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2019-11-13

西寧旅行三日目〈タール寺〉~後編~

大経堂の辯経仏事を覗かせてもらい、建物の横に出た。

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こちらは大経堂の建物の一部を横から見て。
この建物はとても大きく、これもある一部分にすぎない。
そのすぐ先にもまた何やら観光客が群がっている場所があるので行ってみると、そこにもまた別の出入り口があった。

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人の流れに誘われるように私も入ってみると、奥に続いている。
その先に見えたのは、また先ほどの辯仏仏事の広場だった。
ぱちぱちと手を打つ音が響き、口論をするような賑やかな声の掛け合いが響く。
どうやらこちらの出入り口からも、わずかなスペースから中の様子が見学できるようだ。
しかし、押し合いへし合いの観光客の多くはスマホや立派なカメラで、撮影をしてしまっている。
「撮影禁止なのではないの?」
仏事が撮影禁止であるかどうか以前に、タール寺内の建築物の内部すべてが撮影禁止だった。とうぜん仏事も不可だろう。
しかし中には長々と録画撮影している人も。
すると背後で女性が、封鎖されている大経堂内を見学したいと、お願いしている声が聞こえた。
振り返ってみると、観光客の女性がお願いをしている相手はこちらの僧侶だった。
仏事を行っているような若い僧侶ではなく、なかなか貫禄のある年配の僧侶である。
僧侶は、「今は仏事を行っているから入れないし、中を見てもどのみち他の建物とそう大差ないから」そう話している。
なかなか立場のありそうな方のようだったので、私も横から入り、「写真撮影はしてもいいの?」と訊ねてみた。
これもダメもとである。
しかし意外なことにその僧侶はとても愛想の良い表情で、「いいよ、撮りなさい撮りなさい」と答えながら、むしろ勧めるような様子を見せた。
今まで「撮影NO!」と睨みをきかせていたのは、みな警備員だった。
それでもこのお寺の主人である僧侶がそうおっしゃってくださったのであれば、いいよね?

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こうして遠慮遠慮しながらも撮らせてもらった、大経堂内の広場の様子。

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こちらが、先ほど最初に覗いた入り口の方。
あちらが正面である。
たくさんの僧侶が一列に並び腰かけ、オニオオハシの嘴のような帽子をかぶっている。

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右腕を大きく上げ、左足を上げてのけぞったかと思うと、右手を打ち下ろし左掌を打つ。
そんな動作を繰り返している僧侶たちはどこか楽し気な表情が伺えて、僧侶といえども若い男の子たちだと、なんだか気持ちがなごんだ。
しかし男の子たちといっても、実際にどうなのかはわからない。みな坊主頭に剃り上げて日に焼けた黒い肌。案外私とそう変わらないのかもしれないけれど。

大経堂を抜けて、その先に進むことにした。時刻はもう間もなく17時になろうとしていた。
帰りのバスはそう遅くまではないはずだった。しかも乗り場が怪しくどのようにバスを拾うのかもやってみないとわからない。18時くらいにはバスを降りたあたりに行っておきたい。

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大経堂の隣にあるのは、酥油花館。
酥油花とはチベット仏教の伝統的な技法で、バター彫刻のことだ。
バター彫刻ってなんだ?と思うが、バターに色素を混ぜたものを練り形を作り、彫刻し、そうして造られた仏さまへのお供え物で、タール寺のお正月行事でもあるのだそう。
この酥油花館自体は1988年に建てられたそう歴史があるものでもないが、中にはそうした酥油花がたくさん展示されているのだという。

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内部に入ってみると壮麗で迫力満点だった。
非常に高さのある天井で、五色で彩色された細かい模様がぎっしり上まで続いている。
まるで宮殿のような豪華さである。
中央には数メートルにも及ぶ大きさの地蔵菩薩像が金ぴかに輝き、それを取り囲むようにガラス張りになったその中には、それぞれ巨大な酥油花が納められていた。
それらを順に見ていくが、とてもバターでつくられたものだとは思えない。
どうしてか日本の商売繁盛の熊手を思い起こした。様々な要素のものが一塊になり、一つの作品になっている。
一言で言うなら、賑やか。
重厚な建物に神さまや人物、精巧に形成された木に鮮やかな花。
花はあざみのようなものから菊のようなものまで、多彩だ。
その色彩の鮮やかさは、色味自体は日本でいうお盆の落雁を思い出させるようなものだった。そして細かな花びらの一本一本に妥協を感じさせない。
もう一言で言うなら、精巧さ。
非常に細かく、色彩も鮮やかで豊かだ。
巨大な作品の合間合間には、年画に絵が飼えるようなまるまる太った童子。
縁起の良い桃などを抱えている。
酥油花の題材は多彩で、経典の内容や民間伝承など多岐に亘る。
しかし題材が頭に入ってこないほど内容が豊富で、どこに注目していいかわからないほど、一つの作品がたくさんの要素を含んでいる。
さらにもう一言で言うなら、ぎっしり。
赤、青、黄、緑、桃、紫、それだけでなく金や銀まで。
それぞれの色は微妙なグラデーションを表したり、複雑な色味を出したりしている。
これはほんとうにバターでできているのか?
これはほんとうにそれを彫刻したものなのか?
ガラスの向こうに展示された巨大な作品を見ながら、わずか剥がれて落ちた欠片を見つけた。
それを見つけてようやくこれが本当にバターでできていることを知る。

