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2018-08-23

38日間周遊 〈22日目〉 西安

2018年7月21日、朝5時半ころに目が覚めた。
西安の街はまだ眠ったまま。

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昨夜はいつまでも起きていて、ジャオユーさんはソファーでそのまま眠ってしまったが、いつもまにかちゃんとベッドの中で眠っていた。
二度寝をして目が覚めると、もうすっかりお昼近かった。

今日は昨日行きそびれた回族街へ行ってみる。
9年前にも行ったことがあるとは思うけれど、おそらく様変わりしていることだろう。
車を停めて、まずは遅い朝ごはんに。
日差しがまぶしく、成都での数日が嘘だったみたいに暑かった。
日焼け止め塗った方がいいよというジャオユーさんに、「大丈夫」というと、日傘を差してくれた。

入ったのは、西安の名物「羊肉泡饃」。
9年前の西安旅行は団体ツアーで、その中でこの羊肉泡饃も提供された。
けれどもみんなまずいと言って口にしなくて、私一人食べたら「すごいね」なんて言われた記憶がある。
私自身はおいしいともまずいとも思わなかったけれど、その時のみなさんの反応から、「日本人にとってはおいしくない料理」というイメージがついていた。
それ以降口にする機会はなかったが、どんな味だっただろうか。

この羊肉泡饃、ナンに似たパンをちぎって羊のスープにつけて食べる料理だ。
「マーヨーズ、先に座っていて」
そういわれて席を探し待っていると、ジャオユーさんはこれを持ってきた。

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「本当はこのやり方好きじゃないんだけど」
この丸いパンをまず適当にちぎって、それを開く。
その開いたのを細かく手でちぎってお椀に入れていく。
細かければ細かいほどいいということ。
「これ、時間かかるね」
正直、たいへんだ。
「そう、だから時間がある人しか食べれない」
おなかすいている時、焦るよな、と思う。
また仲が悪い人と一緒に食べると場が持たないよね、そういうと笑った。

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これが出来上がり。
これを店員に渡すと、店員はお椀と交換にメダルのようなものを置いていき向こうに持っていった。
けっこう時間がかかったのち、店員がお椀をふたたび運んできた。

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それがこちら。
さきほどちぎったパンが羊のスープで煮込まれている。
今日は一つのお椀を二人で食べる。
足りないかなと思いきや、パンがスープを吸ってかなりのボリュームになるので、二人で食べても苦しくなってしまった。
味はやっぱり、まずくはないしかといって衝撃の美味しさもない。しかし、まあまあ美味しいと思う。

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店頭にはこのようにすでに細かくされたパンがあり、こちらを使えばちぎる手間が省ける。
ジャオユーさんはこちらを利用したかったようだが、店員さんにちぎる式のものにされてしまったよう。

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そのまま進んで回族街へ。
しんどい陽射しの下、さすが西域への入り口で、ドライフルーツやさまざまな西域の特産品が売られている。

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こちらもまた西安名物のビヤンビヤン麺。
漢字の中でもっとも画数の多いといわれている文字を持つことで有名な麺だ。
味そのものよりもその漢字の方が先行してしまっている感は否めない。

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あまりに暑く、アイスクリーム屋さんに思わず入店。

こんな可愛らしいお店ができたのも時代の変化だ。
おそらく9年前にはなかったはずだと思う。

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こちらは、先ほど羊肉泡饃に使ったパン。

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こちらは酸梅湯。
先ほども元気づけに一杯飲んだ。
身体の熱を逃がす効果があるそうで、この回族街のいたるところで粉末が売られていた。

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さらにもう一つ、西安名物といえば皮影。
もともとはこれは影絵に使用するもので、それがお土産の定番としてこのように額に入れられて売られている。
動物の皮を着色してつくられるのでこの名がある。
9年前の西安旅行はツアーだったので、この皮影劇を見る機会があった。
西遊記のものと、また玄宗、楊貴妃の時代のものと二つ鑑賞した記憶がある。
玄宗のストーリーは、「天の原 ふりさけみれば春日なる 三笠の山にいでし月かも」で有名な柿之本人麻呂が登場するので日本人にも親しみやすいし、定番の組み合わせのようだった。

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しかし、このように売られている皮影、みなどれも数十元と安い。
つまりは大量生産品だからだ。
「ほら、見てごらん、どれも形が全く同じだろう?」ジャオユーさんが指し示す。
もちろん、お店にはみな‟手工(手作り)”の文字。
「なら手作りのものはどこで出合えるの?」と訊くと、わからないようす。
いつか機会があったら手作りの皮影に出合ってみたい。

