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2017-09-02

満洲里旅行一日目

2017年8月11日、朝5時に起きて、世界陸上サニブラウンの200m決勝を見たあと、急いでホテルをチェックアウトした。
昨日は昔ながらの昭和居酒屋でそこそこ飲んで、それでも二日酔いも寝不足感もなく、こんな快調な旅のスタートはいったいいつ振りだろう。もしかしたら初めてかもしれない。
空港近くで前泊するときにはどんな時でも居酒屋を探すが、最近お気に入りができた。
釣り好きの親父さんが釣った魚がおいしい炉端焼きのお店だ。
「今日は140匹釣ったけど前はもっと釣ったんだ」
私が食べるアジを指さして自慢げにそう話した。
今日は一日飛行機での移動。
空港に着いたらさっそく一杯やろう。


一か月ぶりの中国へふたたび。
行先は、初めての内モンゴル自治区。
中国の北部、モンゴルの南側に横たわる巨大な内モンゴル自治区。
その東北の先っぽに位置する、満洲里が今回の旅の基点だ。

本当のことを言うと、中国の様々な場所を旅したい私にとっても、内モンゴルは実はそんなに強い興味をひかれる場所ではなかった。
中原からシルクロードにかけてのラインに興味が集中していたということもあるし、モンゴル遊牧民族の歴史に疎いということもあるし、それに地名なんかも少し慣れなくて、ようは食わず嫌いだったわけだ。嫌いではないけど。
少なくともこの先2~3年は訪れることはないだろうと思ってたが、意外にも早くその時はやってきた。

ではなぜ今回の旅先にその内モンゴルを選んだのか。
それは、ひとりの友達の存在だった。
新疆ウイグルの旅行を通して出会った彼女は、ふるさとが内モンゴル・満洲里だと言った。
彼女は、中国の東北の端にある満洲里に生まれ、幼いころ中国南端の島・海南に移りそこで育ち、そして中国ど真ん中の河南の旦那さんと出会い、そして今は中国西の果ての新疆ウイグルに暮らしている。
私は彼女のふるさとに行ってみたくなった。

「毎年8月には帰郷するから一緒に行こうよ」
そんなふうに話していたのは半分冗談だったかもしれない。
けれど私はこの夏季休暇を、満洲里に行くために空けていた。
5月にウルムチで彼女と再会したとき、今年は事情があって帰郷できなくなった、と彼女は話した。
であれば、私がそこに行く理由はないようにも感じられた。
「フェイフェイと行ってこその満洲里だから、行かないかもしれない」
彼女は、一人でも行くなら代わりに実家がもてなすよと言ってくれたけれど、この夏休みどこに行くかぽっかりしたまま、7月を迎えた。
「本当は故郷の村は満洲里からちょっと離れた場所にあるんだ、特に観光するところもないし」
だから、機会を改めてやっぱり一緒に行けるときに行こう、そうも話してくれた。
けれど、最終的に私は一人で行くことを決めたのだった。
彼女のふるさとの村には、彼女と一緒に。
だから今回はそこには行かず、初めての内モンゴル東北部に遊ぶことにした。
彼女が結んでくれた縁だと思った。


満洲里は、北にロシア、西にモンゴルを迎える位置にある、中国の北の端である。
市街地からそう離れていない場所にはロシアとの国境ゲートがあり、国境に並々ならぬ興味を持つ私は、それを今回の旅行の一番の目的にした。
夏休みは六日。飛行機を使えば丸一日で現地にたどり着ける。
とすれば観光に使えるのは真ん中の四日間ということになる。
満洲里は小さな街なので、これでは時間がだいぶ余ってしまう。
そこで、四日のうち三日を使って、周辺の大草原を回ってみることにした。

一日目を満洲里、ロシアとの国境ゲートの観光に。
二日目、三日目、四日目、この三日間ぐるりと草原を一回りし、四日目にふたたび満洲里に戻る。
そしてその翌日、帰国。
そんな行程を用意した。
予定は完璧、心配なのは天気だけだった。

天気予報はことごとく旅行中の悪天候を予想していた。
雷雨、雷雨、雷雨。
この天気予報はきっとはずれ、当たるのを探そうとくだらない考えに探したものは、
にわか雨、にわか雨、にわか雨。
それでも諦めきれず探したものは、
曇り、曇り、曇り。
ようは、少なくとも期待した青天は望めそうもないという悲しいはなし。
大草原で悪天候だったら、なんのために行くのかわからない。
それでも、わずかな期待をいだきながらの出発。

少し酔いがまわりながら北京首都空港に到着したのは、お昼すぎ。
わずかな雨が降っていたが、そんなに大したものではない。
満洲里に向かうフライトは19時発のものだった。
乗り継ぎに時間があるので、先月飛行機の遅延により果たせなかった用事をこの時間に済ませようと思っていた。
そんなことを考えながら到着した第3ターミナルに降りてみると、なんだか様子がおかしい。

なんと、表示された案内板は、ことごとくのフライトキャンセルを示していた。
自分の目を疑う、というのはこういうことだったんだと、実感したくもないのに実感した瞬間。
キャンセル、キャンセル、キャンセル…。
午前便のごく一部が遅延表示になっていたが、事実上の壊滅状態だ。
どういうこと?

