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2018-08-22

38日間周遊 〈35日目〉 成都

2018年8月3日、目覚めたのは9時前。
急がないのんびりした目覚めだった。
ゆっくり支度をし、ジャオユーさんは待ちくたびれていつものように腕立て伏せを始めた。
私と行動している間、食べるし飲むし、それなのに身体を鍛える時間もないからまずい、と言っていた。
先の12日間で体重は2㎏増えたのだと話していた。
私はというと、体重を量る勇気はない。

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支度を終えたあと、部屋の外の椅子に出て、中庭を眺めながら西瓜を食べた。
昨日成都を出発し、道すがら買ったものだった。
これをジャオユーさん自慢の‟すごいナイフ”で切り分けて食べる。
みずみずしくて、寝起きのだるい身体を目覚めさせてくれた。

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民宿を出て朝ご飯に出かけたのは、夕ご飯を食べたお店だった。

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ここでシンプルな麺をいただいた。
ちなみにこの泰安古鎮にはあちらこちらに一根麺の文字を見る。
しかしこれは同じく成都郊外の古鎮、黄龍渓の名物で私も五年前に食べたことがあった。
「一度有名なるとあちこちでやるようになるのは中国の良くないところだ」
ジャオユーさんは言った。
さもここの名物のように謳われている。

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いよいよ青城山后山へ登る。
古鎮を奥に進むと、わざと揺れるように作られた木製の橋があり、そこを渡り門をくぐると青城山への登り口だ。

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登山道はこのように渓流に沿って続いている。
川の中にはテーブルが並べられ、清らかな水の流れの中で水没しながらお茶を飲むことができる。
しかし私はやってみようとは思わない。

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雨で茶色く濁った古鎮付近の川とは違い、澄み切った水だった。
川の流れとともに登っていくのは気持ちがよく、背中を押した。
けれども狭い階段で、すぐに先を行く人に追いついてしまう。
隙を見て抜かしながら先を急ぐ。
「マーヨーズの体力はなかなかだな」
うしろを行くジャオユーさんは大量の汗をかいていた。
私は学生時代、陸上の長距離をやっていたが、今では普通以下の体力になってしまい、1㎞走るのもきつくなってしまった。
気持ちは身軽にいきたいが身体は正直で、実は私も汗いっぱい。

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スタートしてから一時間、小さな湖にあたった。
ここからは渡し船に乘らなければ向こうに行けない。
一人2元で、これに乘る。

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途中途中で飲み物や軽食を売る場所がある。
途中で凉麺を二人で分けながら食べた。

出発してから二時間後、展望のよい場所に出た。
食堂があり売店がありトイレもある。

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眺望の良い場所にはテーブルが並べられ、ここで食事をとることもできる。

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ただ景色はどうかというと、絶景というわけではなく、山に来たなぁという感じ。
ただ安らぐことは間違いない。

ここから頂上まではまだ30分ほどかかるそう。
「マーヨーズは頂上まで行きたい?」
頂上には白雲寺というお寺があるのだそう。
「うん、行きたい。ジャオユーさんは行きたい?」
そう訊くと、「行きたくない」
どうやら疲れてしまったよう。
「それなら私も行かない」そういうことになった。
ここから少し先には小さなお寺があるみたいで、そこまでは行ってみることに。

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古びた門はあったが、その先にあったのが瓦礫だった。
その瓦礫の真ん中に仏さまがぽつり。
「なんでこんなことになってるの?」
「地震で倒壊してしまったんだ」
ここまで登ってくる間にも、地震により以前の登山道が倒壊し、新しく別に道ができている個所があった。

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ここからはロープウェイで途中まで下山する。
一人であればロープウェイには乗らないで徒歩で降りるところだが、今日のうちに成都に戻るのに時間がなかった。
けれどもロープウェイもなかなかだった。
ゆっくりと降下していくロープウェイとともに、周囲の景色もゆっくりと変化していく。
せっかくの景色だったが、ジャオユーさんはうとうとしている。
疲れが溜まっているのに一緒にでかけてくれて、うれしかった。
起こさないようにおとなしくして、到着する瞬間にゆすって起こした。

