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2018-11-07

30日間成都滞在〈9日間〉

2018年10月3日、今日もまたどんよりとした天気。
この前の成都滞在と今回の滞在、見事に雨か曇天で、私はほぼ成都の晴天を知らないに等しい。
「マーヨーズが帰ったあとには晴天が続いたんだけど、来たらまたこんな天気になったんだ」
ジャオユーさんも納得いかない様子。
私は雨女だったけ?

今日のお昼は車で出かけて、ジャオユーさんのお母さんと親戚一家と火鍋を食べる予定になっていた。
お店に行く前にお母さんを迎えにいき、そこで挨拶と用意してきたささやかなお土産を手渡した。
前回に会った時には、ジャオユーさんは私を友達として紹介した。
けれども親の勘というもので、友達ではないということがすぐに伝わり、結果とりあえず反対されることもなく受け入れてもらえた。

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お母さんを連れて向かった火鍋のお店は、龍湾碼頭というお店で以前は成都で有名な小龍坎の支店だったそう。
店の仕様もメニューもほとんど変えずに店名だけ変えたよう。
中国にはこのパターンがあるのでややこしい。
となりのお店はケンタッキーによく似ているけれど、ジャオユーさんに言わせるとこちらは真似ではないらしい。
ほんとうかな。

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火鍋の鍋も、小龍坎と同じもの。
龍が両側から顔を突き出している。そういえば小龍坎を真似た小龍坝も同じ鍋だった。

やがて親戚一家がやってきた。
ジャオユーさんのお母さんの弟夫婦とその娘さん、つまりジャオユーさんのいとこ。
彼女は今、双子を妊娠していてちょうど四カ月なのだそうで、辛い物を口にすることができない。そのため、辛くないスープのついた火鍋を注文した。

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彼女は私にお土産といってプレゼントをくれた。
箱はどうやら手作りのようで、開けてみるとそこには見事な飾り物が入っていた。
花の部分は一つひとつ、細い紙リボンを丸めて重ねて形をつくっている。
気の遠くなるような作業だが、なんと彼女の手作りのようで、昨晩私の為に作ってくれたそう。
素人とは思えず、どこかのお店で売っていてもおかしくないような見事な飾り物。

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こちらは彼女がSNSにアップした制作過程。
こんなに手のかかったものをもらっていいんだろうか。
彼女の歓迎の気持ちが強く伝わってきて嬉しい。

やがてやってきた火鍋の具材。

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こちらは肉団子にバラの花びらを巻いたもの。
残念ながら、ぐつぐつ踊る火鍋のスープの中で行方不明になってしまう花びらだ。

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こちらは魚一尾。
火鍋にどかんと入れてしまうのはさすが中国だなと思う。

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こちらは太極図をかたどったもので、つみれみたいな感じで火鍋に投入していく。

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他にもたくさんの具材。
さらに追加でどんどん頼んでいく。
私たちは思い思いにおしゃべりし、私は思いつく話題が少ないながらも、ジャオユーさんが私によくしてくれていることを伝えたりした。
日本人にとっては家族、親戚といったこうした場は必ず気を使うものだ。しかも初対面なのだからなおさら。
けれどもかしこまっている私を見てお母さんは何度も、
「私たち中国人にとっては家族親戚といったこういう時は一番気を使わなくていいんだから、遠慮しないで」
娘(ジャオユーさんの妹)は山東省に嫁いだけれど、山東省の人間はかしこまるからあちらの家族の習慣は合わないんだ。ああいうのは私は楽しくなくない。
そう言った。

場は楽しくお開きとなり、親戚一家と別れ私たちはお母さんを家まで送った。
お母さんは言った。
「彼のお父さんはとても優しくて自分によくしてくれたいい旦那さんだった」
自分にあまり干渉することなく自由にさせてくれたのだと、言った。
「だから彼(ジャオユーさん)もそういうふうに育ったんだ、彼は大男子主義みたいな人ではなく、そういう人だから安心しなさい」
うーん、少し「男はえらいぞ、ついて来い」みたいなところはあるけれど、確かにお母さんの言う通りだった。
「夫婦で大事なのは、包容力」
これもジャオユーさんから何度もたしなめられたことのある言葉だった。
けれども、自分の旦那さんのことをこんなふうに言える夫婦関係はすばらしいなと思った。
お父さんはずっと前に亡くなっているけれども、ジャオユーさんやお母さんの姿を見て、やっぱりきっと優しくてすばらしいところのたくさんあるお父さんだったんだなということが、伝わってくる。

