FC2ブログ
2019-01-02

15日南方周遊〈5日目〉 貴陽

2018年12月15日、九江から貴陽行きの夜行列車に乗り、間もなく日付が変わった。
随分と遅くまで上段のベッドから無理な姿勢で流れる暗がりの風景を眺めて、やがて寝ようと姿勢を変えたら。
対面下のベッドで寝ていた小さな子供が耳をつんざくような大声で泣き始めた。
若いお母さんは辛抱強くなだめるけれど、まったく効果なし。
これがどれだけ続いただろう。
時計を見るともう明け方の4時を回っている。
お母さんはたびたび部屋の灯りをつけ、そんなこんなで私は半ば眠るのを諦めた。
翌日が忙しい日程ならば焦るけども、到着は19時だし、昼間はすることもないからごろごろできる。
大人が大声を出していたら一言声もかけたくなるけども、子供なので仕方ない。
少し離れた部屋からも、どこかで子供の泣き声が漏れ聞こえてくる。
お母さんてたいへんだな、と思う。
一方、私の下のベッドで寝ているお父さんの方は、爆睡。
お母さんが必死で子供をあやしている一方で、お父さんはいい気なものだ。
いい気なものだけであればよかったけれど、ここに来て大いびきが始まった。
こんなに大いびきで本人は目覚めないのが不思議なくらいだ。
私は次第に、子供の泣き声よりもいびきの方が気になって、もうまったく眠れなくなった。
耳をふさいでも、侵入してくる大音量。
自分の子供がどれだけ泣いても目覚めない眠りの深さに感服する。
夏の38日間旅行を思い出した。
あの時も、たしか紹興から昆明に向かう夜行列車で、泣き叫ぶ孫を持て余すおじいさんおばあさんが同室だった。
あの時は子供が少し大きくて悪さができる年齢だったことと、それにそんなのが二人もいたので困り果てた。
それに比べれば、今回は悪さもないし、ただ泣き声といびきだけ。

はっと目を開けると、もう明るくなっていた。
時計を見ると朝の8時。
それでも少しは眠ったらしい。
斜め下のベッドを見下ろすと、お母さんと子供がすやすやと眠っているのが見えて安心した。

18121501.jpg

窓の外はほとんどが山の景色で、たまに山中の民家が二つ三つかたまって通り過ぎた。
古い瓦屋根の木造に、すぐ隣には真新しい鉄筋の家が建っている。
古い家を取り壊さずに横に新しい家を建て、両方利用して生活しているようだ。
あっという間に流れていく風景の中にも、現代の中国を見た気がした。

午後になり、私は食堂車に移動して旅行記を書き始めた。
上段ベッドは動きが取りにくいしテーブルも使えないので、なにもできない。
夕方になり食堂車が仕事を終えるということだったので、私は勝手に乗客が下車し終わって空になった部屋へ侵入し、そこで旅行記の続きの作業をした。

18121502.jpg

実を言うと、昨日からおなかの調子が悪かった。
胃なのか腸なのかよくわからなかったけれど、内臓が痛い。
悪いものでも食べたかなと思ったけれど、下痢も吐き気もない。
耐えられないつらさではなかったので、食事はできる。
けれども空腹がやってこない。
それでも食べておいた方がいいだろうという義務感で、ここで買っておいたカップラーメンを食べた。
旅先でおなかが空かないのは究極につまらないことだ。
中国を旅する楽しみのひとつは、たとえそれがなんのことはない小吃であっても、ひいてはカップラーメンであっても、やっぱり食だからだ。

19時、定刻通りに貴陽站に到着した。
同室の親子は終着駅の昆明まで行くよう。

18121503.jpg

中国旅では駅を出て、タクシーが捉まえやすいところと、もう全然捉まらないところがある。
貴陽站はタクシーの待機もなく、私はたまたまいたタクシーにホテルを伝えたが、一度止まって行先を聞いた運転手さんは、そのまま何も言葉を発することなく過ぎ去ってしまった。
もう一台なんとか停めると、「バスで行けばいいよ」とこれも乗車拒否。
どうやら、近いので乗せたくないよう。
近くても荷物も多いし、土地勘もなくバス停から探すことになるから、加金してもいいからタクシーに乗りたかったんだけど。

18121504.jpg

訊いてみると、1路バスも2路バスも、私の予約したホテルがある繁華街、中華中路を通るみたいだった。
そこで2路バスに乗って確認してみると、「1路バスが通る」とのこと。
1路バスに乗り換えて1元を投入したあと、運転手さんに、私のホテルはどのバス停で下りればいいか訊いてみた。
中華中路にはふたつのバス停があるということだったからだ。
「噴水池でおりればいいよ」
そう教えてくれた運転手さんに、「私外国人だから、近づいたら教えて」とお願いする。

18121509.jpg

無事に噴水池で下りてみれば、貴陽の街は都会だった。
案の定ここから迷い、地図と住所片手に番地を見ながらうろうろし、ようやく見つけ出したときには20時をまわっていた。