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こちらは酥油花館の出口付近に展示されていた写真より。
このバター彫刻は、1612年にここタール寺の法会の際に供えられた時より始まり、400年の歴史を持つ。
展示写真を見ていると、背後でツアーガイドが観光客に解説をしていた。
「…この段階ではバターはバターですから食べることができます。そのあと着色し…」
そんな説明を聞くともなしに聞き、やっぱり本当にバターなのだということを知った。
バター彫刻、まさかこれほどの規模だとは思わず、信じられない。

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最後に覗いたのは、蔵経楼。2003年に香港の李さんが500万元を投資して建設されたのだと書かれている。
建物は非常に豪華絢爛で、五層のチベット式木造建築だ。
殿内には11mの銅製文殊菩薩像、両端には3mの八大菩薩像など、多数の仏像が納められている。
文殊菩薩像は金だけでなく、銀にさらに色彩ももっている。後輪は細やかで、そこに動物などがあしらわれていた。
ここには壁画もあったが、あいかわらずおどろおどろしい。
三つの目をもつ神様
首がもげ、目玉が飛び出た人。
笑うドクロ。
三つ目の神様の口の中には人。人が喰われている最中だ。
この神様はまるで魔王のようで、その魔王の身体からはたくさんの首が飛び出している。
そしてそれぞれの首からは頸動脈なのか食道なのか、ピンク色の太い管が飛び出している。
あまりにも絵で埋め尽くされ、どこからどこまでが何で、何から何までがどれなのか、もうさっぱりわからない。
一言でいえば、混沌。
さながら妖怪画かそうでなければ地獄絵図だ。

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この先にもまだ見学できる建物はあったが、時間が心配になってきたので、もう戻ることにした。
このタール寺、斜面に並んだ寺院の並びである。
まだ明るい一本道には、寺院内だというのにきちんと通り名があった。
この通り名は明らかに漢語ではなくチベット語由来のものだった。
それでも読み上げてみればピンインの発音だから、本来のチベット語がどのような語感を持つものなのか想像もできない。

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先ほど見学した大経堂を通ると、仏事が終わり僧が大勢出てきたところだった。
「中を見学したければ今ならできます。間もなく閉めますので急いで!」
そんなふうに声をあげる警備員がいた。
外から中を覗いてみれば、向こうに大経堂の目玉、大金瓦殿の黄金色の屋根がわずかに確認できた。

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こちらは振り返って。

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歩いて行くとこんな張り紙を見つけた。
「高山病が出たら無料で酸素吸引できます」
チベット語に中国語に蒙古語。
世界でもっとも高い位置にある高原、青蔵高原は標高4000m以上の高さに広がる。
市街地の西寧でも標高2275mで、ここタール寺の標高は不明だが、それよりかは高いと思われる。
2000ちょっとといえばそう高いわけでもないけれど、人によっては高山病の症状が出てもおかしくない。

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最初に見学した祈祷殿まで戻ってきた。
大経殿付近の寺院とは趣のことなる緑色のレンガに瓦。

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最初に大混雑でなかなか写真が撮れなかった入り口の如来八塔。
日が傾いてきたといえ、真っ青な空はいまだ透明で清らかさをもっている。
ここから出口までの石畳を、信者の方々が五体投地をしながら少しずつ少しずつ進んでいく。
その横を歩いて先を進むのに、どうしてか何か申し訳ないような気持ちになりながらも、追い越した。

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タール寺を抜けてバスを降りた場所まで急ぐと、西日に照らされた丘の斜面がまるで黄金のように眩しかった。
到着した時は緑々しい草に木。
色彩というのは物質そのものが持ったものなのではなく、光によって生み出された形ないものなのだと再認識する。
だから目に映るすべてのものは、物質そのものではなく、光そのものだ。
私は光を目にし、しかしまるでそれが物質そのものであるかのような感覚をただもっているだけなのだ。

