2017-01-19

黄山旅行一日目

2016年12月30日、安徽省・黄山で年越しをすべく、まずは上海へ降り立ったのはお昼頃。
昨夜は高校時代の陸上部の忘年会で、それに参加したあとそのまま駅前を0時に出発する深夜バスに乗り東京駅へ、そのあと成田エクスプレスの始発で成田空港へ向かったものだった。
控えめにするつもりが、そんな調整ができるわけがない。
二日酔いと寝不足で、成田に着き速攻で買った頭痛薬を飲む。
明日はいよいよ黄山に登るのだから、元気を出さないと。


黄山を知らない中国人はいない。
名山という枠を飛び越した、中国の精神ともいって差し支えない。
しかし今まで訪れる機会はなかった。
訪れるべきタイミングを待っていたのかもしれない。

2016年を迎えたあと、「お盆休みに行ってみよう」、ふと思いついてそう決めた。
黄山登山と周辺観光を合わせた場合、一週間は必要となる。
その為、必然的にゴールデンウィークかお盆休みか年末年始の連休、そのいずれかとなる。
そうして、お盆休みに有給をつけて行くことを決めたのだ。
しかし、どうしてか急に、お盆休みには新疆ウイグル自治区のクチャへ行くことになった。
急な予定変更だった。
では、黄山へはいつ行こう。
こうして、私は冬の黄山で元旦を迎えることを決めた。
つまり年越しは後付けであり、けれども後から考えてみれば最初からこうなることが決まっていたかのような、自然な心境だった。


上海浦東空港からエアポートバスに乗り、長距離バスターミナルがある上海站へ。
上海にはいくつもの長距離バスターミナルがあるが、私は上海站北側にあるそのバスターミナルを選んだ。
駅の南広場でバスを降りたので、ぐるりと回って北側に行かなければならない。けれど荷物が膨大で動けない。
今回は冬であるうえに山で一泊することもあり、ザックや登山靴など、いつもよりずっと多くの荷物を持っていた…うえに、友人たちから頼まれた荷物の中に物量が多いものがあった。
けれども、大きな段ボールにPPバンドを巻き、これで持って行けるだろうと安易な考えを持ってしまった。
出発して後悔しても遅い。
長期連泊用の大きなキャリーバックに巨大ボストン、それに巨大段ボール箱。
ここに来るまでに力を使い果たし、3m進むのだって辛い。
そこで、駅の北側に行くのにもリヤカータクシーに乗っけてもらう。
外にむき出しになった後ろの座席に荷物が乗り切らないのを、落ちないように必死で手足で支えながら。
寝不足の辛さはあったが、大丈夫。
ここ上海から黄山まで、長距離バスで5~6時間といったところ。
バスの中でのんびり眠っていくのを楽しみにしていた。
バスに乗ってしまえば、荷物の苦労も解決同然だ。

1612301.jpg

上海長距離バスターミナル。
必死になって入ってみるも、「チケット売り場はどこ?」
「外に出て地下!」
この階段が長くて辛くて。
無理なので、荷物一つごとに降ろしていく。
自業自得とはいえ、もう嫌だった。

いくつかある窓口に並び、やっと回ってきた順番に、
「安徽・黄山まで」
「安徽・黄山?」 販売員は確認する。
「そう、黄山」
「売り切れた」
短く突き放すように、販売員は言ってのけた。
うそ!
上海から黄山へ行くバスは多数あるはずだった。
先のが満車になっても、その次、またその次のがあるはずだった。
だから、便数が多いバスに関して、私はいつも売り切れの心配はしないで済んでいた。
少なくとも今までは。
ここは中国だから。まだわからない。
そう自分に言い聞かせて、再び別の窓口に並び直した。
しかし、やはり同じ。
「今日のは売り切れた」

中国では新年は単なる祝日に過ぎない。
本当の年越しは、旧暦である春節だからだ。
ところが近年様子が変わってきた。
“新年”も大きなイベントになってきたのだ。
一昨年、上海で年越しをした時にそれは実感したのだけど、考えが甘かった。
明日31日は土曜日、元旦は日曜日、そんなのも関係していたかと思う。

上海から黄山まで車で5~6時間の距離だ。
最悪、支出は覚悟でタクシーを頼むか…。
もはや荷物を持って移動する気力はなかった。
ちょうどよく、黄山行きの列車が通過する上海站のすぐ裏にいる。
しかし列車の便数は一日2便ほどで、さらに移動に半日がかかる。
黄山には空港があるが、上海からは週3便、これも使えない。
明日の朝までに到着しないと、意味がないのだ。