うだるような暑さのなか、観光はどこかに行ってしまった。
回族街観光も、二人でおしゃべりして歩く口実のよう。
途中でザクロジュースを飲んでは、
「これ、本当の味と違う」と突っ込みをいれたり。
ザクロジュースは夏場、新疆のバザールなどいたるところで売られている。
生絞りのため、常温だし果汁そのままなので苦み酸味もそのまま。でもそれが、自然をいただいているという感覚がしてうれしいのだった。
新疆に行くといつもこれを飲む。
ワイングラスに入れられて気分もたのしい。
ジャオユーさんは新疆で生活していたことがあるので、当然のこと私よりずっと詳しい。
私もまた新疆旅行が好きなので、新疆にかかわることは二人共通の話題になっていた。
この日ここで飲んだザクロジュースは果汁がおそらく2、30%くらいしか入っていなくて、水と砂糖を添加したものだった。
たまたまここのがそうだったのだとは思うけれど、「新疆の方がおいしい!」と文句を言う。

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またもやここにもビャンビャン麺。

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また驚くべきことに、羊肉泡饃のインスタントが売られていた。
これこそこの数年の変化をあらわしていると思う。
羊肉泡饃って、インスタントにできるんだ。どんな内容なのか気になるところ。

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また、兵馬俑のお土産。辣子と書いてるが、中身はなんだろう。
こんなのも前に来た時にはなかったと思う。

やがてそのまま、西安の街のシンボル、鐘楼方面へ出た。
9年前この上から見た四方の西安の夜景がきれいで、昨日実は来てみたかったんだけど、かなわなかった。

西安站を発つ列車は20時20分で、チケット引き換えなどに時間がかかることを見込んで早めに向かわなかければならなかった。
観光する時間はまだあったけれど、あまりの暑さにカフェを探すことに。
鼓楼の近くのカフェに入り、残りの時間をくつろぐことにした。

色々な話をしながら、ジャオユーさんがスマホでニュースを見始めた。
私も覗き込んでみてみると、アナウンサーは信じられないといった感じで怒りを表している。
内容はというと、ある地域の農地を偉い人が視察することになった。その為に偉い人を讃える門などの施設をつくり、その費用18億元。
これらは本当に必要なものなのでしょうか。視察が終わるとすべて無用になりました。
アナウンサーはそんなことを言っている。
「マーヨーズ、18億元って日本円でいくらだ?」
現在のレートで、1元は17円ほどであるが、計算したくない数字である。
日本にも税金の無駄遣いとか問題になっているけれど、中国はもっとたちが悪い。
「でも、中国でこういう報道できるんだね」
報道規制が厳しい中国である。
「最近は少しずつ変わってきているよ」
18億円あったら、ランドクルーズが何台買えるんだろう、そんな冗談を話しながら、いつか一緒に中国の大地を、また時には国境を越えて旅することを想像した。

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やがて時間が差し迫ってきて、夕ご飯を食べに出てみた。
最後の夕食は清真のお店。

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ビャンビャン麺と、烤羊肉を頼んだ。
けれども時間がなくて、慌ただしい最後の食事となった。

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西安站に着いて車を地下駐車場へ置き、まずは急いで列車券引き換えに窓口へ向かった。
中国の主要駅は窓口がたいへん混雑しており、また一人ひとりが時間がかかる場合があってなかなか列が進まない。
甘く見ているとここで大幅に時間をとってしまうことがあるから心配していたが、なんとか列車券を手に入れることができた。

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その後、ジャオユーさんは入場券を買いに別の窓口へ。
そうして二人駅構内に入場し、さらに別のチケットを買い特別待合室へ入った。
今まで知らなかったが、お金を支払えば通常の改札口とは違う出入口から入場できるよう。
大きな駅にはあるのかな。
最後の時間をしんみりと迎えるかと思いきや、さながら戦いのようで、二人とも汗だくになった。
ジャオユーさんはまるで水をかぶったようになっている。
汗を拭いてあげると「大丈夫」と息も絶え絶えに言った。

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改札が始まり、ホームへ入場し、私の購入した硬座のある14号車に乗車した。
ジャオユーさんは重い荷物を車内まで運んでくれた。
「いいか、列車が発車したら寝台車にランクアップできるかどうか乗務員に訊くこと」
「寝台車に空きがないから硬座を購入することになったわけだし、きっと空きはないよ」と言うと、
「そうとも限らないんだ」
そんな話をしていた。
黄山旅行の時には満員列車の中で12時間座席なしというのを経験したことがあるし、18時間硬座だって気合で耐えられる、そう思った。
けれどいくら「大丈夫、大丈夫」と言っても、ジャオユーさんは納得しなかった。