バスを降りたあたりできょろきょろしていると、ちょうどタイミングよく小型バスが向こうからやってきた。
よく見れば、ちゃんと「西寧―湟中」と書かれている。
手を上げてバスを止めると、中はもう満席だった。
しかしちょうどよく助手席が空いており、乗せてもらえた。
その後別の場所で一人の女性がバスを止めたが、彼女は乗ることができなかった。
すでに18時を過ぎ、どうやらこれが最終だったようだ。

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西寧市街地に入り、バスターミナルでバスを降りた。
ここから路線バスに乗りホテルまで戻りたいが、バス停の路線案内を見渡しながら、ふと思い立ってあるバスに乗ってみた。
そのバスの行先の中には「古城台」というバス停があり、きっと古い城壁なんかが残っているはずだ、と期待したのである。
ところがバスに乗りその古城台で降りてみると、そこは都会的風景のど真ん中。付近には今どきの若者が好きそうな現代的なショッピングストリートが賑やかで、とても古城なんてある雰囲気ではない。
もしかしたら離れたところに、と思い探してみるもそんな気配はかけらもない。
思わず百度で調べてみると、出てきた。西寧の古城台。
「政府が資金を投じて開発した繁華街」
バス停名を見て勘で行ってみる、というのはおもしろい。
しかし、こういうこともある。
でもだからこそ、おもしろいのだろう。

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ここからホテル方面に散歩しながら、出会う風景を楽しむことにした。
私にとって、目的地は単にその道を歩くための口実にすぎない。
その過程の中で出会うあれこれこそが本命といってもいいだろう。
古城台は失敗したが、古城台を目指さなければ、今歩く道ともまた出会っていないはずなのだ。
そしてやっぱり出会いがまたあった。
ひたすら一本道を歩き、二つの回転火鍋が並んでいるのを通り過ぎた。
一つは、昨日別の場所で入った回転火鍋で、どうやらチェーン店だったようだ。
もう一つは、同様の回転火鍋だったが、覗いてみるとなんと、お酒が並んでいる。白酒にビールにワイン。この感動は大きかった。
北京式火鍋でゴマダレ、それにお酒が飲める。
この条件を満たす火鍋店を見つけるのに難儀していた。
あるのはみんな、重慶火鍋。
清湯であっても、ハラルでお酒なし禁煙。
なんで、ないんだ!
しかしここでとうとう、私の条件をクリアするお店を見つけてしまった。この大感激をいったい誰が理解してくれようか。
しかも、回転火鍋であれば、好きな具材を少しずつ多種類食べることができ、一人の私には最適だ。
今夜は火鍋でなく別のものを食べようと考えていたから、明日かならず来よう、と誓った。
付近のバス停をチェックすると、麒麟湾とある。なんとうつくしい名前だろう。

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向こうに宿泊している西百賓館方面の賑やかな夜景が見えてきた。
ここで思いついて、バスに乗り東関清真寺方面まで行ってみることに。
あちら方面にある大十字には昨日見つけた小さな飲食店が並ぶ賑やかな通りがあり、そこに行ってご飯を食べることにした。

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こちらはバスに乗り。
見にくいが、乗り口のドアには紫の猿のぬいぐるみがだらんと下がり、またフロントガラスの部分には、ふわふわのぬいぐるみが並んでいる。
西寧に来て、見てみるとこんなバスが多かった。
運転手さんのセンスなのかな?
でも見てみれば、運転手さんは怖そうな親父さん。
別に親父さんがかわいいぬいぐるみのセンスを持っていたってかまわない。
けれどもしかしたらバス会社のセンスか。
バス停に停まり激しい勢いでドアが開くたびに、吊り下がった紫の猿が、ぶらんぶらんとしっぽを揺らす。
それを見れば、疲れてくさくさした気持ちだったとしても和らぐに違いない。
中国も変わったな、こんなところでそんなふうに思う。