しかたなく、コルラの友人、チャン・イーに相談した。
彼女はしっかりしていて、きっと相談にのってくれると思った。
チャン・イーは上海で動かせる車を色々と探してくれたが、ダメだった。
あとはチャーターとなるが、金額を問い合わせたところ黄山まではかなりの額がかかるという返事だった。
距離を考えれば当然だ。

結果、やはり列車しかないのでは、ということになった。
20時に上海站を出発して、明朝7時に黄山站に到着する列車がある。
現在は16時だから、まだ間に合う。

1612303.jpg

再び上海站へ。

1612302.jpg

チケット売り場にいくと、電光掲示板に各地のチケット販売状況が示されている。
各地、明日明後日、軒並み完売だ。
ネットで見て、「まだあるから急いで!」とチャン・イーが励ましてくれる。
どきどきしながら、窓口に問う。
「今日、黄山まで!」
「無席だけどいい?」
なんでもいい!
無事に購入したが、無席だ。
“無席”とは、その字の通り。席なしだ。11時間、席なしだ。

1612305.jpg

中国の列車移動はなかなか過酷だ。
まず、多くの人でごったがえしていること。
それから、安全検査初め、駅内、ホームまで、移動が多く急な階段も多く、エレベーターなんかもちろんなく、重い荷物をたくさんもって列車に乗るのは、ほんとうに大変なのだ。
列車に乗っても、みな大きな荷物を抱えているから置き場所もない。
私が抱えていた荷物は、とてもではないが上の荷物棚に収まるものではない。
ここ上海で友人に送る荷物を手放してしまわないことには、無理だった。

「近くに宅急便ないですか?」
いろんな人に訊くも、「ない」、「知らない」、「郵便局しかないよ」。
郵便局は内容物を断られる可能性が高かったために、選択肢になかった。
今度はタクシーに近くの宅急便に行ってもらうように頼んだが、これも軒並み断られた。
チャン・イーが周辺の宅急便会社を調べ数件教えてくれたが、その住所を指定しても、タクシーから断られた。おそらく近かったためだと思う。
あるタクシーは、「ここに呼べばいいだけだ」と言った。
私には電話で具体的な位置を指定して落ち合う自信がなかったため、チャン・イーに頼んだが、どの宅急便会社も電話が繋がらないようだった。
そうこうしているうちに、時刻はどんどん過ぎていく。
途切れることなく連絡を取り続けていてくれたチャン・イーは、
「荷物のために列車に乗り遅れてはダメ!」
と、ひとつの案を提案してくれた。
「こうしよう。今から近くの警察に言って助けを求める。ロンさん(彼女の旦那さんで私の友人)の友達が上海にいるから、荷物をその人に取りに行ってもらう」

幸いなことにここは上海站で、広場には警察車両が停まっている。
私の手も腕もすでに限界を超え、しびれて力が入らなくなっていた。
おそらく字も書けないだろう。
そんな状態だったから、「10元で荷物運ぶよ」のおばちゃんに運んでもらうことに。
おばちゃんは私の姿にただならぬものを感じたのか、荷物が警察に辿り着いても、すべてが解決するまで手伝ってくれた。

警察に状況を説明するも、うまく伝わらず怪訝な様子なので、自分の中国携帯を取り出しチャン・イーに直接話してもらうことにした。
送る荷物を見て、警官3人は驚いている。
すべての封を開け、内容物の説明をして、やがてまた電話が鳴り、取りに来てくれる上海人の氏名・連絡先が伝わり、終わった。
「マーヨーズは今からご飯食べに行きな。あとで警察にはお礼言っておくから」
チャン・イーから来た微信のメッセージを警察に見せると、彼らは笑った。
お礼にと、黄山で人に渡す予定だった日本のお菓子をあげたいと言ったが、彼らは受け取らなかった。
万が一の為に交換した微信に、あとから荷物が無事手渡ったことと、「欢迎来中国旅游」と絵文字つきでメッセージが来た時、私の疲れた心は温まった。

