東京やディズニ-ランドの様なものに僕の求めるものはありません。今回の新疆の写真を見ていると僕の求めるものと似た感慨を覚えるものがあります。危険と知りつつも行きたくたる心の欲求こそが原動力であるようにです。今は中国と距離を置きたい気分なのですが再びその欲求を起こすような旅の記録です。来春までは海外への渡航はないのですが、来春は春節の帰省の際、少し中国を回っても良いかなぁと思っています。ゆっくりと全文を拝読させて貰い、改めてコメを入れさせて貰います(^^)

Re: 素晴らしい♪

toripagonさん、ありがとうございます♪
なんだか、私もわかるような気がします。最近は収まってきたとはいえ、かつて日本に押し寄せてきたような中国人観光客、それから中国で出会う人たち、見ていると私が思う私が求める「旅」とは価値観が全然違うなと実感します。
何しに来たの?とか、せっかく来たのに!とか、思いますが、彼らには彼らの「こうしたい」というのがあるんですね。
逆に、私が中国に行く時にもそういうジレンマがあるんですが…。
ただ、こちらに来てもらって案内する側としては、彼らが見ていないものがわかっているだけにもどかしい思いがあったのではないかと思います。ほんとうに残念ですね。

中国への旅行欲が底尽きないのは、いくら覗いても覗いてもこれでもかと未知の領域があるからです。
ある場所へ行けば、また違う未だ見ぬ風景があることを知る。
あることを知れば、またもっと知りたいと思うようなことに出合う。きりがない。
新疆への欲求が特に強いのは、こういう未知の領域がガイドブックに詳しく載るような観光地に比べずっとずっと多いからです。
そして、toripagonさんがおっしゃるように、近代化の果てに私たちが忘れたもの、失ったものへの手掛かりが、そこにはたくさんある。その多くがほとんど手つかずの状態で。
旅の醍醐味かなと思います。
私の旅行記を見て、行きたいという欲求がおこる。…私にとってほんとこれ以上の嬉しい言葉はありません(^_^)
ありがとうございます。
プロフィール

まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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