1708111.jpg

ターミナル中央の大きな液晶には、通常は見られない画像を映し出していた。
よくわからないが、悪天候を示すもので、それが原因で北京発のフライトがことごとくキャンセルになったということだけは想像できた。
外を見れば、先ほど振っていた小雨はすでにやみ、陽の明るさまで。どうやら風もそうなさそうだ。
これのどこが、なにが、今日一日のつまり深夜までの膨大な数のフライトをほぼ全便欠航させたのだ?

しかしここは第3ターミナル。
北京首都空港は巨大だ。
第1~第3ターミナルがある。
満洲里に向かうフライトは第1ターミナル出発のものだったから、何はともあれそこに向かい状況を確認してみることにした。
第1、第2と第3のターミナルは、かなり離れていて、バスか地下鉄で向かわなければならない。
時間もかかる。
そわそわしながら第1ターミナルに到着し駆け込んでみると。

1708112.jpg

なんてことだ。
やはりここも全便キャンセル。
悲しい予感はあたり、満洲里行き海南航空 HU7115便はすでに欠航を決めていた。
無情な「取消」の赤い文字。
いつかはそういうこともあるだろうとは思っていたけれど、とうとう今回の旅行でこういう目にあってしまった。
溜息もでない。
だめだとわかっていたがカウンターで再度確認してみるも、やはり「その便はキャンセルされました」という回答。
なんてことだ。
問題は、満洲里行きのフライトは非常に少ないということだった。
今日行けないと予定はすべて狂うけども、そもそも便そのものが少ないから明日向かうこともできるかわからない。
なぜなら、今日の乗客を振り替えるだけの座席があるはずもないからだ。

けれど向かいたいならとにかく振り替えの手続きしかない。
第3ターミナルのチケット手続きのカウンターはすでに人でいっぱいだった。
さらに一人ひとりに時間がやたらかかる。
みんな混乱していて、空港も乗客もみな正常な状態ではなかった。
順番を待っているあいだ、携帯で明日のフライトを調べてみた。
さいわいなことに、朝6時発ー8時25分に満洲里に到着するフライトがあった。
価格は1580元(約2万6000円)。
これに振り替えてもらえれば、行程は最低限のロスで済む。
その直後、私の番がまわってきた。

「満洲里?明日の夜でいい?」
窓口の係員は冷めた口調でそう言った。
「夜じゃ間に合わない。朝6時のがあるでしょ、これに替えて!」
「ないよ」
「あるでしょ、これ!」
私は携帯の画面を見せた。
「それはもうなくなった、夜のしかない」
数分前の画像である。
画面を更新してみると、たしかに1580元のはなくなり、ビジネスクラスの3150元に情報は更新されていた。
しかもそれも残りわずかになっている。
「これ、この3150元の!あるでしょ」
価格は痛すぎるが、仕方ない。
「え?新たに買うの?」
「追加料金払うから」
「だめ、買うならここじゃない、第3ターミナルに行って」
私が予定していたフライトは第1ターミナルだったため、そのチケットカウンターに来ていたが、チケットを振り替えたい6時発のフライトは第3ターミナル発のものだった。
それぞれのターミナルはそれぞれの業務しかできないのだ。
同クラスの振り替えならできたようだが、新たに買うことはここではできないというわけ。
似たような状況だった、一昨年のコルラ旅行を思い出した。
あの時も、イスラム最大の祭日にあたり航空券が軒並み完売し帰国できなくなった。