お母さんを家に送り、私たちは車で出発した。
どんより天気は相変わらずだけれど、さいわい雨は降りそうになかったので、出かけることに。
「湖に行こう、前に写真で見せたことのある湖だ」
確かに9月のある日、ジャオユーさんはバイク仲間三人である湖に出掛け、その写真を送ってくれたことがあった。

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まっすぐな道路を飛ばす。
監視カメラを意識しながらも、時折身体が浮くようなスピードで加速した。

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高速道路の出口は三岔湖。
「これから行く湖ってこれのこと?」
そう訊くと、そうだという。

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ここで高速道路を下りて辺鄙な道を走ることになった。
道はあまりよくなく、砂ぼこりが舞っている。
そこらじゅうで大規模な工事をしている真っ最中で、道路標識には「成都天府国際空港新城」の文字。
「あれ、空港って双流空港以外にもあるの?」
思わず訊くと、ただいま建設中とのこと。
空港の建設だけでなく、周囲の道路や交通機関の建設も必要になってくるので、あたり一面国慶節の連休にもかかわらず工事進行中なのだった。
国際空港ということは、近い未来に日本からのフライトがこの空港にも就航することになるのかな。
けれどもこちらの空港も市区からけっこう離れており、双流空港とどちらが便利なのかはなんともいえない。

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そんな道を走りやがて木々が生い茂る田舎道に入っていき、人が住む気配もないところから突然民家が姿を見せた。
と思えば、もうすぐそこは目的の湖だった。

ジャオユーさんは道端にいた親父さんに、
「また来たよ」と声をかけた。
親父さんは湖のほとりに商店と茶館を兼ねたなんでも屋さんみたいな商売をしていた。

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道の突き当りが湖になっており、そこは船の渡し場になっていた。
船はいまから出発し対岸へ向かうよう。
今にもお茶の準備をしようとしている親父さんに、
「5分後にまた戻ってくるから」
ジャオユーさんはそう声をかけて、私たちは船に乗り込んだ。

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小さな船だけれどれっきとしたエンジン搭載の船で、みなしっかり救命具を身に着ける。
どこから人が湧いて出たものか、少ない座席は満席になり、自転車や荷物が積み込まれていた。
行楽客というよりは、ここに暮らす人々の足として活躍しているよう。
無料である。
「これでも乗客はどんどん減っているんだ」
ジャオユーさんは言った。
もしこの船がなかったら、対岸へ行くのにそうとうな時間がかかってしまうことだろう。
そんな心配をしたけれど、今後観光地として開発が進む話もあるのだとか。

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船はぐんぐんと進み、あっという間に対岸が近づいてきた。
近くを通り過ぎた小島には簡易な小屋があり、釣りをしているおじさんがいた。
どうやってこの小島から移動するのかと思えば、手漕ぎの木舟で行き来するのだそう。
この湖には、こうした小島がおよそ百数十も点在しているという。
遠く向こうを見渡せば、真っ白な米粒が生い茂る木々に粒粒に張り付いている。
白鷲である。
かと思えば、島から島へ重たそうな身体を運んでいく鳥が船の前を横切った。

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対岸もまた同じような雰囲気で、お茶を飲む人、麻雀をやる人、釣りをする人、そうした人たちがくつろいでいた。
非常に狭いエリアなので数分散歩しまた船乗り場へ戻ってきた。

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船はまたすぐに出発するもよう。
慌ただしいけれどまた同様に乗り込み、救命具を身に着けた。

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私たちはタイタニックごっこをし、係員に「危ないから中に入って」と怒られてしまった。
もう若くない二人である。
今の若い人にはわからないかな。

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いよいよ先ほどの親父さんのところでお茶を飲むことに。
水辺にテーブルがあり、そこに座りお茶を飲む。
ジョッキに茶葉が入っており、お湯はいくらでも継ぎ足してかまわない。
頼まなくても親父さんがポットを追加しに来てくれる。
料金はかわらないし、時間制限もない。
ゆったりとした生活を好む成都の茶文化である。

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ここで先ほど買ってきた落花生とヒマワリの種、ドライバナナをつまみにお茶を楽しむ。
天候は相変わらずさえなかったが、時間から解放されたくつろぎの空間がそこにはあった。

