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2018-08-23

38日間周遊 〈14日目〉 成都

2018年7月13日、あとから気づいたことだけれど、この日は13日の金曜日だった。
けれども今回の旅行が始まって以来、特に成都に入って以来、日にちや曜日の感覚が一切なくなってしまった。
今日が何日で何曜日で、旅行何日目なのか。
おそろしいことである。

今日は13日の金曜日、土日挟んで16日にはビザを受け取ることができ、その後は成都を去ることができる。
けれども、ビザを受け取ったあとどのように行動するか、どうもともとの旅程に合流するか考えがまとまっていなかった。

もともと河口にてビザ失効がなければ、9日に成都入りしてから可能であれば一人で黄龍へ観光に行き、12日には成都を発ち、蘭州を経由してウルムチへ向かう予定だった。
しかしビザ再申請にあたり、やっぱり今回は新疆ウイグル自治区には行かない方がいいだろう、という考えにまとまった。
中国において、新疆ウイグル自治区とチベット自治区は特別なエリアである。
過敏な地域であり、ビザ申請時にこれらに行くと申請すればまず下りないだろう。
もともとの予定では、新疆をぐるりして再び通常エリアに戻るのは22日を予定していた。
新疆ハミから22日に嘉峪関入りし、その後、内モンゴル方面へ向かうつもりだった。
日程は適当に書いて提出することもできるが、新疆では常に公安や武警の監視や検問が入り厳しいので、やはり何かがあったときに問題になると思い、新疆に使うはずだった時間をすべて放棄することにした。
そして会う予定だった友人には謝った。

16日にはビザを受け取ることができる。
さて、どうしよう。
一度考えたのは、チケットをキャンセルした蘭州へ行き、そこから嘉峪関入りすること。
17日あたりに蘭州入りし、観光したあとに22日嘉峪関に入れば、もともとの日程に乗ることができる。
さて、どうしよう。
問題はないはずだったが、成都に入ってからずっと行動を共にしてきたジャオユーさんと仲良くなり、問題はそこだった。
ジャオユーさんは22日まで休みをとっていて、私が決めればその日まで一緒に行動することが可能だった。
蘭州行きたいな、でもいつでも行ける。
そんなふうに悩んでいると、
「入境管理局から電話があって、申請内容に何か不具合があったみたいなので行かなければならないよ」
ジャオユーさんが言った。
ビザ申請時に私の電話番号とジャオユーさんの電話番号を両方伝えておいたのだ。
なんだろう、ビザ下りないのかな。
急に不安になる。
ビザが下りなければ、21日には日本への帰路となってしまう。

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ジャオユーさんが用意してくれた朝食は、チマキにサンドイッチにゆで卵。
チマキは砂糖をつけて食べた。
以前に中国語のQ先生が手作りのチマキをごちそうしてくれた時にも、砂糖と蜂蜜をかけて食べた。
チマキはしょっぱい系の食べ物だと思っていたが、甘いものもあるようで意外に思ったものだった。

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こうして午後になり、入境管理局へ。
成都の一番真ん中である。

三階の窓口へ直接出向いてみると、何日に帰国予定なのかとかそういう簡単な話だった。
そういうのもう済んでるはずなんだけどな、なんて思いながら待っていると、窓口の女性が隣の窓口の男性に、
「これ処理できないよね」なんて話しかけている。
今更処理できないと言われても。何が問題だったんだ?なんて思っていると。
「それなら問題ないよ、8月6日に帰国なら日数内だ」と男性。
結局ただそれだけのことで呼び出されたわけだが、それでも呼ばれたら行かなければならない。
申請中は届け出たホテルに滞在しなければならないから、もしこの呼び出しが昨日や一昨日であったならばちょっと問題だったかもしれない。
なぜなら私たちは成都市区にいなかったからだ。
用事で行けないとか言えば済むのかもしれないけれど。
そういうわけでちょうど市区に戻ったタイミングで折良く呼び出しがかかり、些細な要件だったがクリアすることができた。

「16日に受け取り可能だけど、急いでない?」
女性がそう訊ねるのが聞こえた。
急いでいるといえば月曜ではなく今日受け取りができるような雰囲気も感じ取れた。
けれどもやっぱり、もう急いで成都を発とうとは思っていなかったし、ジャオユーさんもはっきり答えなかった。


入境管理局を出て、バイクでドライブに出かけることになった。
ジャオユーさんは車とバイクの運転が好きで、よく友達とツーリングに出かけるのだそう。
バイクは二つ持っていて、大きい方のバイクに乗って出かけることになった。
ヘルメットは一つしかなくて、私にかぶせてくれた。
日本ではだめだけれど、中国は比較的ゆるいみたい。
でも万が一のことがあった場合、やっぱり心配だなと思った。