1612304.jpg

無事に乗れた、上海站発、黄山站行き、K8418次。11時間後の7時過ぎに到着する。
しかし、無席。
うまく途中乗車や途中下車のために空いた席を見つけるか、通路やデッキだ。
しかし、通路もデッキも同じく無席の乗客でいっぱいで、立つ場所を確保するのもたいへんな状況だった。
昨夜は飲み会後の深夜バスだったというのに、お風呂も入れずメイクも落とせず着替えもできず、眠る場所もなく。
これで明日は登山、山頂で一泊だ。大丈夫か?
空席を確保できたのは深夜2時頃だった。
座ったものの、うつらうつらしながら、途中でその座席のチケットを持つ乗客がやってきてはまた別の座席を見つけ、結局到着までは座ることができた。
そんなだったけれど、ガタンゴトンとゆっくりと進む列車は心地よくて、やっぱり旅っていいなとこんな時に思った。



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若い(^^)

無座かぁ~もう、そんな勇気ないなあ(>_<) 汽車のチケットを当日、購入できたのは相当運が良いと思います。僕はQunerかC-tripでネット予約して駅でチケットを受け取っています。C-tripはi日本語サイトもあってカ-ドで決済もできます。Qunerは中国人向けの最大の旅行サイトなんで航空券は当日なら相当安いのがあります。ただ、中国に口座と電話がないと厳しいけど…汽車の切符は国営なんで基本的に何処で購入しても価格の変動はないので、駅で受け取り支払いにすれば確実に予約が取れるので便利です。ホテルの予約も可能なんで全国チェ-ンの7天酒店ならサイトから予約すると便利です。安全で綺麗なビジネスクラスでとても良いです。とにかく主要都市や観光地なら確実にあります。サイトを上手に使えば全ての手配を自分でできます。実は中国人もこれらを駆使しています。無座ってトイレも凄まじく席も固くて僕は多少な費用なら軟座の四人コンパ-トメントを予約します。中国の汽車の旅は、車窓を眺めるだけでも価値があって高鉄に乗るよりいいです♪それにしても無座とは脱帽です(^^)

Re: 若い(^^)

toripagonさん、こんにちは!
いえ、やむを得ず、です。結果座席を得ることができたものの、最後まで通路だったらきつかったです…。
事前に列車に乗るつもりであれば間違いなく軟臥を選びます。
実際、帰りは事前に予約して軟臥で帰りましたが、天国でした。
列車っていいですね、私も高鉄より列車が好きです。風景がゆっくり過ぎていくし、乗車してくつろいだり歯を磨いたり、食べ物広げたり、さあこれから遠くに行くんだっていう雰囲気があって好きです。
中国は大地が広いからこそ、こういう列車の雰囲気がある。昔ながらの。日本にはないものですね…。
無座もいい経験になりました。
C-tripや去哪儿は利用することはあるんですが、私すごいアナログ人間で、PCからならいいんですけどスマホでそういうの慣れないんです。目と頭が痛くなってくる…。
だから、現地で利用するときは緊急時です。ほとんどのことはできるだけ日本にいるときに準備していき、不測の事態の時にどうするか考える感じです。

おひさしぶりです

黄山ですか。いいですね。宏村と一緒に行きたいと思っていたところでした。
正月にインドに行ってきましたが、こちらの電車もなかなかシビアな環境でした…。

去年は台湾にはいきましたが、大陸は2015が最後なので、今年はどこかしら行きたいと思います。

東京にお見えの際はお声がけください。
おいしい中華料理でも食べ行きましょう。

Re: おひさしぶりです

shantianさん、お久しぶりです。
インドへ行かれたんですね、中国以外にも行きたい場所はたくさんあるのですが、その中の一つがインドでした。
列車すごいとテレビで見たことあります。
でもそんな混沌こそ、旅の醍醐味なんだろうな~。
では今年はどこを選びますか?
黄山周辺の村々は、私が見たのは冬枯れの風景でしたが、春夏はさぞ色とりどりなんだろうと思います。

> おいしい中華料理でも食べ行きましょう。
ありがとうございます(^_^)ぜひ!

今年は

黄山はもちろんですが、やはりカシュガル、あとは開封登封鄭州洛陽あたりを一筆書きで回ってくるのもいいと思います。

あまり観光客でごった返していないところがいいですね。

Re: 今年は

なるほど…奇遇というかなんというか、カシュガルと開封は私も今年行く可能性があります。
開封・鄭州あたりは、都市部にはない中国の素朴な街並みでしょうから、そういうのもいいです。
一筆書きの古都巡りルート、おもしろそうですね。
新疆ウイグル南西部は今とても危険です。
行こうとしている私に言えることではないのですが、よほど行きたいのではなければ避けた方がいいように思います。
そういう私も新疆はまだ4度訪れたのみ、西南部を避けてですが、それでも中国の他の地域とは空気感が全く違うし、なんというかルールが違うな、と感じます。

プロフィール

まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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