ロープウェイを下りてジャオユーさんについていくと、駐車場のようなところに着いた。
「まだ車に乗る必要がある」
そう言って、すぐそばのおんぼろ車に乗り込んだ。
中にはすでに数人が座っている。
どうやらこれは登山を開始した泰安古鎮まで向かう送迎車のよう。
二人60元で少し高い。
車は発車してすごいスピードで走り出したが、この道がすごい。
くねくねと曲がる山道はとても狭く、さらにすぐ左手は谷だった。
墜落、とかないよね?一瞬そんな想像が脳裏をよぎったが、ジェットコースターのようなドライブはやがて終わりを迎え、無事に下界に到着した。
「安全に対する意識が少ないんだ」
ジャオユーさんは言った。

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車を停めていた宿の駐車場へ行き、私たちは青城山后山をあとにすることにした。
来た時と同じように、くねくねの山道を走る。

そうして次に向かったのは、「都江堰」。
都江堰は青城山と合わせて世界遺産に登録されている古代水利施設だ。
実は五年前に青城山に登った時に、その帰りに都江堰へ立ち寄っていた。
というのは、ここでバスを乗り換えなければ成都市区へ戻れなかったからだ。
都江堰前のバス停で市バスに乗り、都江堰バスターミナルへ、そこでバスを乗り換えて成都市区へ戻った。
時間がなかったので軽く入り口を覗いてみた。

「とにかく、“すごく昔”に李さんという人がいたんだ」
その李さんは一生の時間をかけて岷江を工事して、氾濫の多かった岷江の水害を治めた。
この都江堰は、水量が多い時には向こうの支流へ、水量が少ない時には成都へ水が流れるように設計したんだ。
ジャオユーさんは子供に説明するように私に説明した。
「じゃあ、すごい便利になったんだね」
私の感想も子供みたいなもの。

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この豪華なつくりの橋は、岷江にかかるもの。
一つひとつに見覚えがあった。
橋の上から上流を見て、向こうには左手に分かれる支流があるのだと教えてくれた。
「水が足りない時にはこっち(成都方面)に水が来て、水が多い時にはあっちに流れる」
「李さんが作ったといっても、実際にはたくさんの農民なんかが苦労を味わったんだろうね」

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私が五年前に踏み込んだのはここまで。
その先には賑やかにお店が建ち並び、観光客でいっぱい。

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まず目に入ったのは、富士フィルム。
お店の中身は普通の商店にみえるが、‟数码(データ)“の文字が見えるので、何か撮影の営業をしているのかもしれない。

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最初に小さなお店に入った。

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食べたのは凉粉と辛い豆腐。
辛い豆腐は豆花というそう。おいしくいただいた。

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小吃のお店が建ち並んでいて、それらを覗きながら思いついては食べていく。
一人旅の時と、ジャオユーさんと二人の時では、ぜんぜん旅の感覚が違うなぁと思う。
食べるものも全部おいしい。

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こうして都江堰にもさよならした。

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成都市区へ戻ってきて、バイクに乗り換えてやってきたのは週末でにぎわう飲食店街だった。
初めは別のところへ行ってみたのだけれど、行列がすさまじくてやめた。
道路挟んでどのお店も、数十人規模で人が並んでいる。
「いつもこうなの?」
「いつもこうだけど、週末だから特に人が多いな」
並ぶのが好きじゃない中国にもこういう場所があるんだ。

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そうしてやってきたのは、烤魚のお店。
泡菜をつかった烤魚ということで、
「マーヨーズに四川の味を味合わせてやるぞ」そう言って注文してくれた。

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泡菜とは四川式漬物で、野菜を唐辛子や生姜、山椒などと合わせて塩水に付け込んだ発酵食品。
今までの古鎮巡りでも目にしてきた。
魚の上にそれがたっぷり乗っかって、肝心の魚がなかなか発掘されないほど。

しばらくおしゃべりに花が咲いて、ここまでは良かった。
突然ジャオユーさんが、「今から近所のバイク仲間が来る」と言った。
友達が来るのは全然かまわない。
こういうのも中国の文化だし、それに友達を大事にするジャオユーさんが好きだった。
ところが、やってきた彼は少し空気が読めないようで。
私は次第につまらなくなってきたが、そういう態度をするわけにもいかずとりあえず笑顔だけ作って合わせていた。
しかしおなかはいっぱいでご飯はもういいし、お酒も勝手に飲めないし、煙草も吸えないし、二人の会話はすでに何話しているのか聞いてもいなかったし。
どうしよう、やることがない。
そうして私は周囲の夜景を見ることにした。