出発して向かったのは、郊外にある龍泉山という山だった。
成都市区を抜けて大きな道路をひたすら走る。
やがて小さな街に出て、そしてまもなく山道に入った。
龍泉山は低くなだらかな山で、それでいて広い範囲に広がるので、ドライブに人気のよう。
ジャオユーさんもよくバイクで走りに来るのだそう。
私はドライブが好きなので、ジャオユーさんの背中にひっつきながら、風を切る感覚を楽しんだ。
やがて山道の途中で一軒のカフェに。

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お店の前にはたくさんのバイクが停まっていて、男性たちが休憩している。
ここはツーリングの休憩場所として定番のよう。

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ここでビールで一服。
車の際には代行を呼んだけれど、バイクは飲んで問題ないの?
そう訊くと、成都は比較的ゆるいそう。
もちろん酔っ払いは駄目だけれど、軽く飲むくらいであれば大丈夫だそう。
このお店で休憩している人たちもビール瓶を手にしている。

昼間のお酒はなんておいしいんだろう。
さらに景観のいいところまで足を運んで一息、至福のひと時だった。
しばらく休憩し、出発。
当初はこのあとあるお寺に立ち寄る予定だったみたいだけれど時間がなく、またそちら方面へ向かう道路が濡れていて、危ないということで行先を変えることになった。

低くなだらかな山は、日本のそれを思い起こした。
高度を上げて見下ろして風景は向こうまで広がる木々。
時折道端で桃を売る人がいる。
「ここは桃の産地なんだ」
気が付けば、頻繁に桃畑を通り過ぎていた。

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龍泉山のドライブを堪能して到着したのは、一つの古鎮だった。
「洛帯古鎮」
もともとは落帯古鎮という名を持っていたようだけれど、同音の‟洛“に変化した。
この古鎮の特徴は、客家人の移民によって形成される古鎮であるということ。
そのため客家料理のお店や客家の文字があちらこちらに見ることができる。

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時刻はまもなく20時になろうとしており、まだ明るいものの徐々に明かりが灯りだしていた。
ゆっくり回る時間はないだろうということで、少し足早に一周していく。

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洛帯古鎮にはいくつかの大きな建物があり、他の木製の建物とは雰囲気を異にしていた。
こちらは広東会館で、つまり広東出身者が出資しあって建てた建物になる。
ほか広西会館などこのような建物が数棟見受けられた。

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古鎮のすぐ外には古い仏塔があり、目を引く。

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ここ洛帯古鎮の名物があり、ジャオユーさんは私に食べさせてくれるという。
その名も、「傷心凉粉」。
今までいろんな特色料理と出合ってきたけれど、こんなユーモラスな名前を持つ料理は初めてだ。
確かにあちらこちらに傷心凉粉のお店があり、けれどもどれもすでにお店を閉めている。

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こちらは傷心凉粉で有名なお店のようで、でも閉まっている。
どこか開いているお店はないかなと、探しながら古鎮を散策した。

地図に客家土楼と書かれていたので行ってみたら、見事に鉄筋コンクリートの現代建築だった。
ここが観光地となったのちに、観光目的で建設されたもののよう。
公園ダンスで賑わう広場もあったけれど、
「新しい建物は見なくていい、こっちに行こう」
と裏道に向かった。

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この古鎮には基本一階建ての建物が並んでいた。
よく一階は店舗で二階は住居式の建物を見かけるので、
「ここは一階建ての建物が多いんだね」なんて話していると、三階建ての巨大な建物に出合った。

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内部はレストランか何かになっていたかと思う。
「きっと大金持ちのお屋敷だったんだね」
建物の作りも複雑になっている。

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とうとう傷心凉粉が食べられるお店を見つけた。

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ところがメニューの中には「開心凉粉」なんてのもある。開心(开心)は楽しいという意味。
さらに傷心(伤心)の心がハートマークになっている。
なんだかまたユーモラスな雰囲気だ。
「傷心凉粉ていうのは、傷つくほど辛いって意味なんだ、だから開心凉粉は辛くないんだと思うよ」
ジャオユーさんが推測した。
お店の人はその会話を聞いて、「外国人?」と訊いてきた。
「日本人なんだ」ジャオユーさんが言うと、
「辛いの食べれるかな?」
「現地の味を体験させてあげたいから」
実に四川に入ってから辛い物をよく食べる。

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出てきたものをよく混ぜて食べる。
味はたしかに辛くて、最初はそんなに辛くは感じないんだけどしばらくしてからくる、というのが四川入りしてからのお決まりだった。
こちらも最初は全然平気で、おいしいおいしいと食べていたけれど、次第に汗が噴き出してきた。

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このことが予想できていたため、もう一品辛くない油そばのようなものを頼んでくれていた。
こちらもおいしい。
辛い料理を先に私に食べさせてくれて、しばらくして、
「交換」といって、辛い料理を引き受けて辛くない方のを私にくれるのがパターンになっていた。