バスを降りたのは東稍門。
清真寺に行く前にまず立ち寄ったのは、昨日菓子パンを買った回族のケーキ屋さん、伊蘭西餅。
私をとりこにしたのは、レトロな外観にレトロな味。
明日は青海湖の一日ツアーに参加する。おやつに持っていこう。
お店の中に入ると、今日は奥さんはいなくて親父さんだけ。
昨日大好きになった、べとべとでぱさぱさの、チョコパンを二つ選んだ。
巨大なパンがサンドされ、間には着色料そのもののメロンクリーム。その全体がべとべとのチョコレートでコーティングされ、懐かしのカラースプレーが不器用にかかっている。カラースプレーはパンによりばらつきがあり、まったくかかっていない残念なものもあるが、親父さんはちゃんとたくさんかかったのを選んでくれた。
それから、駄菓子のようなミニシュークリーム。これは四つ選んだ。
そこまで選んだあと迷ったのは、パンダのカップケーキだった。
ショーケースとにらめっこしていると、親父さんは「こっちは出来立てだ」と小さなホールケーキを勧めてくる。
勧めるだけあっておしゃれなケーキで、これは他のレトロさに比べ今風だった。たしかにそれも美味しそうだけど、今から夜ご飯を食べに行くのにこれは持ち歩けない。

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けっきょく、パンダケーキを買った。
チョコパンとシュークリームは持っていくが、パンダケーキは道端で食べていくことに。
パンダ部分はすべて生クリームだ。パンダを崩すのは忍びなくて、がんばってパンダを残しながら下のスポンジケーキに手を付ける。

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しかしこれもまた感動だった。
スポンジが硬く少しぱさぱさしており、断面に軽い焦げ目がある。これこそ、私が好きな昭和ケーキのスポンジだ。
しっとり、ふわふわ、そんなのが美味しいケーキの代名詞みたいに言われる現代にあって、こんな昭和ケーキのスポンジはおばあちゃんがやっているケーキ屋さんくらいでしか出会わなくなった。そんなおばあちゃんのケーキ屋さんもどんどんなくなってきているから、寂しい。
なら中国にならあるんじゃないかと思う人もいるかもしれないが、中国も日本も感覚は大差ない。
現代風のケーキ屋さんで売るケーキはしっとりふわふわが主流で、「空気のケーキ」なんて謎の日本語が印刷されたものもよく見かける。

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パンダケーキ片手に歩いて行くと、すぐそこは夜の東関清真寺。
カラフルなイルミネーションに銀川を思い出した。
緑、青、赤、次々とくるくる色を変える。
こうした派手さは賛否両論だろうが、私は好きだ。
立ち止まりスマホ撮影する人、三脚を立てる人。
きれいだなと思う人がいるから、中国ではこういうイルミネーションをやる。
ムスリムがもし、聖域にあるべからず、なんて感じるのであればすべきではないが、見渡してみればそうでもない。この時間にも白い帽子をかぶり髭をたくわえた親父さんたちが和んで談笑している。

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こんなプロパガンダも映り込むけれど、どうしてかそう違和感がないのは皮肉でもある。
中国の大きな宗教施設にはかならずといっていいほどこのようなプロパガンダがあり、イスラム教はその筆頭である。
しかしあまりにもそれがありすぎて、もう普通の光景となってしまった。
以前広州でたくさんの教会が強制的に取り壊されたという。
ここのところも新疆ウイグルではモスクが取り壊されたり閉鎖された地域もあるという。
しかし一方で、このように政府のアピールに利用できるような観光地化した宗教施設というのは、少なくとも生き残りが保証されているのだ。
「中国では宗教の自由が保証されています」
そんな文言をどう受け取るかは別として、そうした言葉が目の前に掲げられているならば、それはまたー絶対ではないけれどーひとつの武器である。
こうした場所には多くの中国人観光客が来る。
また、私のように外国人観光客も来る。
だからこその堂々とした宣伝である。
しかしもう、毎日礼拝に訪れるムスリムの祈りを邪魔することはできない。
ならば、派手であれば派手であるほどいいだろう。
これからもたくさんの人が、この美しさ、派手さに引き寄せられやってくる。
たくさんであればあるほどいい。国外、国内、たくさんの人々の目にさらされることによって、このプロパガンダはそれを守らざるをえなくなるのだから。
だから私は、観光地化も悪くない、そう思うのだ。

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ここから歩いて行くと、繁華街の大十字に出る。
大十字のすぐそばには曲がったところに賑やかな飲食店街がある。
そこにはヨーグルト屋さん初め、青海の名物を売るお店がずらりと並んでいる。
私の今夜の目当ては、「羊腸麺」だった。
友人を介して青海出身の方に青海グルメを訊き、その中にこの羊腸麺があった。羊腸麺はいたるところに扱いがあり、麵屋であれば必ずそれがあるくらいだった。
今夜はそれを、いただく。
入ったのはこの通りにあるひときわ混雑を見せるフードコート、馬忠食府。
馬忠とはいったい何者かと思う程の規模だった。
内部には羊腸麺はじめ様々な麺、羊などの串焼きは内臓はもちろん肉もさまざまな種類があり、それからもちろんヨーグルト、それもまた種類が豊富。手づかみで食べる骨付き羊肉の抓羊肉、新疆の抓飯、たくさんの果物の切り売り、それからごくごく普通のおかずも一通りあり、もうない物がないほど。
そこが多くの人でごった返しているので、収拾がつかない。
人混みが嫌いな人は絶対に行くべきではないお店である。