すぐそばには古い民家があった。
レンガ造りで相当古い建物だった。
「ここ、前に買おうと思ったんだ」
ジャオユーさんは言った。
「ジャオユーさん、家買う話すきだね」
あきれてそういうと、彼は得意そうに笑顔をみせた。
「買うのは高かったけど、借りるならいくらって訊いたんだ」
先ほどのお茶館の親父さんである。
「そうしたら、言い値でいくらでも構わないっていうんだ」
一年5000元というならそれでも構わないと。
「あの親父さん、とてもいい人柄をしている」

この古い民家を越して向こうに出てみると、そこはかつてこの民家から出入りしていた船の出入り口のようだった。
錆びた線路のような鉄骨が湖にのびている。

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そこには親子が座り釣りを楽しんでいた。
「天気が良ければ、ここでテントを張って一泊したかったんだけど」
「それなら魚を釣ってここで食べるのもいいね」

私たちはお茶のテーブルに戻りふたたびおしゃべりを始めたが、戻ってくるのを待っていたかのようにポットを手にした親父さんがやってきて、やがてジャオユーさんと盛り上がりはじめた。
四川語を話しているが、どうやら社会だとか国だとか世界だとか、そういう話で盛り上がっている。
親父さんが少し席を外し、
「社会だとか国の話で盛り上がってるね」
そう言うと、「男はそういう話が好きだからね」
それに続いて、「あの親父さん、前もこうだったんだ」
やれやれ、といった風に顔をゆがめてジャオユーさんは深いため息をついた。
「こっちの世界なんて気にしないでずっと話しかけてくるから、友達もだんだん携帯を見たりしてかなり失礼な態度をとり始めたんだけど、それでも話をやめないんだ」
そんな話をしていると、親父さんがにこにこして戻ってきた。
なんと椅子を手にし、それを私たちのすぐ前に置いて腰を下ろした。
ジャオユーさんを見ると、親父さんに見えないようにして口を‟への字“にゆがめている。
男の世界は男の世界、私は女だから知らない。
そういうことにして親父さんの相手はジャオユーさんに任せ、私は一人でくつろいだ。
やがて親父さんがまたポットのお替りを取りにいこうとしたのをタイミングに、私たちはそれを断り帰路につくことにした。
「この親父さん、それでもいい人なんだよ」
ジャオユーさんはこそっと私にそう言った。
「次回ここでテント張って烤肉やるとしたら場所代いくらでいい?そう訊いたら、最初のお茶の代金以外はいらないっていうんだ」
だから、そういうわけにはいかない、必ず場所代は渡すと伝えたよ。

私たちはすでに暗くなり始めている道を戻った。
マンションに戻り、ジャオユーさんは一人でほとんど平らげた落花生のためにおなかが空いていないと言った。
そこで、先日食べて残り持ち帰った耗儿魚のソースをそのまま利用して麺として軽く食べることに。
日本ではこういうことはありえないけれど、余ったら持ち帰る文化がある中国では、こういう節約方法もある。
また中国で食べる料理の中には、ソースが大量なのに魚などを食べてしまって無用にするにはもったいないようなものも、少なくない。

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実際、少しだけ手を加えて作ったこの麺はとてもおいしかった。

こうして少し物足りなくて、私たちは近くのビールバーへ。
前回出会って三日目に連れてきてもらったお店だった。
一面に壁のように並ぶビールに、目がくらむ。

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私たちは屋外の席へ。
室内の席には欧米人の一人客がいた。
イヤホンをし何かを聞きながら、テーブルにはビールが並んでいる。
こちらからは表情はうかがえず、ただ丸まった背中が見えるだけだ。
「ああいうのを見ると、‟故事(ストーリー)“を感じるよ」
私は言った。
もしかしたら、祖国には奥さんと、あるいは小さな子供が二人くらいいるかもしれない。
仕事で中国この成都に来ることになって、中国語もわからければ中国の文化にも馴染めず一年。
祖国と愛する家族を懐かしんで、こうした外国のビールが飲めるお店に来ては一人で胸を痛めている。
「マーヨーズの想像力を尊敬するよ。でも実際成都にはたくさんの外国人が暮らして生活を楽しんでいるよ」
彼がかならずしも中国での生活に馴染めていないとは限らない。
ジャオユーさんはそう反論した。
私たちはともに‟故事“を見るのが好きだけれども、お互いが目にした故事はときにまったく違う色合いを持つ。

〈記 10月10日 成都市区にて〉


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まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

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