今、第3ターミナルから来たばかりなのに!
遠いのに!
普通に向かったら間に合わない。
航空券を購入したサイトは北京の旅行会社だったが、何度電話をかけても回線が混雑してつながらない。
荷物を転がし走りながら、私は微信ですぐに連絡がつきそうな友人にメッセージを送った。
汗が流れ落ち、呼吸が乱れる。
「いる?」
秒速で返事が来たのが、例のフェイフェイだった。
「航空券がみななくなってる、明日朝6時のこのフライト、代わりにネットで押さえて!」
返事が来る前に、パスポートの名義と番号をおくる。
「ハイラル行きのじゃなくて?」
ハイラルは満洲里隣りの空港だ。
「違う、満洲里、朝6時の3000元の!」
画面をスクリーンショットして送った。
「でも確かに明日、満洲里行きのはないよ」
「明日ので見てる?」
「日にち違った!でも明日の6時の高いよ、4000元」
チケットが分刻みで価格上昇している。
「4000元、OK、買って!」
もう正常な思考ではない。
「実家によると最近向こうはずっと雨が降ってる、予定変えてみたら?」
フェイフェイはそう提案してくれたし、それもありかも知れなかった。
「でも、向こうで人が待ってるからやっぱり行かないといけない」
満洲里行きを決めて、現地の車を手配してあった。
それであればキャンセルすればいいだけのことかもしれないけれど、微信を通して先方の親切な対応に、人間的なやり取りがあった。
旅程に関してもいろいろと相談に乗ってくれていたので、やはり極力「ごめんなさい、やっぱり行きません」はやりたくなかった。
「わかった、でも今見たら高すぎる」
先ほど4000元を示した満洲里行き6時発は、4720元にまで価格上昇していた。
これはさすがに無理だ。
4720元、現在のレートで7万8000円ほど、さすがに無理だ。片道でこの料金である。
そこでふと目に留まった。
「その15時に着くのは?」
12時30分に北京南苑空港を出発し、15時に満洲里に到着するフライトがあった。
価格は1570元、悪くない。
フェイフェイとしっかり確認し合ったのち、無事この航空券を購入することができた。
彼女には感謝だ。
無事済んだときになって、空港連絡バスはチケット再購入のために向かっていた第3ターミナルに到着した。
すでに用のない場所だ。

1708113.jpg

チケットカウンターはすでに先ほどの倍以上の人で埋まっていた。
それほどの列に見えないかもしれないが、この一人ひとりにおそろしく時間がかかるため、これでは1時間では済まなかっただろう。2時間はかかったかも。
やっぱり並んでたら無理だった。
サービスカウンターに訊ねてみると、キャンセルされたフライトの払い戻しも出発ターミナル、つまり今回の場合第1ターミナルでしかできないということだったが、また戻るのはうんざりだった。
戻ってもまたそこから長蛇の列だ。

今夜の北京泊は決定したので、宿も探さないといけない。
地下鉄に乗る気力もなく、私は迷わずタクシーに乗り込んだ。
行先は用事があった、「西単」へ。

すでに、満洲里にて車の手配をしてくれるリュウ・ウェイさんには今夜着けない旨事情は伝えてあった。
明日着くなら、明後日からの草原周遊に影響はない。
ただ、明日の満洲里観光がつぶれてしまった。
あとは、何か忘れていないか?
タクシーの中で思い出した。
今夜のホテルにキャンセルを伝えないと。
今夜と明日の夜は、少し張り切って珍しく高級ホテルを選んでいた。
二泊で1980元(約3万3000円)、高層の満洲里大飯店だ。
そんなホテルを選ぶほど、今回の旅行は浮かれていたのだ。
予約したのは日本語版C-tripだったため、電話は日本語が通じる回線を選択した。
「今夜は行けませんが、明日午後にはチェックインできますので」
そう伝えると、
「明日12時までにチェックインできなければお部屋は再予約となり、宿泊料金も返金できません」
なんと。
つまり、二泊分はキャンセルとなり泊まりたければもう一泊分の宿泊料金を払わなければならないという。
今夜のは当日なのでわかるけど、なんで?
「ホテルはそう言っています。そういう予約でした」
どこかには書いてあったんだろうけど、ホテルがお金だけ受け取るのが悔しかった。
でも今夜だってチェックインは深夜で予約している。
明日12時までというのが釈然としないが、そういう約束だと言われればどうしようもない。
1980元、悔しすぎる金額で考えたくもない。

1708114.jpg

怒涛の数時間が過ぎその反動のようにぼーっとしていると、タクシーは北京中心部に入り、やがてあの天安門の前を通過した。
多くの人でごった返している。
そんなのもどこか違う世界のよう。

西単に行先を選んだのは、ここで銀行の手続きをしたかったからだ。
私はすでに中国工商銀行の口座を持っていたが、別の銀行口座が欲しかった。
が、中国において銀行口座開設はここのところハードルが上がっており、様々な理由から銀行とまたその手続きをする支店をどこにするか選択する必要があった。
中国銀行は中国を代表する銀行のひとつだが、北京では就労ビザの提出を求められたりするようで、私も二度門前払いを食らっているので選択肢になかった。
そこで選んだのが、北京光大銀行。
この銀行、日本から出金するのに手数料が無料なのだ。