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目当ての羊腸麺は、入り口付近にあり、13元だった。
人がごった返し、現金で支払うのは無理だろう。
QRコードをスキャンしてその画面を見せ「払ったよ」と伝えると、お店の人が手慣れた手つきで麺を処理する。
遠慮していたらいつまでたっても自分の番はやってこない。

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羊腸の正体はこれだった。
私は初め、羊腸麺とは羊の腸だけが具になったスープ麺だと想像していた。
しかしその羊腸とは、このような腸詰だった。
実際にこちら青海に来てみるとこうした腸詰がそこかしこにあったのでうすうす想像はできていたが、この腸詰を一口サイズに切ったものをのせた混ぜ麺が羊腸麺の正体だった。

有料で他の内臓をトッピングもできる。
まず麺をゆで、それをお皿に盛る。
そうして一口サイズの羊腸をおたまですくいのせる。
「たった、それだけ?もっとのせてよ」なんてその時は思ったが、実はこの羊腸けっこうこってりで、少しに見えてもう十分な量だった。

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そのあと、唐辛子ベースの辛いたれ、葱などの薬味、それからポイントのおろしにんにくを適量いれて、完成。

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フードコート内はもう座るところがないので、私はお椀を持ったまま外に出て、道端に座り込んでこれを食べた。

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混ぜるとこんな感じ。
意外な風味にしているのは、おろしにんにく。混ぜ麺にこれだけのおろしにんにくを使ったものを、私は中国で食べたことがない。
そして唐辛子が効いていて、見た目以上に辛い。四川並みの辛さだな、と四川人にでもなったかのような知ったかな感想を持つ。
それからなにより、肝心の羊腸。
羊の腸詰めはこれがなかなかこってりだった。
ソーセージ、といえばそうなんだろう。
しかし私はその表現がしっくりこない。私が知るソーセージはこんなにねっとりしてはいないし、こんなに脂でもないし、こんなにこってりではない。
おいしかったけれど、たったこれだけがなかなか完食できない。
こってりと戦っていると、一組の親子が私のお椀を覗き込みながら「これ、なんていう麺?いくら?」なんて訊いてくる。

こってり麺を食べたあとは、さわやかなヨーグルトが食べたくなった。
さいわいここはヨーグルトには事欠かない。もうそこらじゅうにある。

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青海のヤク乳のヨーグルト。表面はどれも黄色い膜がかぶっている。
これらはどれも手作りで、やっぱりスーパーで売られているものとは食感がどこか違う。
四川にもこれがあれば、毎日食べたっていいのに。

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こうして満腹になり、長い散歩をしてホテルまで戻ってきた。
四川に来て一カ月以上が経った。
それなのにまだ、大好きな足マッサージを一度もしていない。
旅だからこそのお財布の緩みだ。私得意の、自分へのごほうび。
頭のマッサージもつけてもらい。
2元の水さえ惜しむ私が、マッサージになんと116元。

明日は青海湖の一日ツアーに参加する予定だ。
ガイドから電話が入り、明日はホテル目の前の王府井百貨店下で集合になった。
集合時刻は朝6時45分。
もう間もなく日付は変わろうとしている。
ホテルに戻ってみれば、にぎやかだった夜景もいつの間にかどこかにいってしまったようだ。
昨日買った寧夏の赤ワインを飲みながら、最後に赤ワインを飲んだのはいったいいつだっただろう、そんなことをぼんやり考えた。
一杯二杯では酔っ払わない。
酔っ払っていたあの日々がとても懐かしく、また遠い遠い過去の記憶みたいだ。

〈記 10月14日 宜賓にて〉

参考:
宿泊費 158元
新寧バスターミナルまでタクシー 11元
西寧⇔湟中 バス 各7元
市内バス 1元
タール寺 70元
チベット料理 30元
レトロ菓子パン+パンダケーキ 15元
羊腸麺 13元
ヤク乳ヨーグルト 6元
足マッサージ 116元

⇒ 西寧旅行四日目〈青海湖〉~前編~ へ続く

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プロフィール

まゆ

Author:まゆ
中国四川省宜賓市にて生活しています。
旅行記に絞ったブログ、一つひとつは旅のあしあとです。

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