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こうして成都市区へ帰路につき、ふたたびドライブして帰ってきた。
そしてこのあとまた、成都の名物を食べさせてくれるという。
バイクそのままで向かったのは小さなお店。

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その外に小さなテーブルが並んでおり、みな外で食事を楽しんでいる。
小さなテーブルに座ると、ジャオユーさんが突然言った。
「今から女性が一人来るけど、なんの関係もない人だから誤解しないように」
どういうことだ?わざわざ言うなんて変だな、なんてかえって気になる。
すると、少し派手な感じの若い女性がやってきた。
私と彼女が向かい合わせに座り、ジャオユーさんが横に座る。

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私に食べさせてくれると言ったのは、これだった。
真っ赤なスープに浸かったたくさんの串。
それぞれには、お肉だとか野菜だとかそういう具材が刺さっている。
粉砕した落花生に唐辛子などの調味料を加えたものをつけて食べる。
その名も串串と呼ぶそう。

ところがやって来た女性は少しいい感じがしなくて、なんだか無視されているような感じがして、さらにジャオユーさんと二人で話をするので置いてかれている感があるうえに二人の会話が聞き取れなくて、私は食欲をなくした。
「マーヨーズ、食べなさい、辛いんだったら唐辛子を抜こう」
ジャオユーさんはそう言って店員さんを呼ぼうとしたが、
「必要ない」と答えた。

私と彼女は向かい合わせに座り、けれどもジャオユーさんは彼女の方に身体を向けてそちらとばかり話をする。
なんだ、この図は?
私が一人つまらなさそうにしているのに気を遣ったのか、ジャオユーさんが私に話しかけた。
「彼女は、“あなたが肉を注文するなんて信じられない”と言って驚いている」と笑うジャオユーさん。
私は笑えなかった。
ジャオユーさんのことよくわかってるじゃない。
「彼女はネット洋服販売で成功して、年収が日本円で900万円くらいあるんだ」
すごいね、以外に何も言うことが思いつかないんだけど。

その女性が串に手を付けないので、私もずっと黙ってるのも何かと思って、
「食べないの?」と訊いてみた。
「さっき食べたから」一言で終了。
私はもう言葉を発するのをやめ、ビールだけ飲んだ。
女性は結局私の方を見ることもなく、「帰る」と言葉を残し、帰っていった。

微妙な空気が流れ、ジャオユーさんが突然言った。
「昔の彼女で、今は仲の良い友達としてよく食事するんだ」
やっぱり。
さっき何の関係もないっていったじゃん。
「彼女に誤解を招くので、マーヨーズのことは普通の友達と言って紹介した」
どういう誤解だ。
「当時彼女は仕事が色々あって別れたんだ、四年も前のことだ」
理由は仕事?
「違う違う、性格の問題で別れたんだ」
じゃあなんで仲の良い友達になってるの。

「このタイミングでわざわざ昔の彼女呼ぶなんて失礼だよ」
私はぼそりと呟いてビールを飲みほした。
「このお店のことを聞いたら、まだご飯食べてないから来るっていうからどうしようもないじゃないか」
断ればいいじゃない。
「複雑な話は好きじゃない」
物事にはロジックというものがある。
彼女が来たのには理由がある。
ただそれだけだ、どこに問題がある?簡単な話だ。
ジャオユーさんは吐き出すように言った。

彼女と会うことになったことだけの話じゃないよ。
彼女彼女っていうけど、私への配慮とかはないわけ?
デリカシーとかはないわけ?
私へは彼女のことを“好朋友(親しい友達)”として紹介し、彼女へは私のことを“普通的朋友(普通の友達)”と紹介して、その普通的朋友は表現上の問題であることはわかっても、いやだった。
それでも失礼には違いないから、私が最初にそう言ったとき、表情を曇らせたとき、決してわがまま放題なにかを言ったわけではなかったのだから。
ただ一言、「ごめんね」とか「悪かった」とか、そういう言葉を口にしてほしかった。
そうすればそこで終わったのに。
こうして不穏な空気が流れ、マンションに戻りバイクを置いてからマンションの下のお店で飲みなおすことに。
けれども不穏な空気は解消されず、すでに喧嘩しているわけではないけれど、会話がはずまない。

「虫よけスプレーが最後の一滴でも、それをマーヨーズにかけてあげるのが自分だ。なのにこんな小さなところだけ見て、本当に大事なところをなんにも見ていない」
ジャオユーさんはビールのグラスを音を立てておいた。
確かに虫よけスプレーに関しては小まめに私にかけてくれていたけど。
最後の一滴をくれたのもほんとだけど。
「今日こんなに楽しかったのに、一瞬でこんなに変わってしまうなんて」
彼はそう言って大きくため息をついた。

〈記 7月24日 嘉峪関にて〉


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Author:まゆ
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中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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