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2018-11-07

30日間成都滞在〈2日目〉

2018年9月26日、昨夜成都に到着したのは遅く、眠りについたのは深夜2時を過ぎていた。
私は呑気なものだが、ジャオユーさんは出勤がある。
職場は近いので、朝7時前後に起き8時半前に家を出て間に合うが、私もそれに合わせて起きようと決めていた。
「マーヨーズはゆっくり寝ていなさい」
そう言ってくれたが、一人だけぐうたらしているわけにはいかないし、夜寝つきが悪くなってしまう。

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ジャオユーさんが出勤したあと、私は昨晩手付かずに放っておいた大量の荷物を片付けた。
衣服や化粧品を並べ持ってきた調味料なんかもキッチンにしまう。
そしてすっかり空になったキャリーバックを空き部屋に持っていった。
二つあるシャワールームのうち便利な方を勝手に私の方と決めると、洗面台は化粧品で埋まった。
旅行ではなくて一カ月ここで生活するんだな、そんな実感が湧く。

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ちなみにこちらはジャオユーさんがプレゼントしてくれたパンダのぬいぐるみ。

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犬のかぶりものを取るとパンダが出てくる。
私がパンダが好きで、さらに戌年なのでこれを選んでくれたのだという。

そういうわけで一カ月の成都滞在がスタートした。
今までと同様に滞在記を書いていくが、旅行でない中国渡航は初めてのことなので、いったいどんなふうに進めていけばいいかわからない。
時々は出かけたりするだろうが、毎日のほとんどはせいぜい、散歩に出掛けたりご飯を食べたり、そんなふうになるかと思う。

私の旅行記をご覧になってくださる方々はいろいろだ。
特定の場所に旅行を予定していて、参考のために訪れてくださった方。
中国に興味関心を持ち、覗いてくださる方。
かつて中国を旅行したりまた生活したことがあり、懐かしんで訪れてくださる方。
またはたまたま、何かのきっかけでページを開いてくださった方。
今回の成都滞在記にはそれらの方々が求めるものが、もしかしたらないかもしれない。
まさに自分の日記のようなもので、それをインターネット上で人さまにお見せするってどうなのか?とも思う。
けれども2009年以降の中国渡航のすべてを旅行記としてこのブログに残してきた私にとって、今回も重要な過程のひとつであるかぎり、やはり書いていこうと思った。
你好もまともに言えず、飛行機に乗るのも不安で、そんな私が一人旅をするようになり、中国語を学び始め中国人の友達もでき、いつまでも変わらない芯のようなものはあるけれど、それでも多くのことが変化した。
中国旅がなかったら、私の人生はまったく違う方向を向いていただろう。
一つひとつの渡航が、一つひとつの出会いが、一つひとつの出来事、風景が、今の私をつくり、また未来へとつながっている。
それぞれはまるで鎖のように繋がり、そのどれかが欠けていても、順序が違っていても、今のすがたにはならない。
今回の成都滞在もまた、この鎖の連なりのひとつ。
この旅行記ブログは、この鎖の連なりについて記録として残したものなので、やはり外すことはできないのだった。
ご覧になってくださる方々には退屈で長い内容になるかと予想され、申し訳ない気持ちにもなるが、成都での短期滞在はまだ始まったばかり。
これからの一カ月がどのようになるのかも、私がどんな滞在記を書くのかも、まったくわからない。
とりあえず、進んでみようかと思う。

ジャオユーさんはお昼に帰ってくるから一緒にご飯を食べようと言ってくれた。
11時45分にはうちに帰ってこれるし、14時までに戻れば問題ないとのこと。
私の以前の職場のお昼休憩はきっかり12時からの一時間。
日本の多くの職場がそうだと思う。
中国人は仕事といえどもお昼ご飯はしっかり食べる、なんて話は聞く。
公的な窓口でもお昼は閉まってしまったり。
かたや日本人は逆で、仕事に問題があればお昼の方を調整することが多いだろう。
私自身、お昼も仕事をし、お昼ご飯をとっていなかった日々を思い出す。

11時頃に慌てて化粧をしていると、「今から帰るよ」と連絡が。
やばい、あとマスカラだけ!とラストスパートをかけようとしたところで、その連絡と同時にドアが開いた。
「帰ったぞ!」
これ以上ないご機嫌で、ジャオユーさんは部屋に戻った。
ドア開ける直前に連絡くれても困るよ。

ここから歩いて、今日のお昼ご飯のお店に向かうことにした。
歩く道にも飲食店が絶えない。
小さな食堂から大きなお店まで、たくさんのお店が並びそのどれもが賑わっている。
日本にはないこの感覚が私は好きだ。
こんなにたくさんお店があるから、滞在中毎日違うお店を楽しんでもまだ回りきらないだろうなと思う。
「ちょうどみんな仕事のお昼休みだからどこもたくさん人がいるんだ」
ジャオユーさんは言った。
どのお店も外にテーブルを並べており、それらのテーブルはみな埋まっている。
ジャオユーさんの職場には社員食堂があるが、外に食べに出ることも多いみたいだった。
社員食堂は安くて便利なようだけど、周辺においしいお店がたくさんあるのだから、それもわかる。
もし私だったら、午前中はどこに何を食べに行くかで頭がいっぱいで、仕事が手に着かなくなりそうだ。