14号車に乗車すると私の隣に座り、慌ただしく言った。
「発車したら、ランクアップすること」
そう言ってまた慌ただしくどこかの車両へ消え、また戻ってきた。
「いいか、発車したら12号車に行って乗務員にランクアップのことを聴くこと、わかったか?」
「うん、発車したら12号車に行って、乗務員にできるかどうか訊くんだね」
「うん、そうだけど…」
そう言って、またどこかへ消えた。
戻ってきてまた言うことには、
「12号車へは行かなくていい。発車したら乗務員にここまで来てもらうように話はつけたから」
「うん、わかった、行かなくていいんだね、ここで待ってる」
それでもジャオユーさんはまだ心配なようで、今度は車両を下りて外の係員と話し始めた。

時間は刻一刻と迫っており、もう今にでも発車しそうだった。
ジャオユーさんはまた私の席までやってきて慌ただしく言葉を残し、またホームに戻っていった。
「大丈夫、二か月後にはまた会えるから」
その後、私たちは窓ガラス越しに声の聞こえない会話をした。
そうかと思えば、また係員のところに行き何やら話をしている。
ジャオユーさんは窓の下まで戻ってきて、おもむろにスマホを入力し、私に見せた。
「話はついたから、心配しなくて大丈夫」
そう言って笑顔を見せて、また何か入力して私に見せた。
そこには、「自分の奥さんだと伝えたから」という言葉があった。
と同時に、列車は音もなく動き始めた。
少しずつ少しずつ二人の距離は広がり、やがて見えなくなった。

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西安站を発車し、車窓はしばらく煌びやかな西安の城壁をうつした。
そうしてやがて、まっくらな闇夜に。

しばらくして乗務員が検札にまわってきた。
私が切符を渡すと、乗務員はしばらくかたまり、身分証を求めてきた。
パスポートを渡すと、「ついてくるように」。
ジャオユーさんが話をつけておいてくれたおかげだった。
その後スムーズに寝台車へのランクアップができるかと思いきやさすが中国で、そうはいかなかった。
無事、寝台車両に移ることができたのは、発車から一時間後のことだった。

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ジャオユーさんと過ごしたこの12日間がなんだか夢のように思えた。
もしかしたら本当に夢で、いままで私は本来の計画通り一人旅をしていたのではないだろうか。
けれども12日間の記憶はあまりにも鮮明で、夢にすることはできなかった。

がたんごとんとゆっくりと振動する列車の中で、通路に出ていつまでも真っ暗な風景を眺めていた。
そうして思い出のあれこれを思い出しては、彼はいまどのあたりを走っているだろう、と考えた。
私は西、嘉峪関へ。
彼は南、成都へ。
こうしてどんどん二人の距離は離れていく。
それでも寂しさよりも不安よりも喜びや嬉しさの方が勝ったのは、彼が最後の一瞬まで私に向けてくれた笑顔だった。

〈記 7月26日 中衛行き列車にて〉

参考:
西安―嘉峪関行き列車 173元+128元

⇒ 嘉峪関・酒泉・中衛(西北)編 38日間周遊 〈23日目〉 嘉峪関 へ続く

◆成都ー漢中ー西安◆(第10日目~第22日目)

【7月9日】
ー成都~出入国管理局   [成都泊]

【7月10日】
成都ー双流~老茶館ー大邑~建川博物館~安仁古鎮ー邛崃~中国酒村~平楽古鎮 [平楽古鎮泊]

【7月11日】
平楽古鎮ー雅安~上里古鎮   [上里古鎮泊]

【7月12日】
上里古鎮ー成都   [成都泊]

【7月13日】
龍泉山ー洛帯古鎮  [成都泊]

【7月14日】
成都ー四姑娘山   [四姑娘山麓泊]

【7月15日】
四姑娘山ー巴朗山ー臥龍  [臥龍泊]

【7月16日】
臥龍ー成都ー邛崃~平楽古鎮  [平楽古鎮泊]

【7月17日】
平楽古鎮ー成都~ビル屋上の夜景  [成都泊]

【7月18日】
出入国管理局~老茶館~文殊院  [成都泊]

【7月19日】
成都ー剣門関ー漢中   [漢中泊]

【7月20日】
~武候祠ー西安~永興坊美食街  [西安泊]

【7月21日】
回族街~西安ー     [夜行列車泊]


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中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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