18121505.jpg

宿泊するのは繁華街のど真ん中にある、柒號花園酒店。
中華中路をひっそりとした道に曲ってすぐ、隠れ家のようにあった。
これは、わからない。
けれども内装は凝っていて品があり、フロントも親切だった。

18121507.jpg

部屋は広くはないけれど、調度品がアンティーク調でおしゃれ。
窓には造花が飾られて、その先には貴陽の夜景。
カップルでも友達でもいいホテルだなと気に入った。

18121506.jpg

そしてフロントに飾ってあった、貴州の美食を紹介するパンフレット。
絵もきれいだし、説明もていねい。

18121508.jpg

フロントに置かれていた同じく貴州について紹介する冊子もいただいた。
お勧めの味覚、それがどのお店で食べられるのか。
それから貴州の方言の一部を紹介し、また市内の観光スポット、郊外の見どころまでも掲載している。
いかにもといった観光パンフレットではなく、若者が手作りで編集したような温かさと目線が感じられた。
ジャオユーさんと、こういうのを一緒に作ろうね、と10月に話したばかりだった。
私が提案しどういうものを作りたいか説明すると、ジャオユーさんは興奮して張り切ったんだった。
ふたりの鉛筆の跡は、まだあのスケッチブックに残っているはずだ。

18121510.jpg

時間も遅いので、周辺に夕ご飯のお店を探しに出た。
中華中路を反対側へ渡ってうろうろすると、屋台が数店舗ならんでおり、誘惑されながらも寒いからな、と通り過ぎると、その先に老凯俚酸湯魚の文字が目立つお店が。

18121511.jpg

18121512.jpg

さっそく入店してみると、女性も男性も苗族の衣装を演出している。
多分、「魚か羊か」と訊かれたのだと思う。
「魚羊鮮」と文字がでかでかと書かれたものが、あちこちに置かれている。
「私、外国人なんだけど、どちらがお勧め?」と訊いてみると、
「魚」と即答だったので、そちらへ。
メニューを見ることもなく、注文システムを確認する間もなく、いきなりの選択だったので焦った。

18121513.jpg

ちなみにこちらは、私が選ばなかった方。
貴州黒山羊とあり、これもまたこちらの名物のよう。

席につくと、「魚をあちらで選ぶ」のだという。
行ってみると、複数の魚があり、どれを選んでいいかわからない。
大きな魚は食べきれないと思ったので、小さい魚から無難なものを勧めてもらった。

18121514.jpg

選んだのは、黄腊丁という魚。
500gが60元。
これも目の前で上げて秤で測ってくれる。
「食べきれないので」と数を調整してもらい、5匹を調理してもらうことになった。

18121515.jpg

やってきたお鍋。
この中にはすでに先ほどの魚が投入されており、店員さんのOKが出るまで加熱。
そのまま投入されているので、ちょっとグロテスクでびっくりする人もいるかもしれない。
黄色味のまだら模様の皮が剥がれかかりながらもくっつき、頭が取れてぐらりとなっている。
おたまですくって、私ははじめ、間違えてカエルが投入されているのではないかと本気で思った。

18121516.jpg

それからお酒はせっかくなので、こちら名産の米酒を。
度数は18度で色はカラメル色、甘酸っぱいような風味。

18121517.jpg

もう一品、ここ貴州の名物をと頼んだのは、洋芋粑。
ジャガイモをつぶして丸めて揚げたようなもので、これに孜然粉をつけて食べる。中はほくほく。

こうして店員さんのOKが出たので、いよいよメインの酸湯魚を。

18121518.jpg

こちらがおたまで上げた一匹。
見るからに辛そうなタレにつけて食べてみると、これがとてもおいしい。
魚もおいしいけれど、タレが好みだった。
酸っぱ辛いタレの中にはレモングラスが入っているみたいだった。
中国でこういう風味に出合ったことがなかったので、ちょっと感動。
おいしくて、5匹骨を残してきれいにたいらげてしまった。

18121519.jpg

ホテルに戻り、お酒の続きを飲む。
テーブルで旅行記の作業をし、ふと立ち上がって窓の外を見てみると、煌びやかだった貴州の夜景は、もうすっかり明かりを落としていた。

〈記 12月16日 貴陽にて〉

参考:
1路バス 1元
宿泊費 280元
夕食(酸湯魚、洋芋粑、米酒) 227元

⇒ 15日南方周遊〈6日目〉 貴陽 へ続く

クリックしていただけると励みになります☆
↓↓↓
にほんブログ村 旅行ブログ 中国旅行(チャイナ)へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

まゆ

Author:まゆ
中国が大好き。お酒も大好き。
中国へ行く度に、スケールの大きさに圧倒されます。各地を旅行し街歩きし、体感したことを綴っていきます。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
最新トラックバック
クリックしていただけると励みになります↲