歩いて向かったのは、「鶏毛店」だった。
鶏毛店とは四川の味覚をそろえる庶民的なお店で、成都にたくさんの支店があるのだそう。
前回帰国の前日、成都を発つ前に、ジャオユーさんは一軒の鶏毛店の名をかかげるお店に私を連れていってくれた。
しかしたしかに以前は鶏毛店だったようだが、オーナーが方向性を変えすでに鶏毛店とはいえないお店になっていた。
鶏毛店として大事な要素はまず庶民的であることだそうだが、そのお店は店内を改装し個室なんかもできていたし、また料理も変わったよう。
ジャオユーさんはそのことをとても残念がり、ずっと「ここは偽物の鶏毛店」だと言い続けた。
そして私が帰国してまもなく、会社の人たちと「本物の鶏毛店」に来たのだといって、お店や料理の写真を送って見せてくれた。
その記憶は新しく、私は入店してすぐにこのお店がその時の「本物の鶏毛店」だということがわかった。

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頼んだのは三品。
夫妻肺片、手撕蓮白、番茄圓子。

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まずこちらが夫妻肺片。見た目の通り、辛い。
四川の有名な料理であることは知っていたが、名前にどうも魅力を感じず、食べてみようと思ったことがない。
「‟肺”っていっても肺は入ってないんだ」
羊の肺なら何度か食べたことがあったが、内臓好きな日本人も肺には惹かれない。
「ならなんで肺片っていうの?」
「昔は肺が使われていたからだよ」
この夫妻肺片は、昔ある夫婦が作り出した料理なんだ。当時は内臓は食べるものではなかったし、肺なんか特にそうだったけれど、それらを無駄にしないで料理にしてみようということで生まれた料理なんだ。
ジャオユーさんは説明してくれた。
そういうわけで、夫妻肺片という命名になったということだが、同じく四川を代表する陳麻婆豆腐のように、夫妻ではなくて夫婦ふたりの姓を命名すればよかったのに、そんなことを思った。
この夫婦肺片には現在は肺は使われていないが、それ以外の牛の内臓が使われており、腸や胃だけでなく舌や心臓もあった。
「日本には‟やきとり”っていう烤鶏肉串があって、それには心臓、肝臓、腎臓なんかもあってみんな大好きなんだよ」
ジャオユーさんが日本に来たらおいしいやきとりを紹介したいところだが、彼は肉を一切食べないのでそれは叶わない。
私はやきとりのハツが大好物だが、牛の心臓を食べたのは初めてだった。
夫妻肺片はかなり辛かったが、どの具材もとてもおいしかった。

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こちらは手撕蓮白。キャベツと豚肉を甘辛さっぱりに炒めたものだったが、回鍋肉と似ているようで違う。
こちらもとても美味しくいただいた。
番茄圓子はトマトの肉団子スープだったが、これは間違いがない美味しさ。

おなかいっぱいになり私たちはお店を出てマンションに戻り、ジャオユーさんは職場に戻った。

17時35分、ジャオユーさんはまたご機嫌な様子で帰宅した。
定時は17時半で、本当にすぐに戻ってきた。
実は明日、彼は職場で企画があり、それに参加するべく数日前から準備をしていた。
企画というのは読書会という命名だったが、数名が書籍を紹介しそれについて発表するというものだった。
「業務とまったく関係ないよ」
私がそういうと、「そうだ、こういう業務とは関係ない仕事が多いんだ、ここには」彼はそう言った。
けれども彼はこの発表にかなり意欲的な様子だった。
というのも、紹介することに決めた作品は文学作品ではなく、彼のお父さんの書籍だったからだ。力も入るわけだった。
ジャオユーさんのお父さんは大自然を撮影するカメラマンだった。
過去出版された本を開いてみれば、そのすべてのページが美しく、雄大で、厳しくて、まるでこの世の物とは思えないもので、けれども間違いなくこの世界に存在するものなのだと訴える力を持っていた。
「構想は決まった。かならず素晴らしいものになる」
ジャオユーさんは準備しながらそう言っていた。
明日はいよいよその発表で、私はなんとか会場に入れてもらえないかとお願いしていたが、結局できなかった。
前日の段階でまだ準備が完了していなかったようで、帰宅してから一時間ほど原稿を仕上げる作業をした。
私は壁へだてた別の部屋にいたが、ジャオユーさんのぶつぶつ呟く声が聞こえてくる。

「実を言うと、この本については説明しないんだ」
まず観客のみなさんにはこの成都から新疆に移動してもらう。
その**路を左折して、何百メートル行ったら**路を右折して、そうやって道案内をして、遥かな大地、新疆へまずいざなう。
そうして新疆についてまず知ってもらおう。
ここには、世界で美しいと言われるものが、みなそろっているんだ。
砂漠があり、草原があり、高山があり、高原があり、湖があり、ゴビ灘があり、雪山があり…。
こんな場所、他にあるだろうか。
ジャオユーさんが夢中になって私に説明するその生き生きした表情を見ながら、私は遥か遠い新疆の大地へ飛んだ。
「とても素敵だと思うよ」
私がそういうのがまるで耳に入っていないかのように、彼は言葉をかぶせた。
「本について説明しなくても、写真を見てもらえば言葉はいらない」
必要なのは本に対する説明ではなくて、この場所について言葉を添えればもう十分なんだ。
それで最後にこの本の紹介をする。
欲しければ無料で差し上げる。

今回テーマとして選んだ一冊の分厚い写真集は、中国国内でいくらで販売しているものなのかは知らないが、もし仮に日本で売られていたら5000円を下ることはないだろうものだった。
みんなにただであげちゃうの?とも思ったが、お金の問題ではなくて、この本の素晴らしさを、新疆の魅力を、ただ知ってもらいたいそれだけなのだ。

****

ジャオユーさんは翌日の企画の準備をし、私たちはそのあと食事に出掛けたはずだ。
私は今回の滞在記を途中までは成都で書き、途中からは日本に帰国してから書く作業に入った。
一通り書き終わりサイトにアップする作業に入ったが、ここでこの日の滞在記がここまでしか書かれていないことに気が付いた。
残念ながらこの日の記録は残っておらず、ここまでとなってしまった。


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まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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