タクシーにはこの銀行の近くで降ろしてもらった。
時刻は17時、銀行には間に合わず、手続きは明朝にまわすことに。
大都会のど真ん中である。
こんな場所でホテルを見つけようとするのも無謀かと思われたが、道を一歩入ってみたところにほどよいビジネスホテルを見つけたので入ってみた。
窓なし部屋で530元ほど。
痛い出費だが、場所を考えれば仕方ない。
チェックインし、友人に送る荷物をもうここで手放してしまおうと、宅急便を呼んでもらった。

1708115.jpg

無事荷物を手放すと、せっかくなので北京見物に出かけてみることにした。
ホテルを出ると、そこには先ほどの宅急便のおじさんが荷物を整理していた。
こんなふうな電動車でやってきてくれる。

西単は今どきの若者の街、最先端の街だ。
私はあまりそういうのに興味を持たないので、このエリアを目的に訪れたことはない。
これを機に散策してみようと思った。

1708116.jpg

歩道橋の上からは、詰まる車の列。
北京の渋滞は深刻な問題だ。

1708117.jpg

最先端のファッションビルが並ぶなか、古びた屋根が見えた。
異質な存在だ。
なんの建物かはわからないが、年代物の瓦屋根の並びである。
こんな大都会の中にもこんなものがまだ残るんだと意外に思った。

そうこうしていると、突然の土砂降り。
大粒の雨が降ってきて、慌ててデパートに駆け込んだ。
ありそうで中々手に入らない傘。
屋根の下で雨宿りする大勢の人たち。
あっというまにそこらじゅうに水が溜まり始めて歩く場所もない。
雨が小降りになった隙をみて、地下鉄に乗り場所を変えてみた。
足元はすぐにぐしゃぐしゃになってしまった。

行ってみたのは西単に対して北側にある雍和宮のあたり。
北京の地図もなにも持っていなかったから、適当歩きだ。

1708118.jpg

でもここでまた土砂降り。
仕方なく、歩道脇に立ち並ぶお店一軒一軒を雨宿りはしごしながら進むも、自分が何を目指しているのかもはやわからない。
空は細かく点滅していた。
私はてっきり、向こうにレーザー光線を空に放つような建物があるのだと思っていた。
それぐらい、毎秒毎秒空を真昼のように照らしていたからだ。
それが雷であることに気づいたのは、だいぶ後になってからだった。
雷の音もしなかったし、稲妻も見えなかった。
点滅する夜空は、明るかった。

1708119.jpg

音がしない雷はそれは不気味で、何度かカメラを向けたが、スナップ写真に稲妻が写るわけはない。
しかし遺憾ながらもフライト欠航は、ただしい判断であったわけだ。
この雷雨は、来るべくしてやって来たのだ。

雨宿りも兼ねて、火鍋のお店に入ってみた。
雍和宮大街を南下し、いつのまにか火鍋初め様々な飲食店が並ぶ東直門大街に出ていた。

17081110.jpg

至福の瞬間だ。
牛肉、羊肉、シイタケ、それに先月重慶でおいしかったアヒルの腸。それをニンニクたっぷりの香油につけて。
本来はもうすでに満洲里に到着し、高級ホテルから夜景を楽しんでいるはずだった。
それが今こうして北京で火鍋を食べている。
不思議なものだ。
食べ終わったあと雨は小降りになっていたが、タクシーは全然捕まらず最終間際の地下鉄で西単に。
北京のタクシー不足も深刻だ。

17081111.jpg

ところで、明日はこの雷雨止むんだよね?
止まない雨はないが、かといってそれがいつ止むかはそのとき誰にもわからない。

⇒ 満洲里旅行二日目~その一~ へ続く

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まゆ様
初めまして。中国旅いつも楽しみに
拝読させております。
今回の旅行記もそろそろかな?と
待ち侘びておりました。
私は翌日朝北京に出発の予定でしたが
悪天候の影響でその日のうちに出発で
きず、翌13日の早朝出発となりました。
2日目以降の内容、じっくりと読ませて
いただきます。
ちなみに私も静岡西部在住です。

Re:

yasuさん、ありがとうございます。
そうだったんですね、ちょうどお盆休みの始まりだったので、同じように困った人いるのではないかと思っていました。
幸いだったのは、少し長いお休みだったこと。
これが3、4日とかの短期旅行だったら、一日出遅れたら旅行だいなしです。
yasuさんも静岡の方なんですね、このブログ時々静岡出身・在住の方からコメントいただくことがあって嬉しいです。

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プロフィール

まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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