そんな時、ジャオユーさんがトイレに席を立った。
すると、そのバイク仲間が私に微信を訊いてきた。
「彼氏が席立った時に連絡先きくって失礼じゃないかな」
私はそう思って、「使い方よくわかんないから」と遠回しに断った。
ところが彼は私のスマホを受け取り自分でやろうとする。
「今私のWiFi切れてるから」
と、とりあえず今‟受け入れ“をしないことを伝えた。
ジャオユーさんが戻ってくると、何もなかったよう。
やだな、こういうの。
中国人はよく知らない人にも簡単に微信訊く人が多いけど、ちょっと抵抗がある。
そういうこともあって、つまらない時間が続いて笑顔を維持する気力がなくなった瞬間、場はお開きになった。

「マーヨーズ、どうしておもしろくない様子なんだ?」
バイクに乗った瞬間、ジャオユーさんは私にそう訊いた。
私は‟不高兴(不機嫌)“の語感だけ吸収し、彼が私をかるく叱っているのだと思った。
私は彼の腰にまわしていた両手を肩にもっていった。
駐車場に着きバイクを降り、彼は大きくため息をついた。
「なんでため息つくの?頑張って友達に付き合ったのに」
気持ちがしぼんでいくのを感じた。

マンションの部屋に入り、私は大きなソファーへ。
彼は私の隣ではなく、隣の小さな椅子へ。
「マーヨーズ、どうしておもしろくない様子なんだ?」
また同じように訊いた。
「私、不機嫌でもないし怒ってもいない」そう言うと、
「今日のマーヨーズの態度には‟問題“があるぞ」
これも、‟态度有问题(態度に問題がある)“の語感に意識がいった。
「だから、何度も言ってるけど不機嫌じゃない、なんでわかってくれない?」
私が何したの?
あなたは友達とおしゃべりしてて、私内容が聞き取れなかったから、でも邪魔しちゃ悪いから笑顔でずっと座ってたんだよ。気を使ってたんだよ。

ジャオユーさんは冷蔵庫からビールを取り出し開けた。
私も一本、開けた。
「さっき言ったのは叱ったんじゃない、マーヨーズのことを心配したんだ」
ジャオユーさんは言ったが、アルコールが少し回っており少し感情が敏感になっていた。
「じゃあ、態度に問題があるって?私、ずっと笑顔だったよね?」
「だから、心配したんだ、何がおもしろくなかったんだ?」
「だから、おもしろくないなんて思ってないし言ってないってば」
ジャオユーさんの誰にでもやさしく接する性格はわかっていたから、バイク仲間とばかりおしゃべりするのはぜんぜん構わなかった。
今から思えば、ジャオユーさんがどうこうではなくて、私はバイク仲間の彼に少し不満があったのだろう。

「何度言っても信じてもらえない、ならもう明日北京へ帰る」
私は、言ってはいけないことを言ってしまった。
ジャオユーさんは深いため息をつき、
「それはマーヨーズが決めることだ。何も言えない」そうつぶやいた。
「行かないで」彼は絶対にそういったことは言わない。そういう人だった。
だから、こんなことは言ったってなにもいいことなんてないのだ。

「そんなに怖いなら、自分はソファーで寝るからマーヨーズはベッドで寝なさい」
それを聞いて、ますます気持ちが沈んでいくのがわかったが、一度吐いた言葉は元にはもどらない。
「私、本当に不機嫌だったわけじゃない、悲しかっただけだよ」
そうつぶやき、寝室に向かった。
ジャオユーさんは結局私の隣に来たけれど、広いベッドの隅っこと隅っこ。
お互いに背中を向けて、「やだ、こんな状態じゃ眠れない」そう思うのに。
数分も待つことなく、後ろからいびきが聞こえ始めた。

〈記 8月10日 自宅にて〉

参考:
青城山后山 白雲ロープウェイ 45元


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まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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